大罪大戦WoS:第二戦闘フェイズ【第一の扉】

【第一の扉】 紅の強欲 【@sin_skbztter 】 黒の憤怒 【 @mtdsin続きを読む
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紅の強欲 貪 @actTan7

扉を抜けて、その光景を目にした瞬間――見開いた眼は、僅か、柔らかくしなる。……懐かしい風景。 樹々の隙間から見える蒼穹に、目を細めた。まるで見守られているようだと柄にもなく笑って地面を踏み締めた。 敵は一つか、二つか。 影は未だ見えぬ。樹々の隙間を縫うように、足取りに淀みなく。

2013-10-24 19:32:48
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

足取りは不器用に。進んだ先、息が詰まった。 ――違う、これはあの森じゃない。 付きまとう遠く幽かな記憶を振り払う。あの森はこんなにも美しくはなかった。光も何も、音も無かった。 突き抜たような青、その眩しさに目を細めながら進む。木漏れ日すら目に刺さるようだ。白く、眩みそうになる。

2013-10-24 19:45:20
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

しかし、と目を正面へ据える。…ここでは木々に視界は遮られる。開けた場所があるならば、それに越したことはないが、期待するのはおそらく無駄。杭の一本は傲慢へ託した。残るは二本。細く伸ばした一本のみを出現させて、森を進む。 歩を進めた、木々の隙間に、見えた、鮮やかな、紅色。

2013-10-24 19:50:04
紅の強欲 貪 @actTan7

視界に入ったくすんだ金色は、見覚えがある。黒の傲慢――先代の――との二度目との邂逅だったかに着いて来ていた、 「『黒の憤怒(オルゲー)』」 笑みが、自然と零れる。それは、獣の本能が剥き出しに。……金色は爛々と。 「――さて、お前は誰を奪っていった?」 深まる笑みはそのままに。

2013-10-24 20:07:39
紅の強欲 貪 @actTan7

刀を抜き、刃に指を当て、引く。溢れる血は吸い付くように、刀を『紅』に彩る。 一呼吸。いつものように、刃にそっと口付けて、視線の先――黒を見据える。金色に宿る獣が、大きく吼えた。

2013-10-24 20:07:43
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

「奪う、だと? ――笑わせるなよ、不当たる紅の強欲(タン)」 杭をもう一本。出現させて、控えるように。そのまま、右腕を構える。 「奪ってなどいないよ。」 目線は外さずに、 「不当だから、潰したに過ぎない」 ――正当は、ガストリマルギアだけなのだから。 囁くように続けた。

2013-10-24 20:12:43
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

不意に、名を呼ばれたような気がして。 ——それは、『黒の憤怒(オルゲー)』の声。聞き間違えなど、しない。 正当はガストリマルギアだけ、そう囁くような声音で言った彼の言葉に、息が詰まった。 ——私は、黒の城に帰れなかった。 ——なのに、なのに。 「正当だと、言ってくれるの?」

2013-10-25 02:08:52
紅の強欲 貪 @actTan7

「『不当』? 『正当』?――ハッ、それこそ笑わせてくれる」 樹々を挟み、言葉を返す。 「何故、神でも無いお前に不当等と理解る?」 神の存在等、信じてはいないが。 「正当かどうかなぞ、関係無い。――私はただ、『唯一』が欲しい。  だから黒の傲慢を奪ったのだ」 笑みは湛えられたまま。

2013-10-24 20:46:25
紅の強欲 貪 @actTan7

ガストリマルギア。――彼方の暴食は、そう言えばそんな名だと言っていた。その名が出ると云う事は。 「……『私の愛しき暴食(パォシー)』」 囁くような呼び声。届かぬと知りながら、希うような響きは葉の擦れる音に紛れて。 「――お嬢さんは、全てを奪うと寄越したよ」 くつり、喉を鳴らし。

2013-10-24 20:46:30
紅の強欲 貪 @actTan7

「――まあいい、余計な問答に意味など無い。そうだろう、『黒の憤怒』」 静かな声音は、不思議と響く。 「『紅の憤怒』を『唯一』にする為に、  奪われた『私の愛しき暴食』の為に、  ――お前を侵して、命を奪う」 金色を眇め、樹々に紛れるように、馴染む地面を歩きながら距離を詰めようと。

2013-10-24 20:46:34
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

黒の傲慢、と言われて眉をひそめた。…何故?ヒュペレーパニアは既に在るのに。少し考えて、ようやく気付く。ああ、先代か。 その後に続いた、囁きは届かなかった。 「黒の傲慢は奪われていない。…ヒュペレーパニアらしいことだな、それは」 口の端がつり上がる。目は、しかし笑わず。

2013-10-24 21:02:21
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

「ああ、言葉も何もいらない」 侵し奪うというのなら、潰すだけ。 「――正当で背負った憤怒の座。奪えるものなら、侵してみせろ」 だがやすやすと奪われるほどに、軽い罪ではないぞとうたう。 こちらへと迫る彼女に目を細めて、狙いは脚へ。視線は杭から外さぬよう。 撃ち出した。

