「ピクサーが作品を作る際に大事にしている22のルール」を元にした、喜多野土竜なりの補足やらなんやら

創作に役に立つと思いまとめました。漫画に限らず、小説や脚本にも活かせると思います。
181
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

PIXARの作話法として、主人公の好きなモノを作って、そのリバースとして弱点をつくる、という手法があります。典型例が、ファインディング・ニモ。あの作品の主人公はお父さん。奥さんを失い、他の卵も失ったパパは、ニモが可愛くて可愛くてたまらない。だから同時に、ニモは弱点にもなる。

2013-09-19 01:00:47
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

その大地なニモがさらわれるから、物語になるわけで。そこでお父さんが、「ま、しょうがないか。次の彼女見つけて、新しい卵産ませるぞ!」では、話しにならないわけで。お父さんが困難に立ち向かうからこそ、物語になるのです。トイ・ストーリーのウッディとアンディとバズの関係性も、基本はコレ。

2013-09-19 01:03:08
ファインディング・ニモ [DVD]

アルバート・ブルックス,エレン・デジェネレス,アレクサンダー・グールド,ウィレム・デフォー,アンドリュー・スタントン

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『7:物語は中盤より結末を先に考えよう。物語を終わらせるのは骨が折れるから先に片付けてしまおう。』 これは、映画の作話方では、という注釈がつきます。映画は、基本的に結末に向かって集約される構造。

2013-09-19 01:04:23
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

映画評論家の町山智浩さんが指摘されているように、アメリカのソープオペラ(昼メロ)は、物語の結末を決めずに、その場その場の思いつきで展開していく手法。『ツイン・ピークス』とかもこの展開もこのパターン。週刊ジャンプの長期連載にはこのパターンが多いけれど、これはシュルレアリスムの手法。

2013-09-19 01:08:13
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ある程度、物語をいかようにでも・強引にでも完結される地力がある人間がやる分にはいいけれど、渡航者がやっても才能がないと無理。少なくとも作品作りの鍛錬という側面で言うなら、オーソドックスに完結した作品作りをする、その過程で結末から逆算した作り方をすれば、構成力が付くことも多いです。

2013-09-19 01:11:27
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ちなみに、小林まこと先生のデビュー投稿作『闘魂三兄弟』も、柔道なのにブレーンバスターで一本勝ちする、というオチから先に浮かんだとか。このアイデアは、代表作『1・2の三四郎』でも使われていますね。落語でも、落ちが重視されるのは、落ちが決まればそれまでが退屈でも、ギュっと締まるので。

2013-09-19 01:13:25
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『8:物語を完成させたら完璧でなくともそれで終わらせよう。理想の世界では「完成」と「完璧」を両立できるかもしれないが、それで完成とし次に良いものを作ろう。』 これは3とちょっと被っていますね。

2013-09-19 01:14:29
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

才能があっても行き詰まるタイプって、作品をある時点でスパっと諦めることが出来ないタイプ。他志加に、粘りに粘って作品がすごい完成度を見せることはあるけれど、そういうタイプは粘って粘って失敗し、時間を無駄にすることも多い。それよりスパっと切り替え数をこなすタイプが長持ちすること多し。

2013-09-19 01:19:09
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『9:スランプに陥ったら次の展開に相応しくない物を箇条書きしたリストを作ろう。大抵の場合はそのリストがきっかけで光が見えてくる。』 人間は、自分が嫌な事からは無意識に逃げたがる。その無意識が曲者。

2013-09-19 01:20:25
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

自分の容姿や、家族関係とか、そういうものにコンプレックスがあると、無意識にその話題やエピソードを避けがち。例えば、萩尾望都先生は母親との折り合いが悪かったため、そのため初期の作品で母が登場しない・登場してもすぐ死ぬパターンが多く、友人にそれを指摘されるまでは、無自覚だったとか。

2013-09-19 01:22:44
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

自分の好きなものだけ描くと、やっぱりそういう問題が起きがち。描いてて気持ち良い部分だけで作品はできて行かないし、作品が息詰まるのは、自分が無意識に避けたい問題を迂回していたり、見て見ぬふりをしていたり、いずれにしろルール1の問題とも関わってくる部分が多々ある。自戒も込めて。

2013-09-19 01:25:01
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『10:好きな物語から一歩引こう。好きな物語は自分の血肉となっているのだから、そういう物語にする時は事前にそのことをちゃんと意識しよう。』 これはルール9の表裏ですね。言ってる本質は同じ。

2013-09-19 01:26:22
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

快楽亭ブラック師匠だったかな、師匠である談志家元の落語を、オレならこうするという問題意識や異論がある噺だと談志の解釈が入った良い作品になるが、好きすぎる作品は自分がかつて憧れた師匠のマネに終始する、と。『男一匹ガキ大将』が好きすぎると、『男坂』ができてしまう……と。

2013-09-19 01:28:47
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『11:整理するためにはまず紙に書いてみよう。頭の中に詰まったままでは完璧なアイデアだったとしても他の人と分かち合う事は出来ない。』 これは2つの点、アイデアの具体化と共有で、重要に思えます。

2013-09-19 01:30:18
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

中島らもさんが紹介していたコピーライターのアイデア出しの方法として、A0ぐらいの大きな紙の真ん中に対象となる製品などの名前を書き、そこから連想する言葉を書き込んでいき、その書き込んだ言葉からさらに連想する言葉を書き込んで、ドンドンと紙を埋め尽くしていくという手法です。

2013-09-19 01:32:15
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

そうやって埋まった紙の、一番端っこと端っこにある言葉同士をつなぎ合わせると、意外な発想が生まれると。まぁ、実際には生まれないことが多いんですが、少なくともそうやって具体化する作業ってのは、かなり重要ですね。重要なのは、表層意識ではなく深層意識の言葉を、引きずり出すこと。

2013-09-19 01:33:45
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

もう一点、共有化の問題は大事。例えば、夢の話って(盛ってる人はともかく)基本的に支離滅裂で、聞いていて退屈でしょ? 「苺の形をした不気味なひこにゃんがいて、ドアを開けたらチワワが昼寝してて、すごく悲しかったけどウキウキした」みたいな、視覚イメージがぜんぜん共有できない。

2013-09-19 01:38:54
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

そういう主観的なものを、他人にも共有させるための、異化作用が重要。その過程で、なぜ自分が怖かったり悲しかったりウキウキしたか、そこを共有できる表現にするのは、すべての表現に共通ではないかと。まぁ、共有化の過程でたいがい、パターン化されたり陳腐化するんですが( ´ ▽ ` )ノ

2013-09-19 01:40:51
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

取り敢えず半分、こんな感じですかね。こういう言葉って、孫子の兵法と同じで、実例と照らし合わせながら考えないと、かえって有害にもなりますので。今池袋でやってる講座は、こんな感じで研ぎ澄まされた言葉の裏にある、研いで捨てられてしまったムダをくっつけ直す作業だったりします。

2013-09-19 01:44:08
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

後半は、気が向いたら。気が向かなかったら、やりません( ´ ▽ ` )ノ

2013-09-19 01:44:34

リプのやり取りです