ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/14

nohironogi on earth @nohironogi

#twnovel #twnvday 国政調査かい。ご苦労だね、こんなとこまで。まあ、見てのとおり。現住所は公園、無職、独身、年齢は忘れたね。てきとうに書いといてよ。ん？　他のやつら？　そのへんにいるだろ……あ、もう十月か。じゃあ、何人か旅行中だわ。出雲に行ってんだ。神様だからさ。

ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel #twnvday 旅の一向が隣村を出たという話しを聞いた私は先回りして彼らに追いついた。そこには猿と河童と豚。そして馬に乗った人間がいた。まちがいない。私は天竺へお供させてほしいと懇願する。だが彼らは浦安のディズニーランドに行くという。私の旅は儚く消え失せた。

リリングミスト @RelyingMist

教頭「まず、斉藤くんの記憶を不特定多数の人がダウンロードできるようにしたとして首謀者１名を無期停学。斉藤くんの記憶をインストールした4人は明日から3日間の謹慎処分。斉藤くんは校長の記憶で上書きされてしまったので校長として生きていきます」校長「すげえやだな」 #twnovel

ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel よろしければどうぞと隣りの席の眼鏡の紳士が眼鏡の曇り止めを貸してくれた。私はラーメンを食べる箸を止めて彼の好意に甘えた。「ありがとうございます」彼に曇り止めを返すと「ご馳走さん」と彼はすぐに店を出て行った。私は少し物思いにふけたが鉢に残ったスープを飲み干した。

夢名 七志 @mumei7c

金縛りには前兆があって「あ、来る」って解るんだ。恐いとかよりも、解けなかったらどうしようって焦るね。どうも、寝てる意識が体を動かす神経に繋がらないって感じ。夢の中から実際の体を動かすのは無理だよねぇ。だから、どうにも出来ないと思うよ。もう直ぐこの惑星に来るけど。 #twnovel

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

夢瓜という実を知っているかい。それは木通くらいの小さな瓜で、朔の夜にだけ花実をつけるらしい。花は夜露を吸い青白く輝くんだと。けれど目にしても決して採ってはいけないよ。実は人間の夢を吸い虹色に染まるのだから。夢を取られた人間は、二度と眠ることが出来ないというよ。 #twnovel

layback @laybacks

旅に出るよ。そう言って海を渡った奴が12年ぶりに日本に帰ってくる。メジャー通算115勝。燦然たる結果を残した奴も遂に戦力外通告を受けたそうだ。ざまあみろ。そう言ってやろう。ベルが鳴る。子供の頃散々聞き慣れた声が響く。「おーい磯野、野球しようぜ」 #twnovel #twnvday

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 高度3万キロメートルをちょっと越えた辺りの旧展望台でぼくは呆けていた。むかし人々が夢見た天国という世界は、ここよりも高いところにあるのだろうか。そこは地上よりもすばらしい場所なのだろうか。中央ケーブルを昇っていくぼんやりとした人影たちをぼくはぼおっと見ていた。

@xxraguelxx

一度で天井が見渡せてしまうようなこの狭い部屋で彼に抱かれて眠っていると、明日なんて来なくていいと思えた。小さな部屋で更に小さくなって、息を潜め、私達は夜に淀む秘密になるのだ。どうか、誰も私達を見つけないで。明日も一緒にいられる保証なんてどこにもないのだから。 #twnovel

あまたす @amatasu

男は、パソコンの画面を見て溜息をついた。「世知辛いなぁ。さ、お前はたんとお食べ。こうやって食べさせてやれるのも、今だけかもしれない。―クリスマスまで仕分けだなんてなぁ」画面には「クリスマス終了のお知らせ」が並んでいた。傍らで、トナカイの赤い鼻が悲しげに光った。 #twnovel

ぼろいねこ讃 @nekoboro

おまえは主人の帰りを待ちわびるような性格じゃなかったから、駅まで迎えに来ることは一度もしなかったけれど、でも最後だけは来たね。ほとんど壊れてしまった惨めなわたしの枕元に迎えに来たね。なつかしい鈴の音が聞こえて、わたしはとても安らかになったんだ。 #twnovel

Tohru Ishizuka @operahaus

「星夜」七丁目の交差点のバーの帰り、あわてて終バスに飛び乗るが客はいない。ついうとうとと寝てしまう。気がつくとなにやらがやがや声。バスのなかは白く光る人たちでいっぱい。「おや、新入りだぞ」前の座席の人が振り返り、胸をとんと叩かれると、ぼんやり白く輝きだした。 #twnovel

明宏訊 @aliceizer

#twnovel 音楽の勉強の合間に、少女は窓の外を眺めるのが好きだった。彼女の演奏を聴くために、バッタやコオロギが耳を峙ててくれる。しかし、残念なのは悪ガキどもに捕まってしまうことだ。少女の演奏を聴きに集まってくることを知っていて、彼らは待ち伏せしているのである。

