素人が薦めるプラトンの読み方

プラトンの全著作を網羅したわけでもない素人が自分のことを棚に上げて、プラトンを全く読んだことない人向けに、何から読んだらいいかアドバイスしようとがんばったら、こんな感じになりました。 ※プラトンおよびプラトンの思想の解説ではありませんので、このtogetterを読んでもプラトンの知識は深まりません。
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(。ぅ_-̀。) @gotshu

これから「素人が薦めるプラトンの読み方」というわけで、適当にたれながして参りますが、まず、言い訳から。

2010-10-16 04:23:38
(。ぅ_-̀。) @gotshu

まとめるのは、哲学書なんてほとんど読んだことないばかりか、これから薦めようというプラトンですら全作品を読んだわけじゃない素人です。専門の方、有識の方からは憫笑も買いましょうが、こんなものが読まれるにまかせておけん、と、より正確な入門案内をまとめて下さると私が喜びます。

2010-10-16 04:24:00
(。ぅ_-̀。) @gotshu

そういうわけで方針としては、「プラトンの一部の作品を読んだだけの素人が、プラトンを全く読んだことのない人向けに、プラトンを薦める」という感じでいきます。

2010-10-16 04:24:18
(。ぅ_-̀。) @gotshu

まず、プラトンを読む前に知っておいてもいいだろうということをいくつか。 プラトンは同時代の古典作家としては珍しく、その全作品が現在まで伝わっていて、その『全集』には偽書(プラトンの作品じゃないけれど、プラトンの名で伝わっているもの)まで含まれます。

2010-10-16 04:24:44
(。ぅ_-̀。) @gotshu

プラトンの著作は、おそらく、プラトンを全く読んだことのない人が「哲学書」と聞いてイメージするものと違うでしょう。 彼の全作品は「対話篇」で、その名の通り対話形式で書かれています。唯一例外的なのは『ソクラテスの弁明』で、ほとんどがソクラテスの独話ですが、途中に短い問答も含まれます。

2010-10-16 04:27:34
(。ぅ_-̀。) @gotshu

作品中にプラトンの名前が言及されることは何度かありますが、語り手として出てくることは一切ありません。最後期の一部の作品を除いて、ソクラテスが主な語り手です。ソクラテス自身は一切著作を残していないので、歴史的なソクラテス像の多くはプラトンの作品によっています。

2010-10-16 04:27:51
(。ぅ_-̀。) @gotshu

お薦めの読み順: 『ソクラテスの弁明』『クリトン』→((『エウテュプロン』『ラケス』)→『メノン』)→『饗宴』→『パイドン』→『パイドロス』 ※括弧内は、読まなくてもよいけれど、文庫で読めるので、読むならそこで読んでおくとよい作品です。もちろん、後で読むのもアリです。

2010-10-16 04:28:22
(。ぅ_-̀。) @gotshu

括弧にいれてはいますが、『メノン』は『饗宴』以降に出てくる「イデア論」の前提となる「想起説」が提出される作品なので、読んでおいた方が後が楽です。ありがたいことに、短くて読みやすい作品です。 (以下『ソクラテスの弁明』は『弁明』と記します。)

2010-10-16 04:28:41
(。ぅ_-̀。) @gotshu

続いて、個別の作品についてお薦めの訳を。 『弁明』『クリトン』は大抵セットです。古典中の古典なので、邦訳は一番充実していますが、その分全体的に古い。 岩波文庫は古くて読みにくい。 新潮文庫も古いのですが、田中訳は定訳の感あり。『パイドン』併収なのでお得ですが、これまた読みにくい。

2010-10-16 04:28:54
(。ぅ_-̀。) @gotshu

角川文庫は、わりと原典に忠実な翻訳らしく、訳読の参照には便利そうですが、日本語としては読みにくい箇所が多々。ただ、文庫で『エウテュプロン』が読めるのはこれだけなのでありがたい。解説もかなり充実していて、値段も安いので二冊目によいかも。

2010-10-16 04:29:06
(。ぅ_-̀。) @gotshu

講談社学術文庫は新しいので、圧倒的に読みやすいのですが、その分、訳も大胆な印象。クセノポンの手になる『弁明』が併収されてるのは魅力的です。プラトンとは違う視点からソクラテスを垣間見ることができます。 しかし、値段が高い。 中公クラシックスは田中美知太郎訳で新潮版とほぼ同じです。

