「保守の本分」書評への対応

浅羽祐樹@同志社大学2年目 @YukiAsaba

noiehoie『保守の本分 http://t.co/35VuwsjKyJ 』読了。戦後右翼や保守主義者はネトウヨやレイシストやファシストにマーケティングで負けた。議会制民主主義など近代以降連綿と続いてきたものを保守したい。「制度を改正するために個人を攻撃する必要はありません」。

浅羽祐樹@同志社大学2年目 @YukiAsaba

米国で学び、その文物にも囲まれ、慣れ親しんでいることが想像されるnoiehoieさんが「反米」かつ「保守主義」なのは、アメリカこそが「進歩主義」の権化なのにそこを不問とする「戦後右翼」の欺瞞と「マーケティングの失敗」を衝くため。 http://t.co/35VuwsjKyJ

菅野完 @noiehoie

わかってくれはる人はいるもんやなぁ。まことにかたじけない。

菅野完 @noiehoie

まあ、そう書いたっちゃそう書いたしな。「戦後の右翼はマーケティングで負けた」「アメリカこそが進歩主義的左翼の権化なのに日本の保守はそれを不問にしてきた」ってのが、僕の二大テーマ。

菅野完 @noiehoie

で、実をいうと、「戦後右翼のマーケティング上の失敗」の象徴が、三島由紀夫なのだ。

菅野完 @noiehoie

で、「戦後右翼のマーケティング上の失敗」の直近の事例が、「特権を粉砕するぞ！」といって歩いているクソレイシストどもに、「行動する保守」なる自称を許してしまっていること。そもそもさ、「特権を粉砕するぞ！」なんていう左翼的な物言いのどこが、「保守」なんだよ。

菅野完 @noiehoie

耽美の世界の先に、どうしても耽美を担保する存在としての、「皇位」を三島は見いだした。その美的な感覚そのものへの批判はさておき、彼の中ではそれは成立した。それはそれでいいだろう。で、そこで、三島は「天皇陛下万歳と叫ばざるを得ない自分」を発見した。そこまでも許そう。

菅野完 @noiehoie

しかし、三島由紀夫は「耽美のはてに天皇陛下万歳と叫ばざるを得ない自分」を見つけたとたんに、ボディービルをはじめ、変な軍服コスプレにハマり、最後は自決した。その表現手法と「天皇陛下万歳と叫ばざるを得ない自分」の論理的整合性への説明を放棄したまま。

菅野完 @noiehoie

「文化防衛論」の中で、三島は、「天皇は政治的な存在であってはならない」「あくまでも美の最終担保者として存在しなければならない」と説く。そこまでは彼の美学論なのでまあいいだろうしかし、三島はそこから突然へんなことを言い出す。

菅野完 @noiehoie

「天皇は政治的であってはならない」「美的であらねばならない」と説く一方で、三島は、「しかしこのままいくと、議会制民主主義にのっとって、容共政権ができかねない」「それを打破するために、天皇と自衛隊を『栄誉の紐帯』で結ぶ必要がある」と言い出す。これ、全く理解できない矛盾よね。

菅野完 @noiehoie

「政治から身をはなして置く美的な天皇」に三島は、「容共政権を打破するため自衛隊と紐帯を結ぶ」という極めて泥臭い政治的役割を要求する。この三島の矛盾を真っ先についたのは、身内の右翼でも保守論壇でもなく、三島と討論した全共闘の学生だった。　つまり、ここでも右翼は、負けてるの。

菅野完 @noiehoie

東大全共闘の学生たちは、この三島の矛盾に鋭く切り込んだ。三島はその指摘に十分な回答を与えぬままレトリックだけで逃げた。で、この矛盾に十分な返答を最後まで与えることなく、市ヶ谷までの道を突き進んでいった。これ、単なる「敵前逃亡」だよね。

菅野完 @noiehoie

で、いまにいたっても、三島のこの欺瞞に右翼業界からは糾弾の声があがらない。僕は、「天皇陛下万歳というためには、カーキ色の軍服をきて割腹自殺しなきゃいけない」像を戦後のあの時期に結んでしまった三島こそを超克しないと、今後の日本の右翼の前途は暗いと思う。

菅野完 @noiehoie

で、この「思想的いい加減さをファッションでごまかした三島」の弊害は、三島自身をも、死後、苦しめている。　あの壮絶な死そのものが、彼の人生を英雄化しすぎていてて、彼の作品に正当な評価を与える事を疎外している。

菅野完 @noiehoie

だれも、「三島の長編は処女作の仮面の告白以外は全て駄作だ」と、「王様の耳はロバの耳」という勇気をもって言わないし、まるで、午後の曳航や金閣寺をほめないといけないような錯覚に陥っている連中がおおい。でもさ、三島の長編をちゃんと読んでみ？　どこがいい？

菅野完 @noiehoie

三島のすばらしさは、たとえば「レター教室」等の通俗ものにこそある。三島の天才が光るのは、当時の女性誌に殴り書きのようによせたエッセーとかにある。そういう本当の三島の天才を誰もほめない。

菅野完 @noiehoie

そして、「文学わかったふうを装う右翼な人」は、英霊の声だ、文化防衛論だというが、英霊の声ってあれ、ガチオカルトだし、文化防衛論って、涙でるぐらい矛盾だらけだし、「真剣に三島読んでないけど三島好きっていうのが右翼の資格だからそういっている」としか思えない。

菅野完 @noiehoie

僕は、三島がかわいそうで仕方ない。三島というより、平岡公威という「男の子」がかわいそうでしかたない。「ねぇねぇみてみて！！！」と自分が作った粘土細工を母親にほめてもらいが為に叫び続ける子供のようで、かわいそうで仕方ない。三島はまだ、叫び続けていると思う。

菅野完 @noiehoie

というようなことのさわりを、「保守の本分」では書きました。

菅野完 @noiehoie

いや、「美的な生活者」としての三島は、十分に、美的生活者のロールモデルになりうるとおもいますよ。 RT @kinrin_shako: @noiehoie でも未だに三島は一定年齢以上のゲイの間ではロールモデルだったりしていろいろ辛い…

菅野完 @noiehoie

僕はそうおもなわないんですよね。戯作者としての彼は、驚くほど凡庸です。 RT @kelangdbn: 劇作家が本業だったとドナルド・キーンや柄谷行人らに評されてますね RT @noiehoie 三島のすばらしさは、たとえば「レター教室」等の通俗ものにこそある。

菅野完 @noiehoie

三島は、きっと、誰も信じられなかったんだろうと思う。誰も彼をみなかったし、誰もかれの叫びを受け止めなかった。誰かがかれを受け止めるべきだったんだ。誰かがしっかりと、彼を「形而下から追求する形而上」で受け止めるべきだったんだよ。

菅野完 @noiehoie

僕は、ああは、ならない。

菅野完 @noiehoie

手を伸ばして掴んだと思ったら全部、虚空だった…　ってな経験を三島は子供の頃からくりかえしてきたんだろう。だからなんとかして、実体あるものを虚空の中に見いだそうとしたんだろう。そんなことしなくたって、彼の周りには「実体あるもの」だらけだったのにね。

菅野完 @noiehoie

まあ、だいたい、手を伸ばしてつかんでも、虚空なんですよ。虚空しかつかめないんです。そんなもんなんですよ。