(秋の待ち伏せ) #pw秋組 まとめ (自作詩)

先日参加した連詩 (秋の待ち伏せ) #pw秋組 に投稿した自作をまとめてみました。 秋の空気に包まれて欲しいな。
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月下  桜 @tukishitau

月と目が合ってしまった 吊り革に絡め取られた細腕 目を伏せることを 許してください あの月を捉えるために 幾つもの罠を 仕掛けているのに 一つも月を捉えられない 捉えられているのはわたし 揺れ続ける車両 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-26 23:41:00
月下  桜 @tukishitau

あのちいさなひかりはなんですか 西日に光る芒です とんでいるのはなんですか いのちです (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-26 23:43:32
月下  桜 @tukishitau

金木犀の香りをしっていますか (もちろん 知っていますよ) 金木犀の花のかたちをしっていますか (もちろん 知っています) 本当ですか (ほんとうです) どんなかたちですか (どんな?) そう。どんな? (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-26 23:48:16
月下  桜 @tukishitau

わたしは頂いたものは すべてお返しするのです そうすることで わたしは生きていくことができるのです 春に咲いた花も 夏に茂った葉も 秋に実った実も わたしを豊かにしてくれました だからわたしはすべてをお返しするのです。 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-26 23:55:25
月下  桜 @tukishitau

縫い糸を握り鋏で切るときに チリンと音がするでしょう あれは ひとつのものがたりが ほどけた音 静かに 目を閉じてご覧なさい 縫い閉じたときの 想いが 見えてきますから (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 00:08:21
月下  桜 @tukishitau

あまりに唐突すぎて わからなかったのです 狗尾草が眩しすぎて 金色と銀色に輝いていたものですから てっきり 狐が遊びに来ていたのかと えぇ、狐。 秋には狐が山から降りてきて 里に遊びにくるでしょう? 人を化けているでしょう? それは あなたですよね? (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 00:14:35
月下  桜 @tukishitau

リリィ リリリィ 秋の野が鳴いている リリィ リリリィ しづかな秋だ リリィ リリリィ 風が少し冷えてきた リリィ リリリィ 狗尾草がもう帰りなさいと手を振っている (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 00:17:51
月下  桜 @tukishitau

夜のアスファルトに 散らばっている 黄色の星 黄緑の星 踏みつけながら 夜道を帰る 銀河系をいま歩いているんだよ 星がサクサクと砕けていく 風が吹いたら流星になって飛んでいってしまうだろう (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 00:21:12
月下  桜 @tukishitau

一面の焰のように燃えていた 曼珠沙華が 消え果ててしまった 世界を焼き尽くす前に (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 00:22:58
月下  桜 @tukishitau

葛の葉の影 萩の露の中 白銀(しろがね)の芒の穂 竹林を揺らす風 緑の葉影に潜む赤い実 黄緑の縞をもつまてば椎 いろづきはじめた野葡萄 薄水色の空 刷毛ではいたような薄い雲 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 14:56:26
月下  桜 @tukishitau

だるまさんがころんだ (花水木の実が赤く) だるまさんがころんだ (芒の穂がほどけゆく) だるまさんがころんだ (金木犀のかおり) だるまさんがころんだ (しずかな蟋蟀の聲) だるまさんがころんだ (もう燕はいない) だるまさんがころんだ (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:00:00
月下  桜 @tukishitau

肺胞を洗い清めよ 菊の香 金木犀 秋の草 澄んだ風 眼(まなこ)を清め給え 薄水の空 川面の鴨 紅葉の山 穏やかな海 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:05:15
月下  桜 @tukishitau

こころを秋にしないでください 淋しいのは落葉松のせいですか 淋しいのは冷えた空気のせいですか それとも えんどれすで流れる別れの曲 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:06:31
月下  桜 @tukishitau

気まぐれに菊を手折りました 菊は素直に私の手に収まりませんでした わたしはひどく苛立って むしり取ってしまいました そうして手に入れた菊は 美しくみえませんでした かといって 捨てる訳にもいかず こうしていつまでも手に持っているのです (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:11:05
月下  桜 @tukishitau

巨峰 ピオーネ ナイアガラ これはどこの国ですか 甲州 赤嶺(せきれい) 甲斐路とは どこを旅しているのでしょう (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:23:15
月下  桜 @tukishitau

筑波 丹沢 石鎚 国見 伊吹 銀寄 みな栗の銘 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:23:24
月下  桜 @tukishitau

秋映えの陸奥にむかえば 金星と北斗の輝く星月夜 つがる・さんさを唄いつつ 千秋楽のふじ 世界一  (林檎の銘の歌) (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:26:49
月下  桜 @tukishitau

全手葉(まてば)椎  まっていればいいですか 櫟(くぬぎ)の実  苦るしみ脱いでもいいですか うばめ樫  姥女になってしまいます (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:32:30
月下  桜 @tukishitau

こおろぎはなんのお話しているの さぁ、なんのお話だろうねぇ こおろぎは寒いの さぁ、寒いかねぇ こおろぎはさみしいの さぁ、さみしいかねぇ 坊やは寒くてさみしいのかい ううん かあちゃんとおこたにはいってるもん こおろぎもきっとそうだよ きっとそうだね (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 15:36:15
月下  桜 @tukishitau

言葉は消え果てた なぜなら こころが凍りついたから 声帯はもう震えることがないだろう 人類はやがて退化して 言葉を肉体から発することを 忘れてしまうだろう 言葉は文字になる 文字の羅列羅列羅列羅列の文字 文字はもじもじして 空中をさまようばかり (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 16:01:41
月下  桜 @tukishitau

そういえば 蚯蚓(みみず)にきいたことがあります この上には天国があると それは眩しくて眩しくて 光に満ち溢れているところだと だから そこで死ぬんだそうです ぼくももう弱りました 死ぬのなら 天国で死にたい ああ、ひかり 枯葉に横たわる小さな土竜 (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 16:07:36
月下  桜 @tukishitau

わたしは海 わたしは魚 わたしは鳥 わたしは花 わたしは草 わたしは風 めぐるめぐる いのちはめぐる いまは人のかたちをしている魂よ ひとのかたちに とらわれなくていい (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 16:23:38
月下  桜 @tukishitau

トトン タン トトン タン どんぐりの雨 トトン タン トトン タン やまない雨 トトン タン トトン タン トタン屋根のバス停 ざざざっ ざざざっ 激しくふる雨 こんな夜はトトロにであう (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 16:34:58
月下  桜 @tukishitau

秋雨が 白糸のように降る夜 交差点で 立ち止まってはいけない 影が 縫い付けられるから (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 16:37:25
月下  桜 @tukishitau

あの森の大松の上に 月の船が泊るのです 予定は未定です 時刻表はありません 乗船券? あるのかないのかもわかりません いつか乗船しようと なんども試みているのですが、 なにしろ月に一度 数分しかないものですし 乗船場所がかわるのです (秋の待ち伏せ)#pw秋組

2013-10-27 16:41:53