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いつしか感じていた、時の香りに光の響きに終焉は遠くはないと教えられて、初めて玉繭の中にいるような隔離された幸福にいたのだと知る。 自らこの繭、食い千切って終わらせなければならない日が来るのだとしたら、光あふれる日であるといいと望んでいる。 #twnovel
2013-11-23 16:16:18「違いますよ。そうではないでしょう?」ドクトルが首を振る。まるで駄々をこねる子供をあやすかの様に。「余力がない? 決定力に欠ける? そんなのは耳に優しい言い訳に過ぎないでしょう? いいえ、それはもしかしたらお嬢さん、貴女自身そういう風に信じているのかもしれない」 #twnovel
2013-11-23 16:23:51人工の山田くんは、色んな物が雲で出来ている雲の王国に住んでいた。姫が雲で山田くんを作ったのだ。山田くんは優しく美しい姫が大好きだった。でも、姫は糸の国へ嫁ぐ事になってしまった。姫の望まない結婚に山田くんは怒り、姫を連れて空へと逃げた。高く、高く。 #twnovel
2013-11-23 16:42:46「大丈夫だよ」その一言を聞いたのはこれで何度目だろう。無理してそうな感じは漂っているだからこんな時こそ支えてあげたいと思っているのにそう返されてしまう。そんなにも頼りない存在なのかと無駄にうだうだ考えてしまう。でもそんなことを聞く勇気がないから黙ってしまうのだが #twnovel
2013-11-23 17:14:12「大丈夫?」そう優しく私に話しかけてくれる。優しくて優しくて全部全部汚い気持ちを吐き出したくなる。そんなことはできない。優しくて頼りになってとても、大切な人。だからこそこんな私を見せて嫌われたくない。それにこのままだと離れられなくなる。だから、私は大丈夫だよ。 #twnovel
2013-11-23 17:19:51(父娘の続き)翌日、娘が書斎へと来た。「どうしてもお父さんの事を理解したくて、私も剃ってみたの」両手でスカートをたくし上げる娘。ショーツを履いておらず、見事につるつるな恥丘が見えた。思わず娘に背を向けた。「パイパンって、素敵な生き方ね」夕日が滲んで見えた。(完) #twnovel
2013-11-23 17:38:06久しぶりに見た彼女は、もうずっと遠くへ行ってしまったみたいだった。たった数年前、僕の隣で笑って、怒って、ふざけて、そして泣いていた彼女は、ここにはいなかった。あのときたしかに僕が手にしたものは、ちょっと目を離した隙に、僕の知らない場所へ行ってしまったのだ。 #twnovel
2013-11-23 17:41:48凛としていて背筋の曲がっていることや、弱音を吐くことや、慌てふためく姿なんてものを、見たことのないのが、僕の彼女である。そんな彼女が、珍しく、ボジョレーを飲もう、と押し掛けてきて、勝手に酔っ払い泣き始めた。気を張ってるだけなんだと実感した。守りたいと思った。#twnovel
2013-11-23 17:47:50私は、どこにもいけなかった。それに、誰にもなれなかった。冬の風はそんな私を、どこまでもさらっていく。そう見えて実は、どこにも連れていってくれない。君のもとへさえも、連れていってくれない。風に乗れないなら、なにを言い訳に君のところへ行けるのか。 #twnovel
2013-11-23 18:04:43【探偵1】「犯人はあなたです」「ふざけるな!何の証拠があるんだ!」「被害者が握っていた麻雀の白牌は犯人がパイパンであることを示すダイイング・メッセージだったのです。あなたは被害者の寝室に落ちていたこの陰毛が自分のではないと自信たっぷりに否定しました」(つづく) #twnovel
2013-11-23 18:08:03炎が消えた後、焼け焦げ錆び付いた廃墟の中、雨に打たれながら灰色の髪の少女が佇んでいた。足元には崩されたコンクリートの破片が地面に刺さるように転がり、幼虫を潰したような、粘り気のある液体が破片にこびりついていた。口元をきゅっと閉じた少女は、頭を垂れたまま動かない。 #twnovel
2013-11-23 18:10:39発表会でとちった。もう音楽は辞めようと思った。 #twnovel どうせ私はあがり症だし、人一倍練習してようやく並。趣味にしておけばって誰に言われた訳でもないけれど。あの時の楽器は未だ押入れの奥。錆びてないか偶に出しては胸の疼きを確認する。どうせまだ向き合う勇気なんてないのに。
