RGD・・・とある車中の会話

リカ=アナグラム @rika_anagram

今宵語るのは別のカケラ、薔薇と銃の世界ね。

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とは言っても、私はカケラを見てきただけに過ぎないわ。

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これから語る物語は一つの可能性にしか過ぎないと理解したうえで聞いて頂戴。

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これは銃と薔薇の物語、皆の知る世界より少し前のお話ね。

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ここは東京の２３番市。走る車のうち一台の中の出来事であった。 車の中には二人の人影。片方が語りかける。

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「この街はいつになったら落ち着くんだろうな、サイラス」

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「お前のお陰で俺は落ち着けたが、街が落ち着くのはまだまだ先だろうよ。」

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問うのはリチャード、リチャード・舞扇、問いに答えるのはサイラス、サイラス・斎村だ。

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「意外だな。お前ならすぐに立ち直るさ、とか言ってくれると思ったんだが…」

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「そりゃ他の連中がいるならそういうさ。だけどここにいるのは俺たち二人だけだろ？そんなお世辞みたいなこと言ったって本心でどう考えてるかなんてわかっちまうだろ？」

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リチャードは一瞬呆気に取られた。だがすぐに納得したようだ。

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「確かに子供の頃からの長い付き合いだものな。お互い隠しきれないか。」

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サイラスはその言葉が嬉しかったのか片目でウインクをしつつ運転を続ける。

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「祐司君のことが心配なんだろ？今はおまえもステラも元気だからいいけど死ぬまで一緒にいれるわけじゃないもんな。」

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「あぁ両親と仕事のお陰でまとまった財産は遺してやれるが、私にはそこまでしか出来ないからね。」

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「ステラのやつも仕事が仕事だからいつかイイ男捕まえて出て行っちまうかもしれねえもんな。あれだけ器量が良くても流石に子連れで嫁入りは出来ないだろうし…」

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「ふぅっ・・・確かにうまくやっているようだが、嫁に行けるのかどうかも心配なんだがね。あいつの家事スキルがどんなものかはおまえも知っていただろう…」

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片方の手を頭に移しつつサイラスは記憶を辿る。幸い道は真っ直ぐで車の通りも少ない。事故にはならないだろう。

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「思い出せないか？」 「あぁーっと、えーっと…そうだ、確かに酷い部屋だったわな」

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サイラスは思い出してすっきりしたのか、頭に当ててた手を下ろして軽くハンドルを叩く。

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「思い出してくれたか。オモチャやぬいぐるみを一杯持ってたわけでもないのに荒れてただろ？大人になればマシになるだろうと思っていたんだがね…」

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あら、まだ物語を半分程度しか語れてないのに魔女仲間からのお便りが届いてしまったわ。

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読んでくれている皆には申し訳ないけれど、今宵はここまでとさせて頂戴ね。

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続きはまた後日にね。

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その言葉にサイラスはじとめでリチャードを見る。 「おいおいハタチ過ぎの立派なレディだろ。夜の女の代表格なステラ様が家事は一切駄目とか言わないよな？」