【twitter小説】標本の館#3【ファンタジー】

若い冒険者であるモアとクレインは、ある不思議な館の譲渡の話を聞く。奇妙なことに夫婦であることを条件として譲渡するというのだ。モアとクレインは夫婦ではないが――? 小説アカウント@decay_world で公開したファンタジー小説です。この話は#4まで続きます
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減衰世界 @decay_world

 部屋の奥にはさらに鉄の扉があり、老人は中に入っていった。コピーの二人もそれに続く。その部屋は、たくさんの机と戸棚がひしめいていた。たくさんの書類が紐で閉じられ、戸棚の中にぎゅうぎゅうに詰まっている。 89

2013-10-08 16:23:19
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 モアとクレインはもったいぶる老人に話をせかした。この書類は何なのか。 「この館はたくさんの記憶を閉じ込めているんだ。見たまえ、今日も世界中から報告が届いてくるぞ」  すると、机がガタガタと一斉に動き出す! 90

2013-10-08 16:34:36
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 机は木製で天板は硝子でできていた。その硝子の表面に影が浮かび、書類が出てきたのだ! それと同時に、シリンダーに入れられた生物標本が硝子の天板からせり上がってくる。それがあちこちの机で起こっているのだ。 91

2013-10-08 16:39:02
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「素晴らしい標本だ。あれも、これも、とても貴重な資料だ。わかるかね、この机は各地の館と密接に結びついている。各地にこういった館があり、私の協力者たちが管理している。彼らはこの館へ新しい標本と資料を送り届けてくれるのだ」 92

2013-10-08 16:45:16
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 老人はそう言って長く語りだした。長い長い、計画の全容を。 93

2013-10-08 16:55:16