三連ツイノベ自選集

9月1日から16日までに書いた自作の三連ツイノベのまとめです。
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おーさん @osayas811

今日も君のことテレビで見たよ。新曲を歌う君は、他のメンバーの誰よりも輝いていたね。秋から始まるツアーも絶対に行くよ。でも僕は君のストーカーじゃないし、他の熱狂的なファンとも違うからね。僕は生まれたときから君と一つになる運命なんだ。それは君もよくわかっているよね。 #twnovel

2013-09-03 20:15:13
おーさん @osayas811

@osayas811 いつも応援してくれてありがとう。他のファンに知られたら恨まれちゃうけど、あなたは私にとって特別な存在。今日もマネージャーさんの目を盗んであなたにメールしています。これからもずっと私だけを見ていてね。そして、いつか必ず私はあなたと結ばれます。 #twnovel

2013-09-03 20:16:05
おーさん @osayas811

@osayas811 彼女が芸能活動を続けることは困難です。病名は解離性同一性障害。彼女は自分の中の男性の人格と愛し合っていました。そしてついに二人は結婚し、新たな命、つまり第三の人格を産んだのです。ご覧なさい、彼女の穏やかな寝顔を。まるで新生児そのままですよ。 #twnovel

2013-09-03 20:17:09

連絡くれよ

おーさん @osayas811

今日隣に可愛い子が越してきた。郵便受けの前で挨拶したら、深々とお辞儀をしてくれた。思わず僕も頭を下げたら、その子の頭とぶつかりそうになった。彼女と付き合えたら楽しいだろうな。もうヒロやユカとは遊ぶ気がしない。先月の飲み会以来会ってないし、電話に出る気もしないよ。 #twnovel

2013-09-04 00:20:36
おーさん @osayas811

@osayas811 タクヤ!最近ちっとも会わないけど、どうしたんだ?お前と最後に会ったのが、ユカと行った飲み会のときだから、ユカも心配してるぞ。だってお前ベロンベロンだったから、部屋に帰って死んだんじゃないかってな。生きてるなら連絡くれよ。また飲みに行こうぜ! #twnovel

2013-09-04 00:21:27
おーさん @osayas811

@osayas811 お母さん?まなみ。引越し終わった。あのね、私の隣の部屋にいた人が、先月死体で見つかったんだって。平気だよ、隣だから。でもさっき手紙を拾おうとして屈んだら、頭の上に冷たい風が吹いたの。大丈夫。そんなこと気にしてたら、東京でやっていけないから。 #twnovel

2013-09-04 00:22:20

託された者

おーさん @osayas811

「いいんですか?こんな大事な判断をあの人物に託してしまって」「ボスの気まぐれさ。もともと何千億個もあるんだから、どっちに転んでも構わないんだろ。一種のゲームなんだよ」「でもあんな小さな」「ボスには逆らえんよ。何しろ全能の神だからな」「わかりました。渡してきます」 #twnovel

2013-09-04 18:48:24
おーさん @osayas811

@osayas811 地球が3日後に爆発すると、今朝のニュースで聞いた。だが世の中は意外に落ち着いている。どこに逃げても無駄なのだから、皆静かに最後の時を待つつもりなのだろう。俺は妻と娘のことを思った。最後に会って二人に謝りたい。俺は北に向かう列車に飛び乗った。 #twnovel

2013-09-04 18:49:26
おーさん @osayas811

@osayas811 今日パパが帰ってきた。地球の最後の日にママが笑ってくれた。さっき知らない人からこのスイッチをもらったの。君が幸せだと思ったら押しなさいって。ミクは6年間生きてきて今が一番幸せだから押すね。呪文も唱えなきゃ。えっと、「キバクカイジョ」カチッ。 #twnovel

