リヴィング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ #6
「……例のNARAKUか。ニンジャスレイヤー=サン」インターセプターは言った。再び間合いを詰めにかかった彼の足が止まった。ニンジャスレイヤーの赤い目の光は収束し、赤黒いセンコの光となる。インターセプターは油断無きカラテを構える。「貴様の負けだ。奥の手を先に晒すとは」71
2013-11-22 00:16:44「スゥーッ……」ニンジャスレイヤーは、深く、深く、深く吸った。そして言い放った。「笑止」「オオオオオ……」インターセプターはカラテ戦士の暴力性を一際あらわに、ブッダデーモン像めいたカラテ圧力を解き放つ!バリバリバリ……ショウジの紙が音を立ててひとりでに裂けてゆく! 72
2013-11-22 00:23:56「イヤーッ!」インターセプターが仕掛けた!ニンジャスレイヤーの深い呼吸を放置すれば、恐るべきワザを呼ぶであろう事は明らかであったからだ。ソウカイヤ、ザイバツのみならず、セクトにもその破滅的カラテ・ヒサツ・ワザの餌食となったニンジャは数多い!ニンジャスレイヤーは接近に応じる! 73
2013-11-22 00:29:44「イヤーッ!」インターセプターはハイキックを繰り出す!だがこれはフェイント!上げかけた右脚の角度を変え、ローキック!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーが怯んだ。しかしその目の赤黒い光は一層強まる!「イヤーッ!」インターセプターは大振りのフックを振りかぶる!隙ありだ! 74
2013-11-22 00:31:53「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはこれを逃さず一歩踏み込む!そしてチョップだ……だがナムサン!大振りのフック動作はニンジャスレイヤーの反撃を誘発する更なるフェイント、罠であった!フックは飛ばなかった。その大仰な動作が帰結したのは独特の構え……絶対防御カラダチである! 75
2013-11-22 00:37:46インターセプターにチョップが吸い込まれてゆく。ニンジャスレイヤーは己の鼓動を大きく聴いた。空気の抵抗が何十倍にも重く増し、全ての動作が緩慢となる。ニンジャアドレナリンの分泌だ。今回あまりにもその分泌量が過大であった為、流れる時間は彼の周囲でほぼ完全に静止、無音の世界が訪れた。76
2013-11-22 00:43:02ニンジャスレイヤー。インターセプター。ともに動くことがない。やがて無音の世界に、徐々に沸き起こる呻き、呟き、言葉、叫び、咆哮。(((殺すべし。全ニンジャ殺すべし。根絶やしにすべし。滅ぼすべし!ジゴクを生み出すべし!)))ナラク!ニンジャスレイヤーは邪悪な害意と歓喜に浸される!77
2013-11-22 00:46:32それは彼の内なる声でありながら……しかし、彼自身ではない。(それは別のものだ)ニンジャスレイヤーはナラクの邪悪な意志を装束めいて纏いながら、その本質を明け渡しはしなかった。(俺が振るうこの力は、ただ俺のために在る)(((……いずれわかる。フジキド))) ナラクの声が溶けた。 78
2013-11-22 00:52:55ニンジャスレイヤーの意志がニューロンを走り、腕先に雪崩を打った。チョップを繰り出す右手が微細な震動を開始。この反自然の動きを実現する為に、毛細血管が裂け、筋肉が裂け、鮮血が噴きだした。墨絵空間における、数えきれぬ程のインターラプターとの対戦。その先に見えた対カラダチのカラテ。79
2013-11-22 00:58:11絶対防御カラダチ!敵のカラテを吸い付け、あるいは弾いて身体の自由を奪う!インターラプターのカラダチは吸い付け捕らえる作用を持ち、一方、インターセプターは逆に拒絶して封じる作用を持っていた。いわばそれはプラスとマイナス!コインの裏表!正と負!作用と反作用! 80
2013-11-22 01:02:21二者のカラダチの作用は真逆であるが同じ原理にもとづいている。カラテ震動だ!インターセプターの防御姿勢は微細なカラテ震動下にある。その振動周波数と逆位相の……即ちインターラプターのカラテ震動をぶつけ、そのカラテノイズをキャンセルすべし!チョップが……触れる!「イイイヤアーッ!」81
2013-11-22 01:08:54KRAAAASH!「「グワーッ!」」ナムサン!破砕!インターセプターの腕が……へし折れた!一方ニンジャスレイヤーもまた、右腕からおびただしい量の血を迸らせ、歯を食いしばってたたらを踏んだ!「バカな……?俺のカラダチを……破る!?」インターセプターは目を見開いた。 82
