タイムマシンだらけ!~時間SFツイノベ55

タイムマシンなどの時間SFをテーマにしたツイノベ、全55篇です。
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おーさん @osayas811

「過去へのタイムトラベルの問題点は、過去の人間に、未来人に出会った記憶が残ってしまうことじゃ。わしが発明したタイムマシンは、未来に戻るときに、過去の人間から未来人に関する記憶を消してくれるのじゃ」「博士、早速試運転に行ってきます」ブーン。「はて、わしは今まで誰と話していたのかな」

2013-04-13 00:40:50
おーさん @osayas811

俺はもう何年もタイムマシンの発明に取り組んでいる。だが一向に完成しない。もう諦めよう。過去への旅など夢だったのだ。公園のベンチに座り、俺は考えていた。すると老人が話しかけてきた。「へこたれるな。お前はきっと成功する」「なぜわかるんだ?」「だって、現にわしがここに来れたじゃないか」

2013-04-13 00:41:27
おーさん @osayas811

人工オーロラが燃える夜、俺は彼女にふられた。最悪の日だ。家に帰ると、母親が昔の話をしてくれた。「若い頃、タイムマシンで一度だけ未来に行ったことがあるの。そこである若者と恋をした。夢のような日々。でも、帰る日がきて、彼に別れを告げたの。つらかったわ。人工オーロラがきれいな夜だった」

2013-04-13 01:18:49
おーさん @osayas811

人工オーロラが燃える夜、あの人と別れた。私は過去から来た女。この時代では生きられないから。私のお腹にはあの人の子供がいた。でもそれは私だけの秘密。過去に戻ってひとりで育てるつもりだ。あれから18年。息子は父親そっくりに成長した。そして今夜、人工オーロラの下で恋人にふられたらしい。

2013-04-13 22:33:13
おーさん @osayas811

10年に1度、1ヶ月だけ営業する駄菓子屋があった。主人夫婦はもうかなりの高齢のはずだが、昔から全く容姿が変わらなかった。今年の夏も10年ぶりに子どもたちがお菓子を買いにきた。夏が終わり、駄菓子屋は店じまいをした。夫婦はまた10年後に向けて時空の旅に出た。未来の子どもたちのために。

2013-04-17 20:14:56
おーさん @osayas811

「博士、ご自宅をタイムマシンに改造したんですね」「ここなら本もテレビも酒もあるから、時間旅行中も退屈しないぞ」「では早速未来へ」ブーン。「着いたぞ。外へ出るか」「それより次のDVD見ましょうよ。ワインもまだ残ってますし」「そうだな。どの時代でも大して変わらないから、ここにいるか」

2013-04-19 10:10:59
おーさん @osayas811

「今日は寒いな、コートが欲しいよ」と思ったら、俺の手に新品のコートが。「ラッキー!」……5年後。「このコートだいぶ傷んできたな。買い換えるか」店をのぞくと、同じデザインのコートが。買ったとたん、新品のコートは消えた。時空を超えて、5年前の俺の手に。「ラッキー!」 #twnovel

2013-04-19 15:06:07
おーさん @osayas811

1969年。「ちゃんと並べよ。アイツはどこだ?」……1987年。「静かにして。あの子はまだ?」……2034年。「こんな日に休み?はい、みんな笑って」……「卒業写真の隅に欠席者の顔が丸囲みで載るよな。俺、あれのマニアなんだ」「そのためにタイムマシンを作ったのか!」 #twnovel

2013-04-20 11:59:31
おーさん @osayas811

「もう君とはお別れだ。これからはこの子と暮らす」「誰この女。一年前の私?」「タイムマシンで連れてきたんだ。この頃は君も素敵だった」「私だって一年前のあなたを呼んだわよ。あれ、いない」「一年前の君も消えたぞ」……「俺たち、一年後は修羅場なんだな」「早く帰りましょ」 #twnovel

2013-04-22 22:15:22
おーさん @osayas811

「この書店は、未来に出版される本だけを置いています」と主人。1冊手に取った。だが表紙を開く前に本は消え失せた。「何かの事情で出版中止になったんでしょう」今度は別の本を。「ミステリーはおやめなさい。途中で何度も犯人が変わりますよ。まだ作家が悩んでいる最中ですから」 #twnovel

2013-04-23 21:17:19
おーさん @osayas811

過去に行ける穴を見つけた。時間を遡ると、その分だけ体は若返る。僕はうっかりその穴に落ち、20年前の過去に行ってしまった。捨て子の僕を今の両親が拾ってくれた年だ。僕は赤ん坊に戻り、穴のそばで泣いているところを両親に拾われた。さて、僕はそもそもどこから来たんだろう。 #twnovel

2013-04-25 23:43:17
おーさん @osayas811

彼とケンカした。もうアイツの顔を見るのも嫌。「では当店のタイムマシンで、彼に出会う前の過去に行かれては?」「それいい!あ、でもやっぱり私未来に行く。来月の彼の誕生日に、手料理作る約束してたの」「それなら来月までお待ちなさい。仲直りにちょうどいい時間がありますよ」 #twnovel

