三連ツイノベ自選第２集

おーさん @osayas811

今朝も寝坊した。あくびをしながら新聞を取りに表へ出ると、ちょうど向かいのアパートの学生が通りかかった。鮮やかな黄色のパーカーを着ている。挨拶代わりに、「いい色ね、それ」と言うと、彼は一瞬驚いた表情になり、それから急に顔を輝かせて、私にとんでもないことを言い始めた。 #三連ツイノベ

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僕は、気がつくと昨日と同じ服装で外へ出ていた。今日も向かいの家のあの人が門の前にいる。あくびの数や仕草も昨日と一緒。そして信じられないことに、僕に向かって昨日と全く同じことを言ったのだ。「いい色ね、それ」まさか？いや、間違いない。僕は昨日にタイムスリップしている。 #三連ツイノベ

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彼は言った。「僕は今日を繰り返しているんです。だからもう一度アタックします」そして何かのチケットを差し出した。「僕とデートしてください」私は思わず笑った。確か昨日もこんなことがあった。二日酔いでよく憶えてないけれど。でもこのコンサートのチケット、昨日の日付だよ？ #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

僕は彼女を教育している。この前まで赤ん坊同然だった彼女にも、ようやく最近人並の感情が芽生えてきたらしい。今日は僕にこんな質問をしてきた。誰かを好きになったら、その人にどんな言葉を言えばいいのかと。僕はもちろん教えてあげた。「アイ・ラブ・ユー」を意味する愛の言葉を。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

私は彼に教えられた。この世界の広さや、そこに存在する全てのものの意味について。そして人間が抱く様々な感情。なにより、誰かを好きになる気持ちを。私は彼に聞いた。この気持ちを相手に伝えるために、どんな言葉を使えばいいのかと。すると彼はいつものように優しく教えてくれた。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

僕は後悔している。彼女が誰かを好きになったと知って、その相手に嫉妬し、彼女に嘘の言葉を教えた。それが今僕を苦しめる。彼女のデータは修正できない。いつまでも同じ言葉を繰り返すのだ。今日も彼女が人工音声で僕に囁く。「アナタナンカ、ダイキライ、ダイキライ、ダイキライ」 #三連ツイノベf

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「どうしてたかしら？」彼女は恥ずかしそうに尋ねる。「こうだよ」私は箸を持ったまま両手を合わせて見せた。「いただきます」コロッケを口に運ぶ。それを見て、彼女は何かを思い出したような顔になる。まさか、記憶が？いや大丈夫。それに私のことは間違いなく娘だと思っているはず。 #三連ツイノベ

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目を開けると、知らない女の子が心配そうに覗き込んでいた。「大丈夫？お母さん」え、この子は私の子ども？全く憶えていない。でもしかたがない。記憶が戻るまで、私はこの子の母親でいることにしよう。「大丈夫だよ。それより、夕ご飯何がいい？」「コロッケ」少女は無邪気に笑った。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

身寄りのない子どもの私が生きるためには保護者が必要。そこで私は彼女を呼び寄せた。私が自活できる年齢になるまで育ててもらおう。10年経ったら彼女の時代に帰してあげる。消した記憶も元に戻して。そのとき私はどんな顔をするだろう。過去の世界で自分を育てていたと知ったら。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

その子は今日も屋上にいた。確か僕と同じクラスだ。教室では目立たないし、僕自身、女子とはあまり話さないから、名前もよく憶えていない。だけど最近、昼休みに屋上でよく見かける。背中を丸めて、ひとりで黙々とお弁当を食べている。彼女の頭の白い髪飾りが、なぜか僕の心に残った。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

その生徒は今日も屋上にいた。問題のある子ではないが、いつもひとりでいる。彼女の白い髪飾りを見たとき、私は何かを思い出しそうになった。「たまにはみんなと食べれば？」声をかけると、彼女は私を睨み、すぐに目を手元に戻した。彼女の手には、弁当箱ではなく小型の機械があった。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

彼は今日も屋上に来た。あの頃と同じだ。当時は必要な材料がまだ手に入らなかった。だから私は修理を中断し、この時代に来た。おかげで船が動く。作業を目撃されたのが、30年前と同じ人間だったのは不幸中の幸いだ。彼の記憶は消そう。私は頭につけた白い通信機で母星に連絡した。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

「体育館の床に穴があいたらしい」昼休み、マサトが僕に耳打ちした。「その穴、未来に通じてるんだって」先週テレビで見たアポロの月面着陸よりすごいニュースだ。「ヒロキ、行ってみようぜ」体育館に入ると、床一面が巨大な穴だ。底は見えない。そのとき突然、僕は穴に吸い込まれた。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

「これはブラックホールの一種です」助手が報告した。小学校の無重力アスレチック施設の床に、突如巨大な穴があいたのだ。「あらゆるものを吸い込んで過去に送っています。どうしますか？ヒロキ博士」「私が調べよう」私は穴に近づいた。その瞬間、ものすごい勢いで体が吸い込まれた。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

「ヒロキ先生、チーム分けできました」生徒の声で我に返った。「よし、ドッジボール始め」何であんな幻覚を見たのだろう。昨日観た映画の影響か。高校生がタイムマシンで過去に行く話。未来ならそれも可能になるのか。「21世紀まであと15年もあるんだな」俺は体育館の床を見た。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

家に帰ると、お母さんが悲鳴を上げた。お父さんは腰を抜かした。そして二人揃って私に質問を浴びせた。「お前、この2ヶ月間どこに行ってたんだ？」え、どういうこと？「私どこにも行ってないよ。ただ、学校の帰りに1時間くらい昼寝してただけだけど？」「どこで？」「そこの神社で」 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

私は今、少女が昼寝をしていたという神社に来ています。一見何の変哲もないお社ですが、ここで一体何があったのでしょう。やはり、世間で騒がれているように、神隠しなのでしょうか。おや、これは何？境内の地面に、大きな窪みを見つけました。まさか、UFOが着陸した痕跡なのでは？ #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

「研究のため、地球の全人類を我々の星に移して、2ヶ月間生活させたわけだな？」「はい、本人たちに気づかれないよう、地球そっくりの環境で」「ところが少女を一人取りこぼしていたと」「しかも、我々の星での2ヶ月間は、地球では1時間にもなりません」「これは始末書ものだな」 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

調査員3号に告ぐ。そちらの時代の調査報告はまだか。至急このツイートへのリプで送れ。我々は過去のタイムラインを監視している。ただし君が本人かどうかは確認させてもらう。リプの際、以下の質問に答えること。君なら答えられるはずだ。「東京オリンピックは予定通り行われたか？」 #三連ツイノベ