2010-10-16 04:29:26
(。ぅ_-̀。) @gotshu

『ラケス』は講談社学術文庫のみ。やはり高い。 『メノン』は岩波文庫のみ。藤沢訳は比較的安心の読みやすさです。 『饗宴』は岩波文庫、新潮文庫とありますが、どちらも訳が古く、後者がややマシ程度です。 西洋古典叢書の『饗宴/パイドン』が一番お薦めですが、文庫ではないのでソレナリの値段。

2010-10-16 04:29:36
(。ぅ_-̀。) @gotshu

『パイドン』は岩波文庫が比較的新しいので読みやすい。前述の通り、新潮文庫版なら『弁明』『クリトン』とセットで、『饗宴』を西洋古典叢書で読むのなら、そのまま続けて読めます。 『パイドロス』は岩波文庫のみです。安心の藤沢訳で。

2010-10-16 04:29:56
(。ぅ_-̀。) @gotshu

『弁明』『クリトン』『饗宴』『パイドン』は「ソクラテス四福音書」などとも呼ばれますが、少なくともこれだけは読んで欲しいという作品です。

2010-10-16 04:30:17
(。ぅ_-̀。) @gotshu

上で紹介したものを一通り読めば、プラトンには慣れてきていると思うので、やや長めの初期対話篇『ゴルギアス』『プロタゴラス』などに手を出しつつ、最高傑作『国家』を読んで欲しいなぁ、と。 まぁ、かなり長いので、有名な「洞窟の比喩」「太陽の比喩」だけ、先に読むのもありかと。

2010-10-16 04:30:36
(。ぅ_-̀。) @gotshu

各作品の解説は、各邦訳書巻末の解説にゆずるとして、いくつか諸注意: 哲学概説書のようなものに載っているプラトンについての説明は信用しない方がいいです。Wikipediaも同様。

2010-10-16 04:30:45
(。ぅ_-̀。) @gotshu

通俗的なプラトン解釈は、「こう読まれたらまずい」ということで、後期著作でプラトン自らが批判的な考察を加えている読み方ずばり、ということが多く、その解釈を信用すると、「プラトンは後期著作で、それまでの思想を捨てたんだ」という誤解(まぁ一解釈ではあります)につながります。

2010-10-16 04:30:56
(。ぅ_-̀。) @gotshu

だいたいにおいて、通俗的解釈の基礎には、アリストテレスによるプラトン解釈が置かれています。例えば「イデア論」という名称も、アリストテレスに遡り、彼はプラトンのイデアと、彼のエイドス(形相)を用語として区別しましたが、プラトン自身はそういう区別をしていません。

2010-10-16 04:31:07
(。ぅ_-̀。) @gotshu

初期対話篇に共通の特徴として、最終的に答えが出ないで議論が終わる、ことが多く、すっきりしない気持ちになりますが、答えが出ないことが答え、誰も知ってるとして、疑いもしない常識が、実は思い込みに過ぎないこと、各自が改めて考えなきゃならん、ということだと思えばいいかと。

2010-10-16 04:31:21
(。ぅ_-̀。) @gotshu

一応、お薦めできる解説書もあげておくと、しょっぱな手に入りにくくなってるのですが、まず、斎藤忍随『プラトン』講談社学術文庫:全体のおよそ2/3にあたる250ページが原典抜粋訳にあてられ、これを読むだけで、文庫化されてない作品も含めてプラトンのいいとこどりができます。

2010-10-16 04:31:34
(。ぅ_-̀。) @gotshu

同著者、同書名でややこしいのですが、斎藤忍随『プラトン』岩波新書:出だしそうそうから、プラトンの名前が20ページくらい出てきません。出てきたと思ったらまた20ページくらい出てこない、というすごい解説書。しかし、そこからぐぐっとプラトンの本質に迫るところに著者の才筆を感じます。

2010-10-16 04:32:14
(。ぅ_-̀。) @gotshu

藤沢令夫『プラトンの哲学』岩波新書:これは入門書ではないのですが、一般向けに書かれたプラトン解説書では一番信頼できるかと。プラトンの主要作品を読んでないと辛いですが、これを読んでから、プラトンの作品がいっそう深く読めるようになるはず。通俗的なプラトン解釈も払拭できます。

2010-10-16 04:32:25
(。ぅ_-̀。) @gotshu

以上、つっこみどころ満載だとは思いますが、ご寛恕を。初めの方に書いたとおり、もっと的確な案内があれば、喜んで、ここからリンクも飛ばしますし、何より私が活用しますので。

2010-10-16 04:32:38