2013-05-06 06:21:37
おーさん @osayas811

僕の彼女は心配性だ。「車に気をつけて」「カロリーは控えめに」「お風呂はぬるめにしてね」そこまで僕を心配するのには、愛情以外の理由があるのでは?ある日思い切って彼女に聞いた。「だってあなたが無事じゃないと、私が生まれないもの。私、未来から来たあなたの孫の孫なのよ」 #twnovel

2013-05-07 13:05:58
おーさん @osayas811

現在飛行中の旅客機が、2時間後に墜落することを予知能力で知った俺は、事故を防ぐためタイムマシンで過去に飛んだ。そして特殊なホルモン剤で鳥の進化を促進し、猿の進化を遅らせた。現在、人々は翼で自由に空を飛び回っている。飛行機?そんな不要なものは昔から存在していない。 #twnovel

2013-05-07 20:41:10
おーさん @osayas811

「千円でタイムトラベル体験どうですか?」「マジ?やるわ」「このマシンに入って、10秒たったら出てください」……ガチャ。「ようこそ10秒後の未来へ」「殴っていい?」「待ってください、過去にも行けるんですから。このマシンを飛行機に載せれば」「……日付変更線だよな?」 #twnovel

2013-05-09 23:32:15
おーさん @osayas811

未来に行ける観覧車がある。ゴンドラが昇ると未来に時を進み、頂点を過ぎるとまた現在に戻ってくる。ゴンドラから見る未来の景色は人それぞれ。希望を見る人、絶望を見る人。今日も少女がゴンドラに乗った。この子が笑顔で降りられますようにと祈り、僕は運転台のスイッチを押した。 #twnovel

2013-05-09 23:36:07
おーさん @osayas811

押入れで古い絵本を見つけた。時を旅する男の話。読みふけるうちに、俺はいつしか過去に戻っていた。目の前に男の子がいる。俺は絵本を手渡すと「大切にしろよ」うなずく男の子。気がつくと元の押入れの前にいた。「大切に、か」結局絵本は忘れ去られて押入れ行き。まあ俺らしいや。 #twnovel

2013-05-10 10:15:41
おーさん @osayas811

その巨木が村の地下に伸ばした根のせいで、地面は盛り上がり、地上の住居は壊滅的な打撃を受けていた。「この木は何千年も前に植えられたものだ。過去に飛んで、植樹を阻止するしかない」……「早く大きくなってね」熱心に苗木を植える少女の前で男は呟いた。「俺には阻止できない」 #twnovel

2013-05-10 19:06:02
おーさん @osayas811

銀行の窓口で銃を持った男が叫ぶ。「金を出せ!」すると物陰から警官隊が。「未来でこの事件を知ったから、過去に戻って待ち伏せしていたんだ」「畜生!」すると突然犯人の姿が消えた。未来から声が響く。「捕まることがわかったから、事件を起こさないよう過去の俺を説得したんだ」 #twnovel

2013-05-12 10:06:21
おーさん @osayas811

「あなた、あの子が最近ときどきいなくなるの。でも家から出た様子はないのよ」「まさか、俺がリビングに置いといた時空転送装置で遊んでるんじゃないだろうな」「何よそれ」「うちのリビングから昔のリビングに行けるんだ」……「ねえ、遊ぼうよ」「わー、また座敷わらしが出た!」 #twnovel

2013-05-13 23:50:18
おーさん @osayas811

「俺たち何でつきあってんだっけ」「運命じゃね?」「そっか」運命じゃない。私はあんたに59回も振られたんだぞ。その度に過去に戻ってやり直し。あんたは全然憶えてないだろうけど。でも過去を何度も変えると、歴史にひずみが出るんだって。「今年って何年だっけ」「餅肌25年」 #twnovel

2013-05-15 14:20:54
おーさん @osayas811

「私、もとの時代に帰らなくちゃ」「木村さん、もう会えないの?お別れにこれあげるよ」「貝殻のペンダントね。ありがとう。私、大人になっても田中君のこと忘れない」……翌朝。「大野先生、そのペンダント旦那さんにもらったんですか?」「これはね、初恋の人からよ。ね、田中君」 #twnovel

2013-05-15 18:26:30
おーさん @osayas811

俺は警官に高い塀まで追い詰められた。そのとき塀の上から1本のロープが。これで逃げられる。「天の助けだ」……数年後。進退窮まった俺は、潔く死ぬことにした。首にかけたロープの端を鴨居に渡す。すると誰かに強く引っぱられた。「まさかロープがあの日につながって……ググッ」 #twnovel

2013-05-16 18:46:57
おーさん @osayas811

「空襲で焼失してますね」図書館で私は落胆した。卒論に使う資料がない。すると老人が声をかけてきた。通された部屋には、探していた本が並んでいる。「運がよかったんですよ」「焼け残ったんですね」「いえ、あなたのことです。時の狭間にあるこの部屋に入れる人は滅多にいません」 #twnovel

2013-05-17 14:39:47
おーさん @osayas811

「近づいたらこの女の命はない」「やめろ!お前は未来から来たんだろう?その人はお前の母親だ。殺すと自分も消滅するぞ」僕の言葉にひるんだ犯人は、その瞬間逮捕された。解放された女性が怯える。「私の未来の子どもがやがて犯罪者に?」「未来は変わりますよ。僕が父親になれば」 #twnovel

2013-09-20 01:34:09