2013-11-23 18:15:53#twnovel 怖がられ、恐れられ、嫌われているあなた。 でも、もういいんだよって、よく頑張ったねって、お疲れさんって、 私のことを全部認めて受け止めてくれる。本当に一番優しいのはあなた。 いつか迎えに来てくれるあなたに、会える日まで。死神さん。
2013-11-23 18:24:44#twnovel 「伝えきれないこの想いを手紙に書くの。手紙に書いてあの人に手渡すの。今からもうドキドキして緊張しちゃう。早く明日にならないかなって気持ちと、明日が来るのが恐いって気持ちと、もう、どうしたらいい?」 なんて文章を山本太郎のニュースを観ながら読んだ俺の身にもなれ。
2013-11-23 18:45:56消えた。アカウントが消えた。検索しても見つからない。消えてしまった。「おはよう」も「おかえり」も「おやすみ」も送れなくなった。誰も気づいていない? もしかして、最初から”存在しなかった”のだろうか? 違う。そんなはずない。そんなわけないっ! 星灯りが絆を照らす。 #twnovel
2013-11-23 19:09:25満ち足りてしまったのだから、もうこれ以上、求められることは、あり得ないという孤独。その荒涼の上に築かれた幸福であるとの自覚だけを抱えているからこそ、愛し続けていられるのだから、終焉という甘美な夢が降り注ぐ日を心待ちにしている。 #twnovel
2013-11-23 19:16:17追っ手は四人弾は三発。逃げる少女は震える手を追っ手へ向けて引き金を引いたが、三発とも明後日へ。少女に近付く追っ手が不意に 闇に食われて 消え失せた。「うま。」瞬く間に三人と一人を腹におさめたその怪物は、六本の腕で地面を手繰り、三本の腕で体に空いた穴を撫でた。 #twnovel
2013-11-23 19:17:03「プラネタリウムは、はじめの頃、投影機が熱でプラスチックの素材が溶けてネタリとしたからプラネタリウムと……。うーん。いまひとつ説得力というかおもしろみに……。このネタは使えない……」 父は娘に質問されるときのために、毎日こんなことを考えて過ごしている。 #twnovel
2013-11-23 19:41:03十一月も下旬に差し掛かった。毎朝家を出るたびにそろそろマフラーを出さなければと思いながらも、未だに襟元は淋しいままだ。去年までは外出のたびにマフラーを巻いてくれる手があった。今はない。だから、誰かの手を待っているのかも知れない。彼の代わりの、温かい、誰かの手を。 #twnovel
2013-11-23 19:53:243Dプリンタがひとりでに動き出して、最初は、真四角の物体を、続いてまんまるの物体を作り出した。それがすべての始まりであった。物体を見た人間の脳波をフィードバックさせ、AIは徐々に複雑な形状のものを生み出し、いずれは、我々の見たことのない、心地よい形状を生み出す。 #twnovel
2013-11-23 19:55:11「最近よくきく『まどまぎ』ってなに?」と娘。 「『マドモアゼル・マギ』の略で、マギとはマジック。魔法だから、『魔法使いのお嬢さん』って意味だ」と父。 「『マドモアゼル』かぁ。主人公の名前が『まどか』だからじゃなかったのか」 「うっ……!」 #twnovel
2013-11-23 20:03:07#twnovel そこでは硝子の花が絶え間無く咲く。花に水をやる少女型のアンドロイドに一目惚れをした。硝子の花の上に風が吹き、シャラランと切ない音色を奏でた。その光景があまりにも美しくて、この瞬間死にたいと思った。これ以上、美しい光景は広い世界を探しても見つからないだろう。
2013-11-23 20:08:34「誕生日にはお妃がほしい。僕の理想の美しい手足顔を持った」王子の言葉に母親の王妃は軍へ命じて、国内の女性から手、足、胴を切り取らせた。人体パズルは進んだが残るは顔だ。「お前の理想な顔は?」「お母様です」軍は王妃の首を刎ねた。王子の誕生日、理想のお妃は完成した。 #twnovel
2013-11-23 20:13:46#twnovel 闇鍋パーティをすることになった。加熱して食べられる物と一人一品持ち寄ることになった。前回はたくあんを入れた人物がいたので予測はできない。私は無難に鶏肉にしておいた。鍋の中に持ち寄った物が無差別に入れられる。今年はまともな鍋に仕上がると良いなぁと僅かな期待をする。
2013-11-23 20:15:55