2013-11-22 01:14:31「ヌウウーッ……」ニンジャスレイヤーは敵を凝視!だらりと垂れた右腕を覆う赤黒い血が泡立ち、沸騰し、徐々に金属光沢を帯び始める。ブレーサーが生じた!彼は拳を握る!再び踏み込む!「貴様……」インターセプターが無事な方の手で断頭チョップを繰り出そうとする。ナムサン! 83
2013-11-22 01:17:08「「イヤーッ!」」KRAAASH!ニンジャスレイヤーは血のブレーサーで覆われた右腕を断頭チョップに叩きつける!即席のブレーサーは一撃で再び砕け、その腕もろとも犠牲となった。「「グワーッ!」」しかしインターセプターのダメージも相当である。ニンジャスレイヤーは一瞬で状況判断! 84
2013-11-22 01:23:27瞬時に踵を返した彼は、敵と反対側へ突如走りだした。その先には屋形船の柱のひとつがある!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは回転跳躍!腕が使えぬのなら、脚!彼は柱を両足で蹴り、跳んだ!反射的飛翔が生み出す圧倒的トビゲリ……名づけてトライアングル・ドラゴン・トビゲリ!ゴウランガ! 85
2013-11-22 01:26:41「ヌウウウーッ!」一方のインターセプター!折れていない腕、傷ついてはいるが、まだ動く!死力を振り絞り、その手はあの独特の握りの拳……ツヨイ・タタミ・ケンの構え!上半身がぐるりと回転した!そこへドラゴン・トビゲリ到達! 86
2013-11-22 01:32:03「イイヤアアアーッ!」「フンッ……ハーッ!」おお、見よ!どちらが死闘を制したか!……ニンジャスレイヤーは転がりながら着地!一方、インターセプターは?ナムサン!インガオホー!心臓部に赤熱する足型が焼きつき、ハンニャめいたメンポの呼吸孔から血を吐きながら後退!「ゴボ、ゴボーッ!」87
2013-11-22 01:35:16インターセプターは堪えられず、仰向けに倒れる!ニンジャスレイヤーは決断的に接近し、のしかかり、マウントを取った!振り上げるは左腕!その両目が赤黒く輝く!「ニンジャ……殺すべし!」「バンザイ!ハーヴェスター=サン!バンザイ!ザムラ・カラテ!」インターセプターが叫んだ! 88
2013-11-22 01:39:02ニンジャスレイヤーは左腕で殴りつける!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」おお……おお!89
2013-11-22 01:40:29その同時刻……デスデリバラー・ヤクザクランの二階事務所では、ウマサマのケリ・キックが無慈悲にサイシを捉えた!「グワーッ!」サイシは床を転がり、血みどろで倒れるシゲトの横で身悶えする!肩で息をするウマサマが呪詛を吐く。「ワドルナッケングラー……」「イヤーッ!」シゲトが立った!90
2013-11-22 01:44:43「テメエいい加減に……」ウマサマの目にはもはや恐怖があった。シゲトは向かっていく!あの日のカラテ!あの日の高揚!前へ進む!「イヤーッ!」ウマサマはガードしようとした。腕が上がらぬ!「グワーッ!」顎先にクリーンヒット!「ムン」白目を剥き……崩れ落ちた!「勝った……勝った!」91
2013-11-22 01:46:56「ドッソイオラー!」凱歌をあげる暇もあらばこそ、遂に部屋の外では地回りから帰ってきたとおぼしきスモトリヤクザがオスモウタックルで水晶チャブごと扉を破った!雪崩れ込むヤクザ!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」BLAMBLAMBLAMBLAM……「ウオオーッ!」 92
2013-11-22 01:49:58銃撃の中、シゲトはサイシを引き起こした。サイシは自分の足で立ち上がった。BLAMBLAMBLAM……銃撃が窓ガラスを割り砕く。逃走路を!「「イヤーッ!」」二人の若者は闇の中へ身を躍らせた……BLAMBLAMBLAMBLAM……銃撃……銃撃……。 93
2013-11-22 01:53:35「クッソ……メチャクチャだ」走りながらサイシは唸った。「どうしようもねえ。撃たれてるかな」「ゲホッ、わからね」シゲトは答えた。「メチャクチャ殴られてるしよ」「テメエが悪いんだぞ」とサイシ。「栄光のサクセス計画……」「黙れよ、クソが」シゲトは吐き捨てた。「やってられっかよ!」 94
2013-11-22 01:56:40「アサシンが来る。ゲホッ……おしまいだぜ」「ここにいたらおしまいだな」シゲトは答えた。だから走るしかない。彼は闇を見据えた。霞む視界。だが、前へ。あの日のカラテ。彼は名も知らぬ赤黒のニンジャに、不思議な畏敬めいた気持ちを抱いた。前へ進む力。生きる力……。 95
2013-11-22 01:58:56