三連ツイノベ自選第2集

9月17日から10月31日までに書いた自作の三連ツイノベのまとめです。
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宇宙人に捕まった男

おーさん @osayas811

俺は宇宙人に捕まった。UFOの中で身体の自由を奪われ、ベッドの上に寝かされた。宇宙人が言う。「地球人の能力を知るために、これからお前の脳の中を調べる」そして俺の頭にたくさんの機械を取り付けた。「準備はいいか?」仲間の宇宙人に合図を送る。やがてスイッチが入れられた。 #三連ツイノベ

2013-09-17 21:51:36
おーさん @osayas811

俺はとっさに頭の機械を外すと床に投げつけた。ベッドから飛び起きると、駆け寄ってくる宇宙人たちを手当たり次第に投げ飛ばす。そしてUFOの操縦室に入り、中にいた宇宙人を押しのけ操縦桿を握る。慌てる宇宙人たちに向かって俺は言った。「抵抗すると、UFOを墜落させるぞ!」。 #三連ツイノベ

2013-09-17 21:52:51
おーさん @osayas811

俺はベッドの上で目を覚ました。脳の調査が終わったらしい。宇宙人たちが集まって深刻な顔で話している。「地球人はとてつもない勇気と身体能力を持っている。下手をすると我々が負ける。侵略はあきらめて母星に帰ろう」そして俺は解放された。俺が持っているのは想像力だけなのに。 #三連ツイノベf

2013-09-17 21:54:23

川沿いの家

おーさん @osayas811

バスから降りると、懐かしい景色が広がっていた。停留所の標示板の赤錆もあの頃のままだ。山に向かう小道に入ると、急に辺りが薄暗くなる。川岸に出た私はそこで足を止める。この川を渡らなければ、私はあの人に会うことができないのだ。私は大きく深呼吸をすると、橋を渡っていった。 #三連ツイノベ

2013-09-19 01:10:39
おーさん @osayas811

庭先にその人は立っていた。「お母さん」私の声に一瞬驚いた顔を見せ、そして声もなく泣き崩れた。私は母を抱き抱えて家に入り、茶の間で二人は向き合った。「大きくなって」母はまた涙ぐむ。その涙の理由が私にはわかる。私は言った。「違うの。私、お母さんに会いたかっただけなの」 #三連ツイノベ

2013-09-19 01:11:08
おーさん @osayas811

茶の間に入ると妻が泣いていた。湯飲みが二つ置いてある。客が来ていたらしい。「どうした?」私が尋ねると、妻は声を震わせた。「まなみが、すっかり大人になって」3歳のときに川で死んだ娘。妻はそのことで20年間自分を責め続けている。私が抱きしめても、妻は泣き続けていた。 #三連ツイノベf

2013-09-19 01:11:38

新釈「そば清」

おーさん @osayas811

そば好きの「そば清」がそばの大食いに挑みます。見る見る平らげますが、ついに苦しくなる。そこで秘密の薬草を食べた。人間を飲み込んだ大蛇の腹をすっきりさせるほどの草ですから、効果は間違いなし。ところが溶けて消えたのはそば清の体で、後には食べたそばだけが残っていました。 #三連ツイノベ

2013-09-19 22:48:14
おーさん @osayas811

俺はついにあの薬草を手に入れた。食べると体が溶けてなくなるという悪魔の草だ。明日は俺が妻に手料理を振舞おう。その料理にこの薬草を入れ、妻に食べさせれば、俺の目的は達せられる。俺は早速本屋に料理の本を買いに行く。だがなぜか店員に無視され、本を買うことができなかった。 #三連ツイノベ

2013-09-19 22:48:44
おーさん @osayas811

久しぶりの寄席だ。演目は夫が好きな「そば清」。最近夫が家に帰ってこない。部屋にあった珍しい野菜を、私が料理に使った日からだ。私は体調が悪くて食べなかったのだけれど。今日の落語はサゲを変えてあるらしい。「そば清の体は溶けてなくなり、後には意識だけが残っていました」 #三連ツイノベf

