「スリー・ニンジャズ・アンド・ベビー」#2 ――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説

サイバーパンクニンジャ活劇『ニンジャスレイヤー』(@NJSLYR )の二次創作小説、連載第二回です。 ・第一回(http://togetter.com/li/590041 ) ・第二回(このまとめ ) ・第三回(http://togetter.com/li/600028 ) ・第四回(http://togetter.com/li/605167 ) 続きを読む
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うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

ヤツハシは思わず顔を寄せる。甘ったるい赤子の体臭が、彼女の胸に甘い痛みを呼び起こす。過ぎ去った時は戻らない……そんなことはわかっている。だが、それでも、彼女の胸にはいつの日か己の息子と再会する夢が息づいていた。……だが、彼女はマッポーの世の定めを甘く見ていた。 65

2013-11-22 23:14:12
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「アカチャン」背後で声。「私の、アカチャン」ヤツハシはぎくりとし、慌てて振り返った。隣室の灯りを背に立つシルエット。黒く塗りつぶされ顔は解らぬ。「お静かに。お子さんはお休み中です」言いながら、彼女はシルエットに違和感を覚えた……昼間目にした若い女は、こんなに背が高かったか? 66

2013-11-22 23:16:27
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「……」女は無言。ヤツハシは訝しみながらも、「先ほどお尋ねした件ですが」女に言葉を投げつける。「記載の不備は事後ですから致し方ないとしても、その後のお言葉から、お母さんには母としての自覚が欠けているんじゃないかと判断」「ホホ」「なんです?」「ホホ……ホホ……お母さん!」 67

2013-11-22 23:20:28
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

突然!「ホホ!」シルエットが甲高い笑い声を発した。「ホホ!お母さん!ホホホホホホ!アカチャン!」哄笑に身を震わせるシルエットの足元に、ドサリとなにかが倒れた。「ジン=サン……?」ヤツハシは倒れこんだものの頭に見慣れたチョンマゲを発見する。だが、なにかがおかしい。 68

2013-11-22 23:22:20
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

ヤツハシは目を凝らす。ジンの顔は暗い天上を見上げている。見開かれた瞳に、鼻から流れた赤黒い血と口から溢れた黄ばんだ泡がゆっくりと滴る。割れた顎の先にあるものはトーフ工場のエンブレム。それはジンの着ているツナギにプリントされていたものだ……ツナギの、背中に。 69

2013-11-22 23:24:23
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「アイエエエ……」ヤツハシのだらしなく開いた口から怯えが絞り出される。崩折れたジンの首は180度回転していた!死んでいる!「アイエ!アイエエエ!」ヤツハシは絶叫!「ホホ!ホホホホホ!」シルエットは哄笑!ヤツハシの目に、ようやく相手のディテールが飛び込んでくる! 70

2013-11-22 23:26:18
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

白いユーレイじみた装束!脂じみた長髪がまとわりつき顔の上半分は判然とせぬ!しかし、両端がつり上がった血のように赤い唇の中、牙めいた白い歯が哄笑に震えるのがはっきりわかる!「アイエエエエエエエエエエ!」ヤツハシの無防備な精神が急激なストレスに見舞われる!結果彼女は失禁! 71

2013-11-22 23:28:26
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「ホギャー!」ヤツハシの背後で赤子の声!悲鳴と哄笑に安眠を妨げられた戸惑いと怒りの声!しかし、それとて一時的発狂をきたしたヤツハシの正気を呼び戻すことはなかった!「アイエエエエエ!」「ホホ!ホホホホホホ!アカチャン!私の、カワイイな、アカチャン!」「ホギャアー!」しかし! 72

2013-11-22 23:30:13
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「泣かした、な」ヤツハシの耳に、低くくぐもった声が、確かに響いた。「アイエッ?」「私の、カワイイな、アカチャン、泣かした、な」ユーレイじみたニンジャ存在は、女と思えぬ低い声で告げた。「ドーモ、ストーンコールドです。アカチャン、泣かした。死ね」 73

2013-11-22 23:32:31
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

(「スリー・ニンジャズ・アンド・ベビー」#2)(おしまい)(#3に続く)

2013-11-22 23:33:28
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