- sinlite_ohari
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「あぁ、なんだか面倒なことになりそうだなぁ。」 一人、言葉をこぼす。 「……僕には関係のないことさ、とも、言っていられないのだろうなぁ。今回ばかりは。」 ああ、めんどくさい、めんどくさい。
2013-10-16 00:40:50頬にかかる金糸を指でくるくると巻き取って、ゆるやかに解ける動きを空色の眼は見ている。この髪がもう少し長ければ世界は右側に違って見えたかもしれない。 「ぁ、枝毛」 意味のない事を考えながら見つけたそれを指先で摘んで、――ぶちり。僅かな痛みを感じて眉を寄せ、はぁとため息を一つ零した。
2013-10-16 01:56:26かつり、こつりと音を立てながらオセロ盤の上の世界はひとりでに動いていく。 黒が白を染め上げ白が黒を染め上げ、それはどこか…戦争のようで。 戦争。自分で考えたその言葉に、オセロ盤に魅入られていた思考がぴくりと反応する。 連想するのは黒が白を侵す情景。 (…だけどまだ足りない。)
2013-10-16 07:15:47ただ侵すだけでは意味がないのだ。 相容れないモノを、"白"を滅ぼすまでやらなくては。 (なら…) 大戦。 そんな言葉が浮かぶ。 ちょうどその時最後の白石が黒く染められて、部屋を静寂が包んで。 まだ手にしたことのない"白"の予感に、強欲《アワリティア》はとても純粋な笑みを浮かべた。
2013-10-16 07:32:35「聞いたよ《6つの罪達》あ!」 男は歌うように高らかに声を張り上げる。 静寂を砕くその声は人には心地よく聞こえるが、さて。 「あの美徳達に手を出すんだって?」 「今や《生まれたての仔猫》の額よりも狭くなった彼らの領分」 「なお自分たちの方が正しいと叫ぶいじらしさも見納めかい!」
2013-10-16 18:44:28何かが聞こえた気がしてふと顔を上げる。 方角からして大広間のほうだろうか。だとしたら。 「時間、かな?」 首を傾げてオセロ盤に視線を戻す。 名残惜しいが集まるのなら仕方が無い。 それに、と思って自然と笑顔になる。 それにこれから始まることはきっと楽しいことだろうから。
2013-10-16 18:55:48「じゃあとりあえず片付けなきゃね」 そう言いながらオセロ盤を『抱きしめる』。 胸元に空いた黒い穴に盤が吸い込まれて行くのには目もくれずに居室から出て、足早に大広間へと向かった。 …のだが。 扉の向こうから聞こえてくる笑い声に、扉を開くのを躊躇する。
2013-10-16 19:27:28「どうしよう…」 ほぼ常に笑顔な自分だが、今だけは難しい顔をしているだろう。 先程の笑い声はおそらく、いや間違いなく色欲だ。 嫌いなわけではないが、彼の"悪癖"を許容できるわけでもない。笑い声が途絶えたのもまた不安を抱かせる。 「…仕方ないか」 そう腹を括って扉を開くとーー。
2013-10-16 20:20:43踞り、呻く男。 顔の半分以上を隠す布を巻き込んでその上に垂れた飾りを鳴らして鼻を押さえている。 床に落ちた血。 「――――」 震える背中が、全てを語っていた。
2013-10-16 20:39:58弄るのにも飽きてきてぷつぷつと抜いた髪の毛の残骸をふぅと吹き飛ばす。金色は直ぐに床に消えた。 身を預けていた椅子から立ち上がると部屋を出て何かを探すようにゆらりと廊下を歩き始め。 その顔にはまだ何か思い悩むような苦々しい表情が見えるが、人の声が聞こえたらすぐに笑みにすり替わる。
2013-10-16 20:49:57@luxuria_lite 「ーーーッ!」 息が干上がる。 色欲はこちらに背中を向けているため、扉側からは何が起こっているのかは見えない。 だが何かが起こってはいるのだろう。 よくない、何かが。 震える色欲に駆け寄る。 「ーー、ー」 何か言いたいのかと思い顔を寄せる。
