ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/15

ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 恩師でもあり私を教師の道へ勧めてくれた教頭先生はこの運動会が終われば定年を迎える。「校長までいきたかったが私は雨男だからね」恩師は目を細めてさみしそうにいった。私は丸秘と書かれた学校マニュアルの一行を思い出す。歴代の校長は全て晴れ男でなければならない。

糖類の上 @tinouye

#twnovel ある博士の予測のとおり日本は沈没した。なぜか日本国が旧来主張したとおりの国境線にしたがって日本の周辺の島嶼も沈没し、図らずも日本は消滅することによって領土範囲を世界に認めさせることとなった。

浅葉積木 @tsumiki_a

ずっと背負ってきた荷物を下ろした。荷物たちはしばらくこちらを名残惜しそうに見ていたが、やがて来た道を帰っていった。文字通り肩の荷が下りた俺の足は軽く…なりすぎて地面との摩擦を失った。いくら足を動かしても空回りするだけ。もはや荷物たちを追いかけることもできない。 #twnovel

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 「ねえママ、電気が入らないよ」薄暗い部屋で少女がスイッチをぱちぱちと押している。しかし、何も変化がない。「もぉ、ママったらぁ、聞こえないの？」少女は母親を揺り動かした。母親の劣化した関節部品がギギギと鳴る。少女の動力炉が燃え尽きるまでの700年間、これが日常。

もとこん(TAKARA) @motokon_0101

#twnovel トントントン… 誰かがドアも叩いてる。「おばあちゃん、私、赤ずきんよ。中に入れてちょうだい。」「ここは『かぐや姫』の世界なの。『赤ずきん』のお話は15戸先の赤いドアよ。」「大変！早く行かないと！主役が遅刻したらお話が始まらないわ。」

@K_Ichida

#twnovel 少年は街はずれの樹によく登った。私は根元ではらはらしながら見上げていた。ある日、少年が私に手を差し出した。「一緒においでよ」私は躊躇し、少年はさみしそうに微笑んで登っていって消えた。大人になった私は、あの手を握っていたらと思いながら生き続けている。

@K_Ichida

#twnovel 私は物語の主人公にはなりたくなかった。私には似合わない。主人公は友達や彼でいい。その方が気楽と思いながらも、いつか誰かが私を主役に抜擢してくれる日を待っていた。やがてその日がやってきた。多くの友人や家族に囲まれ、私は主役となった。黒ぶちの枠の中で。

. @gfs5

#twnovel 「処女の血ぺろぺろ」「それワインだろ」「ばれた」「今時処女なんていねーよ」「小学生ならイケる」「犯罪で捕まるぞ」「まじめんどくさい、中学生探してくる」「なんかそれもギリギリだな」「って言うと思ったからワインぺろぺろ」「そういうことか」「吸血鬼やめたい」「うん」

140字物語 @shortshortshot

シュートがバーを越える。またか。大事な代表戦。決めれば英雄だ。「だから言ったろ？必殺のシュートを授けてやる。寿命十年分で」うるせえよ死神。俺は実力で決めるさ。「時間がないぞ」黙れ。「一本七年」死ね。「五年」失せろ。「仕方ない三年だ」のった！俺は右足を振り抜いた。 #twnovel

小高まあな◎11/11文フリさ-03〜04 @kmaana

お菓子の家に住む老婦人を竈で焼き殺したのは、幼い兄妹だった。残虐な殺害方法に少年法の厳罰化が叫ばれる一方で、正当防衛の可能性もあり世論は揺れている。幼い子供を森の中に放置した両親も含め今後の動きが気になる事件である。 #twnovel

Mark @Marknovel

#twnovel 鉱山事故で地下に閉じ込められた34名の男たちは途方に暮れた。一人の男が言った。「この事故は起こるべくして起こった事故だ。俺は知っている。実は、」すると現場監督が突然話を遮った。「落ち着け、助けは必ず来る。」救出劇のニュースは世界を駆け巡った。33名全員無事帰還！

中村ヘボピー @hebop_

長野県小諸に住む吉沢さん一家は、親子三代で悪の戦闘員稼業。祖父の高道さんは悪魔の爪の部下だったという。孫の直人さんも十年前から活躍している。「正直息子には別の仕事に就いて欲しかった」とは二代目道信さん。いくつも組織を渡り歩き、体に生身の部分は殆ど無いという。 #twnovel

小高まあな◎11/11文フリさ-03〜04 @kmaana

聞いた？赤ずきんちゃんを助けた猟師が狼に対する傷害致死罪で起訴されるらしいよ。赤ずきんを助けるために腹を切ったのは正当防衛だとしても、腹に石をつめたのは過剰防衛だって。猟師は石とと狼が溺死した因果関係についても争うらしいよ。仲悪かったし私は殺意あったと思うけど #twnovel