2013-09-19 22:49:11

呪いの手紙

おーさん @osayas811

私は殺される。先日古本屋で買った哲学書。今日読了したときに、最後のページに手紙がはさんであるのに気づいた。それを読んで私は戦慄した。どこかの女が私への呪いの言葉を書き連ねているのだ。まるで私がこの本を読むのを知っていたかのように。これは本物の呪いだ。私は殺される。 #三連ツイノベ

2013-09-21 01:24:12
おーさん @osayas811

この本を読み終えたあなたは、本を閉じた瞬間から刻一刻と死に近づきます。それは避けられないこと。なぜなら、全ては私が決めたことだからです。あなたは決して私から逃れることはできません。あなたにできるのは、だだ今日を精一杯生きることだけです。覚悟していなさい。隆弘さん。 #三連ツイノベ

2013-09-21 01:24:39
おーさん @osayas811

夫の書斎で見つけた古びた本。中に手紙がはさんであった。「私の名は運命。」で始まる文章。運命を擬人化して人間の死生観を綴ったものらしい。私はふといたずら心を起こし、最初の一文を消して、最後に夫の名を書き加えた。これを読んだら夫はどう思うだろう。少しやり過ぎかしら? #三連ツイノベf

2013-09-21 01:25:15

泣き声が聞こえる

おーさん @osayas811

どこかで女の泣く声がする。俺が殺した妻の亡霊かもしれない。妻は5年前、浮気をして家を出た。相手の男の家を訪ねた俺は、男の留守に妻と口論になり、思い余って妻を殴り殺してしまったのだ。俺は一生この秘密を抱え、娘と二人で生きていく。だがあの女の泣き声が、俺を責め続ける。 #三連ツイノベ

2013-09-22 01:52:17
おーさん @osayas811

どこかで子どもの泣く声がする。あの子かもしれない。私は5年前、浮気をして夫と娘を捨てた。あの日夫に殴られ、気を失った私は、初めて自分の愚かさに気がついた。あれから何度も家の近くに行ったけれど、夫に会う勇気が出なかった。あの子が泣いている。そばに行って抱きしめたい。 #三連ツイノベ

2013-09-22 01:52:45
おーさん @osayas811

どこかで猫の鳴く声がする。公園にいたあの子かな。パパは猫を飼っちゃダメって言った。猫が好きだったママを思い出すんだって。ママは死んだって言ってたけど、ミクは違うと思う。ときどき家の前にいる女の人がママのような気がするの。でもあの猫の声、まるで人間の泣き声みたい。 #三連ツイノベf

2013-09-22 01:53:12

未練のタイムライン

おーさん @osayas811

タイムラインで見つけた、見覚えのあるアカウント。誰かにリツイートされてきたらしい。半年前、私は彼に言ったのだ。「私のメアド削除して。こっちからももう連絡はしないから。あと、お互いにフォローも外そうね。私のツイート見るの辛いでしょ?」彼はわかってくれたと思ったのに。 #三連ツイノベ

2013-09-23 19:25:18
おーさん @osayas811

自分でも呆れてしまう。まだあいつのことが忘れられない。メアドは消された。ラインはブロック。ツイッターのフォローも外させられた。もちろん電話なんかできない。でも俺はあいつに自分の気持ちを伝えたい。そのとき俺は、自分のフォロワーにあいつの女友だちがいるのを思い出した。 #三連ツイノベ

2013-09-23 19:27:35
おーさん @osayas811

俺はタイムラインでそのツイートを見つけた。「私を今も好きでいてくれる誰かへ。ありがとう。でも、私はもうあなたの知らない人と、あなたのいない人生を歩いています。今後お互いのベクトルが交差することはないでしょう。忘れてください」男名前のアカウントを見て、俺は泣いた。 #三連ツイノベf

2013-09-23 19:29:38

青春のタイムスリップ

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