もとこん(TAKARA) @motokon_0101

#twnovel 獏を飼うことにした。最近嫌な夢ばかり見てちっとも眠れないからだ。しかし獏を飼い初めてから夢を見ることなく朝までぐっすり眠れるようになった。ただ、ひとつ困った事は、嫌な夢だけじゃなく良い夢も見なくなってしまった事…。

←イオ/いつき‐≪ ‏@ﾉ @sakuyaio

旅立つ時に渡されたのは簡略化された国内地図と虹と同じだけの色鉛筆だった。どちらも僕らには少し値が張るもので、けれど両親は笑顔でおくってくれた。行った場所聞いた町気に入った所が書き込まれた僕だけの地図。旅立った時より彩られた地図を手に久々に故郷に帰る。 #twnovel

泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 「嘘月」とか「死にたがりの月」と呼ばれる天体現象がある。真昼に太陽を追って月が動き、太陽と重なると共に消えてしまう。本物の月は夜に出る。うっすらと見えるこの月の模様は兎などではなくどことなく人の顔に見える。稀にしか現れないが、その日は極端に自殺率が高まるという。

wacpre @wacpre

#twnvday 今でも片道切符なんて使い方はするけど、実際に見たことはない。『昔は紙で出来た切符なんてものがあったらしいよ』と、彼が教えてくれた。今と違って紙を贅沢に使えた時代だったんだね。顔認証でのチェックインを済ませ、今から海王星へと新婚旅行。 #twnovel

たくわん @takuwan_takusan

家じゅうの布製品が全て消滅した。もちろん私は素っ裸だった。慌ててネット通販で衣服を注文して、品物が届くまで家に引きこもった。数日後、玄関のチャイムが鳴った。私は自分の姿を見られないように薄くドアを開けた。するとそこには、新聞紙を身にまとった配達員が立っていた。 #twnovel

140字物語 @shortshortshot

連休が取れたので、小旅行に出る事にした。行先は白亜紀。手荷物を整え、近くのコンビニから時間特急に乗る。一時間程で到着。早速ディノライドの受付を済ませる。防護服を着て恐竜に乗る今流行りのスボーツだ。前回は失敗したが、今日は必ず乗りこなしてやるぜ。 #twnovel #twnvday

みゃあ @myahuu

住み慣れた下駄箱を出て、回収されるためゴミ袋の中で待っている。ああ、楽しかったなあ。一緒にアスファルトを歩いた。草むらを歩いた。水たまりの中を歩いた。遠足にも行った。ボクはそうしてすり減っちゃったけど、あの子はこれからもずっと、世界のあちこちを歩けますように。 #twnovel

すわぞ @suwazo

#twnovel 天使と名乗る男が現れた。「羽根もないのに？」と人々は嘲り笑った。「代わりにこれがあるよ」と男が見せたのは２台のはしご。男は１台のはしごを立てて上へ昇り、そこでもう片方のはしごを空にかけ、また昇った。２台のはしごを交互に使い、男はどこまでも空高く昇っていった。

夢名 七志 @mumei7c

暗い不自由な部屋から体の太さ程の穴を通って外へ。光が溢れ祝福の歓声がまるで誕生を喜ぶかのように聞こえた。そして、出迎えてくれた女房の隣には、数人の見慣れた女性が。まずい。だが、腕に抱かれた赤ん坊を見たとたん、一緒に生きて行こうと決心した。見捨てるなんてできない。 #twnovel

ジュン @jun50r

#twnovel 私の彼は帰宅部の主将をしている。「もうすぐ大会だからしばらく逢えないよ」彼はそう言ってまっすぐ家に帰った。寂しいけれど、部活に打ち込む彼を応援してあげたい。彼は毎日帰宅した。雨の日も、風の日も。なぜそこまでして？涙が止まらなかった。　卒業後、彼はプロになった。

夢名 七志 @mumei7c

世界中が注目する奇跡の救出作業も、レスキュー隊員を引き上げるだけとなった。救助活動は助け出す人が無事帰還してこそ称えられる。被災者が確保されただけでは完了していないのだ。そこに当の隊員が顔を見せた。「どうやって出てきた」「え、全員送り出した後に裏の非常階段から」 #twnovel

あＱ （CTT) @aquall

#twnovel あまりにも天気が良かったので、反対方向の電車に飛び乗った。流れる見慣れぬ景色を横目に、会社へは仮病のメールをさっと打ち、知らない街とポカポカ陽気を終日満喫。たまにはいいよね、疲れた心に小さな旅。日に焼けた肌の言い訳は、帰りの電車の中で考えよう。 #twnvday