中堅NPOが教育現場で果たす役割

山形県を拠点に教育・居場所づくりの活動を続けている友人@takiguchikaさんの連続ツイート。
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滝口克典 @takiguchika

【01】少し前から、震災復興支援がらみの活動に携わっている。福島県内で活動している子ども・若者支援NPOからの誘いに応じてのことだ。活動の背景はこうだ。震災後、福島県内では、いじめや不登校など学校問題が質量ともに悪化の一途をたどっている。原発避難者への差別や迫害に由来するものだ。

2013-11-24 09:36:57
滝口克典 @takiguchika

【02】新設したチャイルドラインは鳴りやまず、震災以前から活動してきたフリースクールなどにも深刻な相談が相次いで寄せられるという。それらへの対処のため、国や県はすさまじい額の予算をつけて地元のNPOなどに支援活動にあたらせているが、実際に子どもたちの支援にあたるのは「人」である。

2013-11-24 09:41:53
滝口克典 @takiguchika

【03】さまざまな困難や生きづらさを抱える子ども・若者たちに向かい合うという活動には、相応の作法や構えが必要であり、それらを身につけるには相応の経験や熟練――要は「専門性」――が不可欠だ。つまりは、そうした専門性を宿した「人」が今まで以上にたくさん必要になってきたわけである。

2013-11-24 09:45:47
滝口克典 @takiguchika

【04】ところが、いくら予算を積もうとも、そうした専門性を宿した「人」を急速に、しかも大量に確保するのは容易ではない。そうこうしているうちに、現に支援に携わっている人びとが疲弊し、燃え尽きてしまいかねない状況に陥りつつあるという。「人」を育てるしくみづくりが必要だ。それも早急に。

2013-11-24 09:55:52
滝口克典 @takiguchika

【05】そこで、新人支援者たちの力量UPのしくみづくりを目的に、会津や福島、郡山で10年以上にわたって子ども・若者支援の活動に取り組んでいる中堅NPOの仲間から、同じく中堅NPOを隣県で運営する自分に誘いが来たわけだ。もちろん私は二つ返事で引き受けた。率直に嬉しかったのである。

2013-11-25 03:14:25
滝口克典 @takiguchika

【06】なぜ嬉しかったのか。震災以来、山形という土地は、福島からの「原発難民」の避難先として重要な役割を期待されている。その山形で長年活動してきた自分たちには、そうした状況に対して、当然何かしら果たすべき役割というものもあっただろう。しかし私たちはそれを長らく見つけられずに来た。

2013-11-25 03:19:32
滝口克典 @takiguchika

【07】果たすべき役割? そんなの簡単。NPOなら苦しんでいる避難者家族にアプローチすればよかったではないか。そんな指摘が飛んできそうだ。もちろんそれはその通りだが、潤沢に資金や人手があるわけではない草の根NPOが考えもなく活動を拡大すれば、その先に何が待っているかは明らかだ。

2013-11-25 03:23:03
滝口克典 @takiguchika

【08】そもそもNPOの活動はミッションを軸に組織化されていなければならない。いかに目の前に受苦者がいるからといって、手当たり次第に――ミッション無視で――彼らに手を差し伸べていたら、差し伸べられる手などあっという間に尽きてしまい、本来の役割をも果たせなくなってしまうだろう。

2013-11-25 03:27:09
滝口克典 @takiguchika

【09】現に震災後、私たちは自分たちの持ち場を必死で守りながら、横目でそうした人びとの群れを見続けてきた。補助金目当てでミッションを拡大しどんどん焼け太っていった団体もあれば、新たに始めた避難者支援に人材と手間暇とを奪われ本体となる組織や事業が果てしなく空洞化させた団体もある。

2013-11-25 03:33:16
滝口克典 @takiguchika

【10】未曽有の事態だから仕方ない。とかいうのはなしにしたい。緊急時にまともな対応ができないのは、日常からまともな仕事をしてこなかったためだ。ミッションマネジメントが有名無実化しているのは、連中が日ごろからそれらを軽視していたためである。そういうグダグダの列に加わってたまるか。

2013-11-25 03:36:05
滝口克典 @takiguchika

【11】そんな思いもあって、「それじゃ自分たちにできるまともな被災地/被災者への関わりってなんだろう?」という問いにずっと長い間答えが出せずに来た。本来の自分たちのミッションを前提にした上で、積み上げてきた経験や認識を活かし、持続可能な形で、自分たちに何ができるのかということだ。

2013-11-25 03:40:25
滝口克典 @takiguchika

【12】支援人材育成のしくみづくりへの関与は、そうした問いへの応答のつもりだ。中堅NPOの支援ノウハウを抽出・要約することも、メンター機能を果たし得るベテラン支援者たちのネットワークを構築することも、どちらもこれまでの10年以上に及ぶ活動の蓄積がなければ不可能な取り組みである。

2013-11-25 03:46:08
滝口克典 @takiguchika

【05+】私がひきうけた仕事はふたつ。1つめは、中堅NPOが15年近くにわたり蓄積してきた支援ノウハウをマニュアル化し、若手NPOに移管していくためのお手伝いをすること。具体的には、その中堅NPOの暗黙知の言語化や体系化の作業にファシリテーターとして伴走するというものだ。

2013-11-25 03:51:52
滝口克典 @takiguchika

【05++】二つ目は、新人支援者たちにメンター(相談相手)を提供し、彼らが燃え尽きに陥らずその経験をきちんと血肉化していけるような研修のしくみをつくるお手伝いをすること。具体的には、全国の中堅NPOの活動者たちに呼びかけ、メンターのネットワークを構築していくというものだ。

2013-11-25 04:02:14
滝口克典 @takiguchika

【13】もちろんこれは単なる持ち出しではない。支援人材の不足は、先人の経験を無視して貴重な復興財源を食いつぶしてきた本県の支援業界にも共通する事情だ。参入者を増やし、彼らをまともな支援者に育て、支援の手が届く人々の数を着実に拡大していく――支援のすそ野をひろげる――ことが必要だ。

2013-11-25 04:13:09
滝口克典 @takiguchika

【14】とすれば、福島での支援人材育成のしくみづくりという社会実験は、本県の支援業界にとっても有意義な参照先となるはずだ。被災地は地方の招来の「先取り」という指摘があるが、福島の支援活動の現状もそうした側面をもつ。彼の地でおきていることは、私たちの現在を「早送り」した姿である。

2013-11-25 04:21:41
滝口克典 @takiguchika

【15】いずれきっと山形でも――あるいはすでに――支援人材を増やしたり育てたりするにはどうすればよいかという問いが前景化するときがやってくる。そのときに、そのノウハウはここにありますよ、というか、そんなのはすでに私たちが始めていますよ、と言えるように、今やれることをやっておこう。

2013-11-25 04:26:17
滝口克典 @takiguchika

【16】あの震災からもうすぐ3年。すいぶん手間取ってしまったが、以上が、私(たち)の出したとりあえずの答えである。

2013-11-25 04:27:51