2013-09-04 18:50:41

放課後の教室

おーさん @osayas811

放課後の教室。僕は彼女と二人きりだった。今日こそ告白しないと。意を決して声をかける。「実は僕」そのとき彼女が言った。「私、もうあなたと会えないの」「えっ」僕は言葉を失う。彼女は「ごめんね」と呟き、教室を飛び出した。それが彼女との別れだった。【続きは会話の表示で】 #twnovel

2013-09-05 12:18:11
おーさん @osayas811

@osayas811 なぜ彼に打ち明けなかったのだろう。今でもときどき胸が痛む。できるならあの日に戻って彼に真実を伝えたい。でも、今の私を見たら彼はどう思うだろう。彼の思い出を壊してしまうかもしれない。そうだ、あの子に頼もう。あの子はあの頃の私にそっくりだから。 #twnovel

2013-09-05 12:18:52
おーさん @osayas811

@osayas811 「私、娘です」放課後の教室で、私は彼に打ち明けた。「あの日、いえ今日、あなたに別れを告げたのは母です。母は自分が未来から来たことをあなたに伝えたかったんです」すると彼は、「同じだよ。僕も父に頼まれてここに来た。よかったら一緒に未来に帰ろう」 #twnovel

2013-09-05 12:19:43

まねきねこ

おーさん @osayas811

吾輩は猫であるらしい。仲間は陶器製や張り子が多いのだが、吾輩は木彫りである。生みの親は芸術家を志す貧乏青年。金のために作ったのだが、猫に見えないので「まねきねこ」と書き入れた。こんな吾輩でも、いつか徳を積んで本物の猫になることを夢見ている。 #三連ツイノベ #twnovel

2013-09-05 17:40:00
おーさん @osayas811

@osayas811 私は子どもの頃、あの猫が嫌いだった。家が食堂をやっていたので、店の入口でいつも片手をあげて私をにらんでいた。私はある日、親の目を盗み、置き物に書かれていた名前にこっそり文字や濁点を書き加えた。その日から猫は名前を変えた。「たまねぎねこ」と。 #twnovel

2013-09-05 17:40:51
おーさん @osayas811

@osayas811 「神主さん、本堂にある猫の置き物は何ですか?」「あれはこの神社に古くから祀られている、御霊禰宜猫(みたまねぎねこ)です」「みたまねぎ?」「御霊は神霊、禰宜は神職のひとつです」「なるほど、徳が高そうだ。おや、今どこかで猫の鳴き声がしたような」 #twnovel

2013-09-05 17:42:01

お菓子の家

おーさん @osayas811

お菓子の家が出てくる絵本を読んだことがある。子どもたちが楽しそうにお菓子をほおばっていると、家の中から出てくるのは悪い魔女。少女の私はあの絵本で、おいしい話には罠があることを学んだ。そんな頃ひとりの来客があった。手にケーキの箱を提げていた。 #三連ツイノベ #twnovel

2013-09-05 21:16:48
おーさん @osayas811

@osayas811 来客は若い女性だった。私を見て、懐かしそうな、泣きそうな声で話しかけた。私はろくに答えず、出されたケーキを穴のあくほど見つめていた。喉から手が出るほど食べたかったが、これを食べると目の前の女性が魔女に変わるような気がして、手が出せなかった。 #twnovel

2013-09-05 21:17:56
おーさん @osayas811

@osayas811 やがて女性は帰っていった。私はすぐにケーキをほおばった。食べたことのないおいしさだった。その女性が母で、その後すぐに病気で亡くなったことを知ったのは高一のときだ。今でも絵本を見るたび、あの日のケーキの味を思い出す。母の顔は思い出せないのに。 #twnovel

2013-09-05 21:18:56

ヒーローと悪役

おーさん @osayas811

今朝も妻からカバンを受け取り、玄関を出る。いつもと変わらない光景だ。だが妻は知らない。俺がヒーローであることを。昨日も会社の帰りに言うことを聞かないヤツを蹴飛ばしてやった。そしたら直った。壊れてた自販機が。町の平和は常に俺が守っているのだ。 #三連ツイノベ #twnovel

2013-09-06 09:56:59
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