悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』番外編もがはる劇場
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唐突に。最上さんの指先が私の顎に触れる。意味を理解する間も無く、さっきまで明るい笑顔を浮かべていた彼女の唇が近付き、私のそれと重なる。右足が一歩思わず下がり、腰が鉄柵にぶつかる。 見開いた瞳は、瞼を閉じた最上さんの顔しか映さない。 かもめののんきな鳴き声と、波の音が遠くなる。
2013-10-27 00:10:10押し返そうと彼女の両肩に手を置いたところで、最上さんの舌が唇を割って私の前歯をくすぐる。肩が跳ね、腕に込めようとした力がどこかに霧散して消えていった。 んっ…。 柔らかい舌が優しく動き、思わず喉から声が出てしまう。いつの間にか閉じてしまった瞼の裏で、白い閃光が点滅する。
2013-10-27 00:15:14前歯を押し開き、遂に舌と舌が触れる。かすかな水音と、鋭くも甘い心地よさに、心臓の鼓動が跳ねる。 押し返そうと当てたはずだった両手は、彼女の上着を掴み爪を立てるだけで、むしろ引き寄せているようですらある。 前歯の裏をなぞられ、自然と溢れる唾液が舌先で絡め取られていく。
2013-10-27 00:22:23最上さんが舌を絡ませるのを中断し、弱い部分だとバレた歯の内側を執拗に責め始める。薄い電流のような快感が走る度に、背中が反って首を後ろに傾けそうになるけども、彼女の指先が顎を痛くない程度に引くので逃れられない。 ほったらかしにされた舌が寂しくなり、無意識に彼女の舌へと伸びてしまう。
2013-10-27 00:31:06おそるおそる舌先をつつく動きは、ねだっているみたいで恥ずかしくなるが、止められない。応えて、再び絡んでくれた事に喜んでいる私がいる。 安心さを与えてくれるように軽く触れ合ってから、それを全て快楽に塗り替えられる程に、激しく弄ばれる。こもった水の音以外何も聴こえなくなる。
2013-10-27 00:38:29最後に強く吸われてから、最上さんの唇と顔が離れていく。 ふっ…ぁ…。 薄く瞼を開いて、上着を掴んだ指先に力を込める。戦闘時ですら見せない真面目な表情の最上さんを、何も言えずにじっと見詰める。 くすりと彼女が笑い、半開きのままだった私の唇に再び唇を重ねてきてくれた。
2013-10-27 00:44:12徐々に頬が熱くなっていくのがわかる。心臓の鼓動は既におかしな事になっている。口腔内を蹂躙されているだけで、何かが胸の内側で高まっていくのを自覚する。 右ひざがかくんと抜けそうになるが、柵に体重を預ける事で持ちこたえる。 足りない。 何がかはわからないけども、彼女の瞳を見詰める。
2013-10-27 00:58:16つぅ、と伸びた糸を舐めずり、息の触れ合う程の距離で最上さんが問いかけてくる。 「もっと」の意味も「する」の内容も。 頭は何も考えれていないくせに、理解だけは何故かしている。 ダメ。 そう答えようとしたはずなのに。 私の口は言葉ではなく、相手の唇に触れる事で応えていた。
2013-10-27 01:03:55冷たい声に変な声が出た。急激に頭を覆っていた熱い靄が消え失せ、背筋が冷たくなる。 慌てて横を見れば、長波さんがじとっとした目でこっちを見ていた。
2013-10-27 01:16:52あああああ、ち、違うんです! これはそののののの、最上さんに元気付けてもらっていただけで! で、ですよね最上さん! あはははは、元気出ましたありがとうございました!
2013-10-27 01:18:37最上さんと並んで立って、長波さんに乾いた笑いを共に向ける。 いけない、完全に我を忘れていたわ。どうしてこんな事になってしまったのかしら。
2013-10-27 01:21:42くるりと背を向けて、長波さんが去っていく。 しばらく二人で並んで見送り、姿が見えなくなる頃に、私よりも背が高い最上さんに顔を向ける。
2013-10-27 01:23:29さっきまでの行為を思い返し、まともに彼女の顔を見れずに目を逸らしてしまう。いや本当に何をやってるの私はそんな場合じゃないでしょう。 隣の最上さんが動く気配を感じた。
2013-10-27 01:25:12