大罪大戦Lite 第一戦闘フェーズ 四の間

怠惰 アケディア @acedia_lite 節制 テンペランティア@Temperantia_lit
0
ありか @chieri_puri

ふわりと、自分の体重がなくなったような錯覚を覚える。 扉を抜けた先にはどんな場所があるんだろう。 ……あー、早く終わらせて、みんながいる場所に帰りたいなぁ。 ――扉を抜ける。突然戻ってきた自分の重さにバランスを崩し、その場にへたり込む。 顔を上げると、そこは →

2013-10-20 02:41:15
ありか @chieri_puri

そこは大きな洋館だった。 目の前には二階に続く階段、後ろには大きな扉。多分自分はここから入ってきたのだろう。 一応押してみるが、開く気配はない。 「んー、どうしようかな。」 美徳はもうこの場に着いているのだろうか。 とりあえず、物音や気配は感じないが……。

2013-10-20 02:46:49
ありか @chieri_puri

探すのか?この如何にも広そうな屋敷の部屋を一つ一つ? 「……よし、やーめた。」 呟いて、階段に腰を下ろした。自然と扉の方に体を向ける形になる。 ここで待っていれば、その内美徳もやってくるだろう。 できれば眠くなる前に来てほしいものだ。

2013-10-20 02:51:55
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

開かなかった扉が開く。そこから現れたのは白い髪に白い服の少女だった。後ろで扉が閉まると同時に、閉じていた瞳を開き黄色の瞳を怠惰へ向ける。 節制の少女は気だるそうに座っている彼女に微笑む。 「遅れてしまいましたか?」 まるで待ち合わせていたかのような事を口にして。

2013-10-20 02:57:47
ありか @chieri_puri

扉を抜けて現れたのは、自分と同じくらいの歳に見える少女だった。 微笑みを浮かべる彼女の姿は、怠惰にとって意外なものだった。美徳というのは、もっと厳つい―鎧を着て剣を構えているような―ものだと思っていた。 「ううん、大丈夫。」 「君は、話が通じそうだね。僕と少し話をしない?」

2013-10-20 03:17:05
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

「話? 別に構いませんけど……」 (あれ、大罪ってもっと危ない感じだと思っていたのですけど、イメージと違いますね) 何の話をするのだろうと、階段の少し手前まで歩いて止まった。

2013-10-20 03:33:02
ありか @chieri_puri

「ありがとう。良かったよ、いきなり粛清する!とか言い出すタイプじゃなくて。」 ……おっと失礼、はじめに挨拶をした方がよかったかな。」 「僕の名は怠惰(アケディア)。 見ての通りの怠け者さ。実は今日も、結構嫌々来てたりする。」 「君は?」

2013-10-20 03:40:18
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

「私は節制のテンペランティア、人の世の秩序の為にバランスを取りにきたのです」 「けれど……怠惰、ですか」 どうしたものかと相手の様子を伺っている。

2013-10-20 13:01:34
ありか @chieri_puri

「はは、何もしないのが仕事の怠惰の相手が節制とはね。これも巡りあわせかな?」 階段に腰掛けたまま笑う。 「テンペランティア、僕は美徳に会ったら聞いてみたいことがあったんだよ。」 「ねぇ、君たちは一体、何が楽しくて生きているの?」

2013-10-20 17:56:51
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

「そんな事を聞きたかったのですか?」 きょとん。 「私は生きる目的や意味があります。私自信そうすることが好きですし、節度も理性もない行動が嫌いです。このことに不満を持った事は一度もありません」 胸の前で手を合わる。手首につけられた黄色の輪が軽くぶつかり音を立てた。 →

2013-10-20 19:10:19
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

「それを言うなら貴方こそ、どうして大罪なんてしているのです? 面倒だというなら、そのような立場に立っている事はないのでは?」 手を合わせたまま首をかしげて質問を返した。

2013-10-20 19:11:27
ありか @chieri_puri

「ふーん。使命感ってやつかな? じゃあ、ご飯をいっぱい食べるのとか、遊び倒すのとか、ずーっと寝て過ごすのとか、そういうの嫌いなんだ。」 わかんないなぁ、と首を捻る。 「なんでって言われても困るなぁ。別に誰かから立場を貰っているわけじゃないからね。 怠惰の座そのものが僕だから。」

2013-10-20 21:37:25
ありか @chieri_puri

「さて、ここで提案だ。 僕は多分大罪(きょうだい)達の中では一番弱い。でも君にとって、多分僕はとても相性が悪い。」 「……手を引く気はないかい? 今後僕達に干渉しないというなら、僕は寛容だしめんどくさがりだから見逃してあげるよ?」 →

