酢堂提督(仮名)の艦船講座13

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SUDO @sudo_simoigusa

@dragoner_JP 砲弾自体というか、大戦中に使用されたほとんどの砲弾、つまり新規製造弾の殆どは下瀬火薬ですし、当然ですが下瀬火薬の製造も戦争全期間を通じて行われてます。というか海軍でTNAに置き換えられたのは徹甲弾や爆弾魚雷等で、いわゆる通常弾は下瀬火薬のままです

2013-10-27 23:01:21
SUDO @sudo_simoigusa

長期保存されたピクリン酸が事故を引き起こす事例が多いのは全くの事実ですが、軍艦の火薬庫爆発事故は人為的なものじゃないと起こりえないと思います

2013-10-27 23:06:38
SUDO @sudo_simoigusa

軍艦の砲塔事故、実弾射撃訓練や実戦でやらかした事例は、機材に問題があったか運用ミスが原因で、機材問題では信管や炸薬、尾栓や火管等、いくらでも思いつくものがあり、操作ミスは主に掃気操作や尾栓開閉のタイミング間違いでしょう。事故りそうな要素は山のようにありますんでw

2013-10-27 23:09:51
SUDO @sudo_simoigusa

例えば武蔵は唯一の実戦で砲塔事故やってます。機材習熟度が足りないとか大和でも訓練で故障が多かった等を思えば、何らかの故障かミスでやっちゃったんだろうなと想像できますね

2013-10-27 23:12:03
SUDO @sudo_simoigusa

じゃあ陸奥はというと、装填する前は信管外してますから弾丸が勝手に爆発するということはまず無い。もちろん潮の機雷で起こる可能性もありえない。まあ放火というか破壊工作というか、そういうたぐい以外を想像するのは難しいですよね

2013-10-27 23:15:07
SUDO @sudo_simoigusa

ただし、この手の話は、理屈とか仕組みとかを超えた、超常現象なのです。少なくとも事実ではなく「そうあってほしい」「そうでないとこまる」という誰かにとっては、事実とか現実とかはしばしば無視される

2013-10-27 23:16:29
SUDO @sudo_simoigusa

立入禁止等の厳格な管理ができてない、風紀取り締まりが不十分で、素行の悪い乗員が悪さをしたと判明しては困る。長期戦争で士気も軍規も弛緩している事実を直視しないといけなくなる。どんだけの手間がかかるか考えたら「あってはならない」から「なかった」ことにするしかない・・・穿ち過ぎかねw

2013-10-27 23:22:08
SUDO @sudo_simoigusa

下瀬火薬(ピクリン酸)は二重の危なさを持ってます。ひとつは金属と化合して非常に過敏な酸化物を作る。不正確に言えばサビてサビが崩れるとドカン。もうひとつはピクリン酸自体が過敏で潰されたりするとボン

2013-10-27 23:30:24
SUDO @sudo_simoigusa

そしてこの薬は溶かして充填するんですが、ミスるとスが入る、まあ割れやすいわけです。こうなると発射とか着弾の衝撃で崩れてボン。日露戦争でやらかした事例の大半これでしょう。何しろ弾新しいですからコーティング不良からの化合物が大きな問題にはならんはず

2013-10-27 23:32:43
SUDO @sudo_simoigusa

伊集院信管はどうなのかというと、過敏と言われますがそれは他信管と比較検討した時に当たった時の反応の話で別に危ない信管ではない。そもそもブレーキかからないと撃針が発火薬に突っ込まないので、急発進の発射じゃ自爆は無理、構造図見る限りはちょっと考え難い

2013-10-27 23:36:36
SUDO @sudo_simoigusa

TNTの大々的実用化は第一次大戦でのことでした。これを受けて日本陸軍は黄色薬(ピクリン酸)からTNT(褐色薬)へと比重を移していきますが各種砲弾の制式要項でわかるように全面TNT化は進んでません。黄色薬との併用、更には褐色薬代用品へと進んでいきます