2013-10-24 21:12:33
紅の強欲 貪 @actTan7

黒の憤怒が眉をひそめたのが樹々の間から見えた。ふと気になり、独り言のように問う。返答なぞに期待はしていないからこそ、だが言葉はしかと発される。 「――『黒』は我らが奪いし座を、再び『埋める』のか?」 疑問が吐き出されると同時、此方へと杭が射出された。狙いは恐らく、――足か。

2013-10-24 21:51:24
紅の強欲 貪 @actTan7

この馴染んだ地でなれば、避ける事も可能ではあろうが。 「なら、まずその杭を、『奪う』」 足を貫かれては困る。杭に対し向き直り、掬うようにして左手の平でそれを受け止めた。手の平を貫通したそれを離さぬようにと、痛みを堪えて握り締めながら――嗤う。 「『一つ目』」 獣が、吼えた。

2013-10-24 21:51:26
紅の強欲 貪 @actTan7

己の血で塗れた杭を手離さぬよう、しかと握り直して、一気に距離を詰めようと、駆ける。 「――『侵せ』」 言葉は呪いのように。刃を這う血が蠢く。次にはその腕を奪わんと、携えた刀を翻す!

2013-10-24 21:51:28
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

「『埋める』事などしない。黒は在り続ける。いくら欠けようとも、『在り続ける』。」 真に奪われることなどないのだと、視線を外すことなく告げる。 杭は狙いを違えることなく、しかし阻まれた。 舌打ち。次いで襲い来る銀を防がんと、握っていた杭を合わせる。 ぎちり、金属の噛み合う鈍い音。

2013-10-24 22:30:30
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

だが、この距離は範囲内。 掴まれていた杭を消し、再度狙うのは刀を握る手。

2013-10-24 22:30:38
紅の強欲 貪 @actTan7

「おっと、」 左手の内の杭が消えた。溢れる血を振り撒き、刀を握る手を庇うように、再度左手を盾にする。振り撒いた血が万が一、相手の目に入り込む事があれば、視界は『奪われる』であろう。眼は繊細が故に。 「在り続ける、ねぇ……」 呟きは意味ありげに。火花を散らし、押し切らんと迫る。

2013-10-24 22:59:24
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

再び阻まれる杭、彼女の血が舞う。 ――避けられない。 せめてもと、杭を消すと同時に顔を逸らしたが、片目の視界が潰れた。舌打ち。 同じくして、彼女の呟きとともに打ち合わせた刀の重みが増す。片脚では支えきれない。 「ああ、在り続けるとも」 応えながら、支えきれなかった身体が崩れる。

2013-10-24 23:22:27
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

崩れながらも、苦しい姿勢で刀を流した。

2013-10-24 23:22:35
紅の強欲 貪 @actTan7

「空席は、そのままであると言う事か」 「七つなくとも、お前にとってそれは『正当』なのだな?」 純粋な疑問。体勢を崩した相手に肉薄しながらも、言葉を放ちながら。 「――『二つ目』、……ああいや、『一つ目』か」 自身の血に塗れた杭は見事回収されてしまった。あれでは奪ったとは言えない。

2013-10-25 03:47:50
紅の強欲 貪 @actTan7

少しだけ残念そうに、しかし口元に浮かぶ笑みは、獰猛な獣が獲物を見つけた時に浮かべるそれと近い。 畳み掛けるように、刀を勢い良く振り下ろす。ぐちゃぐちゃの左手には、全く構う事も無い。

2013-10-25 03:47:53
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

「正当ではないよ」 苦々しく吐き捨てるかのように。 「だが、座が空席となっても、罪が失われるはずがないだろう」 たとえ七つ、揃っていなくても。 欠けた座は不当だが、座を造り上げる罪は在り続ける。ならば、座に就くに足るだれかを待つだけでいい。選定は怠惰が。正当で罪を背負った自分は、

2013-10-25 20:44:32
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

大罪たれと、選んだ怠惰に応えろと、選ばれたかれらに望む。正当で背負ったが故に。 ああそれとも、と。片目を奪われても、口の端を歪めて。 「――紅の罪は、一つしかないのか?」 嘲るように。なんと脆い罪の集まりかと、わらう。 振り下ろされた刀を弾けと、再度杭を出現させた。

2013-10-25 20:50:09
紅の強欲 貪 @actTan7

「代わりがあるのか、黒の罪には」 嘲るような笑みに返す。その笑みをどうと思う事なく、言葉は畳み掛けられる。 「例えば、黒の傲慢に跡継ぎがいたように。他の罪にも、代わりはあると」振り下ろした刀を現出した杭の手前でピタリと止め、その杭を外へ弾くように叩き付けた。

2013-10-25 21:43:49