2013-10-20 21:41:56
ありか @chieri_puri

「それか、いっそこちらに下るのはどうだい? 規律や理性に縛られない、甘美で怠惰な生活を約束するよ。」 言葉に乗せて、節制の心に見えない手を伸ばす。 彼女の罪科は誘惑。物と言わず人と言わず、怠惰の元へ引き寄せる。 ――こちらへおいで。使命も理性も規律も、全部捨てていいよ。

2013-10-20 21:55:47
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

くだらない、ただ否定して終わるはずの質問。なのに意識が揺れる。視界が狭くなる感覚。 「これは……」 一歩、アケディアの方へと足が進む。額に片手を当て、冷静になろうとするも、揺れる視界は収まらず。 「これは、罪の……!」 →

2013-10-20 23:14:49
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

節制の少女の足元から、数本の銀の鎖が生える。 「節制として、理性を、秩序を尊い物だと……示す者として……」 その鎖は少女の足、手へと絡みつき、乾いた破裂音をあげて光となる。全ての鎖が消えたのではなく、彼女の手にはフレイルが握られていた。 「その誘いは意味がありません」 →

2013-10-20 23:23:44
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

「それよりも」 顔を上げた少女はさきほどあった動揺の色はない。 「あなたこそ、その面倒な立場から退きたくはないですか?」 うんと頷いて。 「私なら、あなたを自制の利かない行き過ぎた行為から開放してあげられますよ」 手に持つ武器から鎖のぶつかる音を立てながら。

2013-10-20 23:34:51
ありか @chieri_puri

「……あは、やっぱりだめか。人間なら僕の誘惑には抗えないんだけどねえ。 相性が悪いのは僕の方もだったみたいだね。」 最初から通じるとも思っていなかったのだろう、さして残念でもなさそうな顔で。 ゆるゆると立ち上がり、スカートについた埃を払う。 →

2013-10-20 23:46:52
ありか @chieri_puri

「あー、怖い怖い。力こそが正義ってかい?そんな凶器を持って僕達を粛清するんだね。 お誘いはありがたいけど、とてもそちら側へ行く気にはなれないよ。」 予定調和の問答だ。 そう思っても、『他に選択肢がない』状態まで追い込まないと働く気になれないのが怠惰の気質だった。→

2013-10-20 23:58:39
ありか @chieri_puri

「くだらない話に付きあわせて悪かったね。」 「それじゃ、はじめようか。僕もはやく帰りたいしね。」 その場に立ったまま、怠惰は節制に微笑みかける。 始めようと言いつつも、自分から動くつもりはないようだ。

2013-10-21 00:12:33
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

「まったく、こうやって人を惑わすのですね。良くない事です」 人を誘惑し、世のバランスを崩す。やはり大罪を放置しておくわけにはいかない。 「始めましょうか、人の世の秩序のために」 →

2013-10-21 00:57:11
はくゆ@ゲーム垢 @whitepgame

節制は手に持ったフレイルを振り上げる。鎖の長さは短く、普通なら先の鉄球は怠惰のところまで届かない。 振り下ろされる瞬間、フレイルの鎖が伸びた。その鎖は節制と怠惰の距離になって、鉄球は怠惰の頭上に落ちていく。

2013-10-21 01:01:00
ありか @chieri_puri

「惑わすだなんて、人聞きの悪い。 僕を受け入れる子達は元々そういう素養があるんだよ。働きたくない子に無理やり鞭打ってもかわいそうだろう? だから僕はそんな子達に働かなくていいよ、もう好きにしていいんだよって諭してあげるんだ。 そうするとね、みんなとっても幸せそうに笑うんだ。」 →

2013-10-21 23:11:46
ありか @chieri_puri

「むしろ、人を幸せにしてるんだから善行なんじゃない?」 「さっきは断られちゃったけど。僕は優しいから、君も幸せな怠惰の世界に連れていってあげるよ。」 「静かで穏やかな眠りにつかせてあげる。」 →

2013-10-21 23:26:13
ありか @chieri_puri

節制が動いたのに少し遅れて、彼女の足元の絨毯を思い切り『誘惑』―引き寄せた。 隙を作るのが狙いだったが、図らずも自分を狙っていた鉄球の軌道も逸らすことができた。 (最初から頭狙いか……えげつないなぁ) 本当に一手目を譲るつもりなんてなかったけど、仮にそうしていたら……。 →

2013-10-21 23:51:22