2013-10-28 02:39:23
SUDO @sudo_simoigusa

まあそれはさておき海軍でも1920年代に入ると下瀬火薬(ピクリン酸)が色々と問題児であるということでTNAの導入が始まります。TNAはTNTと同等以上の威力があって鈍感でしたが製造には苦労の多いもので各国では代用火薬以上に考えられてません

2013-10-28 02:39:38
SUDO @sudo_simoigusa

海軍がTNAを選んだのは資源的な問題で陸にTNTを先に確保されて、材料のトルエンがコークスガスから生成されること、そしてコークスガス(石炭ガス)の生産量は決して多くはなく、トルエンはさらにそのごく一部でしか無かったという点、つまり資源量がない

2013-10-28 02:39:47
SUDO @sudo_simoigusa

当時のTNTは石油系ではなく石炭系でしたがコークス製造の副産物で、コークス製造量は鉄鋼製増量に比例します。つまり鉄鋼生産量からTNT生産量は決まってくるのです

2013-10-28 02:39:57
SUDO @sudo_simoigusa

またピクリン酸も石炭ガス由来のベンゼンから作られます。ですがトルエンよりベンゼンのほうがコークス生成時に得られる量がずっと多いのです。つまり資源量的に有利です。だから陸海軍ともピクリン酸から離れられなかったわけです

2013-10-28 02:40:06
SUDO @sudo_simoigusa

TNAはピクリン酸とほぼ同じ材料で作れます。収量も大差ないんで資源量的にはピクリン酸からTNAへの移行が比較的容易な手立てだったといえます。ただし工程等は当然違うので、製造工場は当然色々と変えないといけない

2013-10-28 02:40:15
SUDO @sudo_simoigusa

火薬の製造能力問題は、陸軍からの技術導入や指導(製造技術も研究も陸軍のほうがずっと先進的でした)ドイツからの輸入や技術導入で次第に解消していきますが、結局海軍は最初から最後まで下瀬火薬からの脱却は果たせなかったというのが現実

2013-10-28 02:40:40
SUDO @sudo_simoigusa

なお陸軍はTNT代用可薬を色々作った上で、RDX主体のものへと進んでいってますからだいぶ差があります

2013-10-28 02:40:50
SUDO @sudo_simoigusa

さて日本ではトルエン不足からTNT化は果たせませんでしたが、ドイツはベンゼンからTNT作る手段を編み出してます。ここらも技術の差って奴ですね

2013-10-28 02:41:49
SUDO @sudo_simoigusa

陸軍のTNT代用品模索の努力は実に面白く、その副産物や過程も楽しいのですが、同時期の海軍の体たらくはなんとも停滞してるなあというか、悲しい話ばかりで泣けてくる。製造品質も下がるしなんていうかダメダメです

2013-10-28 02:43:23
SUDO @sudo_simoigusa

昔作ったものだけど、とりあえず貼っておく http://t.co/yQLXVFLo35

2013-10-28 13:00:14
SUDO @sudo_simoigusa

中身自体は今どきはWikipediaでも見られる程度なんでどうでもよいけど、注目して欲しいのは「○○式」のところ、海軍は下瀬火薬以外が何年頃からだったのかがわかりますね。TNAですら「九一式」です。つまり1931年。それまでの弾は基本的に全部下瀬火薬

2013-10-28 13:02:22
SUDO @sudo_simoigusa

なお略号Kの爆薬は爆雷用です。こっちは火薬使用量の関係もあって安いモノで、民間でも発破でよく使った「カーリット」です、カーリットだからKなんでしょうね

2013-10-28 13:04:16
SUDO @sudo_simoigusa

Kの用途に「爆弾」てあるけど、これは下瀬火薬やTNAの不足で日華事変中に応急的にやったもの。まあコンクリつめた爆弾まであったぐらいだからね・・・

2013-10-28 13:05:18