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三連ツイノベ自選集

9月1日から16日までに書いた自作の三連ツイノベのまとめです。
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おーさん @osayas811

診察室に入るなり、その老人は私に言った。「先生、わしには東京オリンピックを見た記憶があるんじゃ」「1964年のですね?あなたの年齢なら不思議はないでしょう」「違う。昭和15年、1940年のオリンピックじゃよ」そして当時の国民歌を歌い出した。「紀元は二千六百年……」 #三連ツイノベ

2013-09-16 17:24:40
おーさん @osayas811

全国民の記憶を管理する中央記憶センターでは、大変な騒ぎだった。システム異常により、過去の記憶データが並行宇宙へ流出したのだ。「このままでは人々が別の歴史の記憶を持ってしまう。それにしても一体何年分のデータが流出したんだ?」「確認できただけでも、ざっと五百年分かと」 #三連ツイノベ

2013-09-16 17:25:17
おーさん @osayas811

ミカ、ゴメンね。私、今までミカが苦手だった。部活のことも、岡本君のことも、ミカは私のライバル、いえ、敵だと思ってた。でも違った。私の敵は他にいる。私の記憶が「敵は本能寺にあり」って囁くの。その敵を倒せば、私は何百年も続く天下を手に入れられる。ステキでしょ?ミカ。 #三連ツイノベf

2013-09-16 17:26:03

三つのタイムマシン

おーさん @osayas811

一つめのタイムマシンは過去に行ける。子どもの頃の君が縁側に座っている。隣にいるのは祖母だろうか。君に昔話を聞かせてあげている。あたりには暖かな日差しが満ち、昼寝から覚めた猫が大きく伸びをする。君は僕と目が合うと、すぐに笑顔になった。僕を前からよく知っていたように。 #三連ツイノベ

2013-09-17 00:21:19
おーさん @osayas811

二つめのタイムマシンは未来に行ける。君は世界を巡る船のデッキに立っている。潮風に帽子のつばをはためかせて。次の寄港地に思いを馳せているのだろう。海を見つめる横顔は微笑んでいる。やがて夕日が水平線に沈む。君は僕を見て小さく驚く。まるで昔の恋人に出会ったときのように。 #三連ツイノベ

2013-09-17 00:21:49
おーさん @osayas811

三つめのタイムマシンはどこにも行けない。僕はひとり公園のベンチに座っている。遠くで子どもの声がする。少女が母親を見つけて駆けていく。君は少女を抱きとめると、少女の父親と手をつないで去っていく。僕はただそれを見送る。「いま」を変えることは、タイムマシンでも難しい。 #三連ツイノベf

2013-09-17 00:22:27
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