ふぅん @huxun_m

#twnovel 包丁を右手に持ちお腹に突き刺す。さぐりっと一気に水平に走らせば、切り口からどぶあっと血が吹き出す。真っ赤な鮮血…ではなくそれは青々としていた。眩しく青いそれは溢れ出し部屋を満たし僕は溺れる。僕のお腹に海が詰まっていた。

altana @altana

見知らぬ恋人に買うために下着売り場までやってきた。ピンク色のブラジャーとヒラヒラのパンツを店員さんにサイズを聞いて、ラッピングして持って帰る。誰もいない部屋の壁にかかった黒いブラジャーを剥いで新しいのを付ける。毎日新しい下着で新しい気分で暮らしていきたい。 #twnovel

altana @altana

寝静まった早朝の通りを息を潜めて歩き、人々の郵便入れから牛乳を盗み出す。親分今日の分ですぜと言いながら仏頂面してる男に冷たい牛乳を手渡す。二人だけの牛乳強盗団。発案者の親分は近頃サツに怯え始めているが、人々の朝の喜びを奪う快感を覚えた私は今更止められないのだ。 #twnovel

ておまさお @teomasao

遠い未来。人工減少に歯止めがかからない人類は、ロボットと共存する社会となっていた。 #twnovel 精巧なロボットは、人間と見分けるのも難しいほどだ。ある酒場に足繁く通う男は、ウエートレスの女に夢中だった。「お客さん、あの娘はロボットですよ」「いいんだ。オレもロボットだから」。

高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕（宝島社文庫）」より発売中 @Takuya11

#twnovel 酷い店長だった。我々バイトをゴミの様に扱った。「みんなで辞めようぜ。この店潰れるぞ」リーダー格のバイトが言うと僕を含めて多くのバイトがいっぺんに辞めた。心配になり翌日こっそり店をのぞくと、いつもとは違うバイトが普通に店を運営していた。僕らの存在はその程度だった。

҉A҉ a.k.a ҉A҉ @4x1h170fh41vlvl

凹んだときは家の周りを散歩する。辺りに広がるのは飲み屋や風俗が集まる歓楽街。そんな喧噪の中を着の身着のまま、ぞうりをつっかけ歩き回る。大声で笑うサラリーマン。殴り合う若者。道で寝ている酔っ払い。いろんな人がいて良いんだと認めてくれるこの街が好きだ。 #twnovel

140字物語 @shortshortshot

「お前ふざけんなよ！」彼はテーブルを叩いて私を睨んだ。当然だ。私はそれだけの事をしたのだ。親しい間でも許されない事を。「ごめんなさい」素直に頭を下げる。「二度とすんな。絶対だぞ！」「うん」私はため息をついた。でも仕方ないよね。冷蔵庫のプリン食べたかったんだもん。 #twnovel

ジュン @jun50r

#twnovel 妻が恐ろしくてたまらない。私は妻を殺してもらおうと、妻の留守中、部屋に魔方陣を描き悪魔を呼び出した。魔方陣から妻が出てきた。

leica_elmar @mick004

女性達の話と言えば家族や食べ物や芸能の話題。みんな誰のダンナさんが家で何をしているかまで知っている。彼女は今日もダンナの愚痴を言った後「本当に大嫌い」と添えた。そっと心の中で「わたしも」と同意した。携帯には彼女のダンナさんからのメールが蓄積している。返信ゼロの。 #twnovel

ロバ @donkeys__ears

県知事「私の立場じゃ国を変えられない、都知事になります」都知事「私の立場じゃ国を変えられない、首相になります」首相「私の立場じゃ世界を変えられない国連事務総長になります」事務総長「私の立場じゃ世界を変えらない、詩人になります」詩人「世界は変わった！君が変えた！」 #twnovel

八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。暗闇の中で誰かの唇が頬に触れたように感じた。かすかな声で「さようなら」と言うのが聞こえた。いつか出逢った、存在感の薄い女だなと思った。彼女の存在が今、完全に消滅したのに違いない。今夜は呑もう、と人間豹は思った。 #twnovel

水木ナオ @nayotaf

ヤツは昔からちょっと変わってましたね。学校の帰り道、隕石そっくりな石を見付けた時もね、なんて言うのかと思ったら「流れ星の細胞だな！」って。でもまさか、あれから本当に、流れ星の養殖に成功するとはねえ。今度の娘の誕生日には、ヤツの流星群をプレゼントするつもりですよ。 #twnovel