マスター・オブ・カブキ・イントリーグ #3

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

庵の中心に座すアンバサダーとディプロマットは、敵の接近を感じ取っていた。より正確に言うならば、包囲を。 22

2013-12-04 22:35:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

庵の中に双子以外の気配は無い。小型地下シェルターへの入口は固く封印され、隠されている。自分たちがその中に立て籠っても意味は無い……敵はすぐにそれを発見し、抉じ開けるだろう。隠れたとて、フロッグ・イナ・ウェルのコトワザの如きブザマな最期を待つのみである。戦わねばならぬのだ。 23

2013-12-04 22:39:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

双子はタタミに座して向かい合い、メンポの紐を結び直す。彼らの鋭敏感覚は、サーチライト光やブーツ音に対し、激しい不快感を訴える。部屋の隅には、爆発したUNIXがひとつ。つい先程、ヘリの上空通過と同時に画面を「禁」の文字が覆い爆発したのだ。無線LANを介したハッキングであろう。 24

2013-12-04 22:45:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

双子はニューロンの速度でテレパシー対話する。『人間の真似事も終わりというわけか』『思いのほか、早かったな』彼らはここからデイトレードを生業として社会復帰し、いずれはガイオンで従者らと静かに古美術商を営むプランを描いていた。そうした枝葉の如き望みを切り捨てるべき時が来たのだ。 25

2013-12-04 22:55:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

認めざるを得まい。未だ顔の見えぬ敵は予想以上に強大な組織であったと。UNIXの爆発と同時に、ささやかな防衛システムや通信手段すら失った。『判断を誤ったか』『何も誤ってないさ、兄さん』アンバサダーは強くなった。『まだカラテがある』枝葉を削ぎ落とした末に残る望みは、互いの生存! 26

2013-12-04 23:01:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオーッ!」KRAAASH!庵の天井を突き破り巨漢ニンジャが出撃!カワラを粉砕した勢いのまま双子へ飛び掛かる!「「イヤーッ!」」間一髪!双子は巧みなバック転で各々後方へと回避!SMAAAASH!直前まで二人が囲んでいた囲炉裏が巨漢ニンジャの浴びせカラテで無惨に破壊される! 27

2013-12-04 23:14:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

敵を挟撃する位置取りで着地を決めた双子は、静かにカラテを構えた。囲炉裏から巻き上がる灰の中に、巨漢ニンジャの威容が浮かび上がる。侘しい湖の風がそれを吹き散らし、彼らは睨み合った。そしてアイサツする。「ドーモ、ディプロマットです」「ドーモ、アンバサダーです」 28

2013-12-04 23:19:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、双子のザイバツニンジャ=サン、アダマンタインです」身の丈8フィートの巨漢ニンジャは、獲物を品定めするように、左右のニンジャを交互に睨みつけながらアイサツした。檻から解き放たれた猛獣めいて心地良さそうに拳を握り、全身の筋肉の躍動とカラテの高まりを確かめながら。 29

2013-12-04 23:30:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヨゴレニンジャの類いか」ディプロマットは直感的に悟った。汚れ仕事を請け負っていたザイバツの非正規ギルド員……下劣なサンシタ共だ。「それに思い違いをしているようだな」とアンバサダー。「思い違いだとォ?」アダマンタインは自分を嘲笑ったアンバサダーに狙いを定め体正面を向ける。 30

2013-12-04 23:37:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シャドーギルドは滅んだ。我々はザイバツニンジャではない」「その忌々しい名で我々を呼ぶな」「勘違いはそっちじゃねえのかァ…まァだ貴族めいた命令口調しやがっ…」敵はアンバサダーに対し亀めいた遅さで歩み寄ると見せかけ、驚くべき瞬発力で後方へとターン!浴びせカラテ!「イヤーッ!」 31

2013-12-04 23:45:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

このフェイント攻撃に対し咄嗟にガードを固めたディプロマット!だがアダマンタインの全体重を載せた重い浴びせカラテパンチは、軽量級ニンジャである彼の体を易々と弾き飛ばしたのだ!「グワーッ!」チャワンが置かれた棚にワイヤーアクションめいて背中を叩き付けられる!敵は予想以上に狡猾! 32

2013-12-04 23:52:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『兄さん!』『011大01丈夫01だ01011』精神集中が乱れノイズが混じり始める!確かに兄の受けたダメージは浅い。しかしこのままアダマンタインが畳み掛けてくれば実際死ぬであろう!「イヤーッ!」アンバサダーは敵の後方からクナイダートを三連続で投げ放ち、柱を蹴って飛び掛かる! 33

2013-12-04 23:59:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「効かねえぜ!ザイバツの坊ちゃんたち!」アダマンタインは腕や背中でクナイダートを受け、急所直撃を回避。その体躯をもってすれば、この程度のクナイはかすり傷!「ウオーッ!」アダマンタインはアンバサダーのトビゲリを回避しながらディプロマットめがけ突き進み、ケリ・キック!ナムサン! 34