2013-10-16 21:01:18@avaritia_foxsin 「あわり……てぃあ……」 何処から見えているのか、傍に来てくれたものの方向に顔を挙げる。 わななく唇。 「はしゃぐとき、には、あくせさりー、はず、そう」 「ぐふ」 かくり 色欲、装飾による顔面殴打により重症――
2013-10-16 21:08:34@luxuria_lite 「………」 今鏡を見たらとても珍しい仏頂面の自分が見れるだろうと思いながら口を開く。 「ええ。そうですねルクスリア」 自分でもびっくりするほどの冷たい声が出た。 普段は使わない敬語までセットだ。 まったくこの色欲は…。
2013-10-16 21:16:51@avaritia_foxsin 「いやこれ結構痛いって。俺なんでこんなんつけてんだろ……」 「……」 「……真剣にへこんでるからちょっと慰めてくれないかな」
2013-10-16 21:31:02「何やってるの、あんたら」 大広間の入り口から呆れたような声が届く。マフラーで隠された口元から、ころころと飴玉を転がす音。 残念ながらその目にあるのは同情の類ではなく、どちらかといえば蔑みである。
2013-10-16 21:36:02@luxuria_lite 慰めてくれないか、と言われた。 頭の中で損得を計りにかける。 二秒で答えはでた。 「やだ」 無駄に心配をさせておいて何を言っているのか。 そう思いつつもつい笑みがこぼれそうになるあたり、自分も救いようがないのかもしれないけれど。
2013-10-16 21:43:30「やぁやぁ、親愛なる罪(きょうだい)達。ご機嫌はいかが?」 暴食に続いて大広間に入ってきた白い少女は、それぞれの顔を確かめるようにゆっくりと大広間を見回す。 「おや、僕が最後だと思ったんだけどなぁ。もっとのんびりしてくれば良かったね。」
2013-10-16 21:45:37「ほら、アワリティア残念だったね」 「人知れず罪知れず俺にちゅーする機会が失われてしまった!」 距離を取る様に床に寝転がる。 勢いを殺さずそのまま跳ね起きれば、ストールで血を拭い。 「じゃれついていたのさ《二つの罪達》。御機嫌よう!」 腕を広げてポーズを取れば、袖飾りが躍った。
2013-10-16 21:51:11続けて入ってきた怠惰の方へ、首を回して顔を向ける。 「あれ、早いじゃん。遅刻するもんだと思ってたのに」 に、と笑ってそう言って、横に動いて道を開けた。そうして、色欲の方へと視線を戻す。 「はいはい、御機嫌よう。あんまり動くとまた自爆するよ?」
2013-10-16 21:55:53後ろからの声に、得体の知れないことを叫び出す色欲を無視して振り向く。 いつの間にか来ていたらしい二人に向かって顔いっぱいで笑いかけた。 「グラ!アケディア!」 それからアケディアに向かって、 「アケディアは四番目だね。イラとトワを見なかった?」
2013-10-16 21:57:40「すいません、遅くなってしまったようですね」 かつ、こつ、と。 革靴の足音が響き、ひょっこりと顔を出す。 「私が最後――というわけでは、無いようですが」
2013-10-16 22:08:07「僕としては遅刻のつもりだったんだけどね。みんなが遅いのさ。」 肩をすくめて暴食に返す。 「やぁ、アワリティア。残念ながらトワは見ていないねぇ。イラなら……ああ、ちょうど今来たようだね。」
2013-10-16 22:15:13「賑やかなのね?」 ひょいと覗く広間に集まる罪たちの姿。 にこにことそれぞれの姿を笑みの表情で見回す、もう皆揃っているようだ? 「ああ、いいわ。いいわいいわ僕のこと呼んでもらえなくっても気にしない」 ちりりと胸が焦げるがその痛みが心地よいと思うこの罪こそが、嫉妬。
2013-10-16 22:25:39