2013-12-05 00:07:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」だがディプロマットは紙一重の側転でこれをかわした!KRAAAASH!ケリ・キックで棚ごと粉々に砕かれた年代物のチャワンが甲高い音を立てる!「「イヤーッ!」」双子は敵を中心軸として同時に連続側転を打ち、体勢を立て直した!『大丈夫だと言っただろう』『そのようだ』 35

2013-12-05 00:14:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」その一糸乱れぬムーブメントは、まさに鏡映しの如し!双子は常に距離を保ったまま目まぐるしく動き、敵を左右あるいは前後から挟み続け翻弄するのだ!そして好機を待つ!「ウオーッ!?」アダマンタインはタタミを踏み荒らし、前後左右を苛立たしげに睨みつける! 36

2013-12-05 00:19:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

左右からの投擲攻撃、あるいは危険なヒット&アウェイを繰り出しながら双子は敵の集中力を奪ってゆく!「「イヤーッ!」」「ウオーッ!?」ザイバツ崩壊後も、彼らは有事に備えトレーニングとジツの拡張を続けた。そして至近距離でのテレパシーをより安定させ、この巧みな連携を編み出したのだ! 37

2013-12-05 00:24:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオーッ!面倒くせえ!」アダマンタインは握り締めた片方の拳をタタミに置いて屈み込み、全身に力を篭め始めた!一瞬にして背中と肩から湯気が立ち上り、庵の空気が揺らぐ!『浴びせカラテか』『もっと強力だ』『大きく引くか』『ウカツに背を見せるな、一瞬で飛んでくるぞ……!』 38

2013-12-05 00:35:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

次の瞬間、アダマンタインは爆発的瞬発力で突進!殺人キャノンボールめいた勢いで飛び掛かる!浴びせカラテストレートだ!「ウオーッ!」「イヤーッ!」アンバサダーは紙一重の小跳躍でこれを回避し、敵の鼻先数インチに浮く!メイジン!彼のすぐ後ろで、庵の壁が二部屋に渡って吹き飛ばされた! 39

2013-12-05 00:44:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」アンバサダーは目の前に迫ったアダマンタインの顔面へと連続ボレーキックを繰り出す!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」何たる滞空時間と空中姿勢制御そして情け容赦ない人体急所へのカラテキック連打か! 40

2013-12-05 00:48:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

背後からは無論、既に兄者が連携攻撃を繰り出している!敵の延髄を刈る、トライアングル・リープからの高速スピンキックだ!高速回転によってそのカラテ破壊力は何倍にも高まっている!「イヤーッ!」死の円弧がアダマンタインを狙う!その時、敵は凄まじいカラテシャウトを放つ!「イヤーッ!」 41

2013-12-05 00:55:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

周囲の大気が震える!これは平安時代に編み出されたとされる全身を異常硬質化させるジツ、ムテキ・アティチュード!「「グワーッ!」」アダマンタインは巨大な鋼鉄塊の如く、前後からのキック攻撃を易々と弾き返した!『苦し紛れのムテキだ!攻性ポータルで一気に!』『ダメだ、離れろ!罠だ!』 42

2013-12-05 00:59:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディプロマットが警告を発する。ほぼ同時に、庵の外で隊列を組んでいたカメ小隊がアンタイニンジャ・アサルトライフルを一斉掃射した!ナムアミダブツ!BRATATATATATA!「「イヤーッ!」」両者は連続バック転で回避!だが双子のニンジャ俊敏性を凌駕せんばかりの面制圧連射能力だ! 43

2013-12-05 01:05:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

百発を越える弾丸が庵を貫く!まるで横殴りのTVノイズめいた圧倒的な!『撃ち方ヤメーッ!』カメ小隊長が無線IRCを飛ばす。ムテキ・アティチュードによりアダマンタイン無傷!双子は軽傷!ニンジャ装束無惨!恐るべき連携!これがフスマ越しでなければ即座に戦闘不能に陥っていたであろう! 44

2013-12-05 01:14:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオーッ!」射撃終了と同時にムテキが解かれる。彼らもまた直結IRCによりテレパス並の連携を取るというのか!?「「イヤーッ!」」崩れかけた庵の屋根へ退避する双子!それを東西南北の湖畔から照らす四基の漢字サーチライト!息つく間も無く、東西の松林から湖越しにスナイパー弾が飛来! 45

2013-12-05 01:20:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」双子はそれを紙一重のブリッジで容易く回避!タツジン!そのまま鋭い眼光を松林へと注ぐ。致命的ではないが厄介千万。『ニンジャを前面に出すのが奴らの連携だ』『無防備後方部隊を先に叩くか』『『麦を刈るように殺す!』』互いの生存のためならばどこまでも無慈悲になろう! 46

2013-12-05 01:29:33