『聖学少女探偵舎 巻の一』 感想まとめ1

手前味噌なまとめで恐縮ですが、当サークル作品 http://nagakawa7.com/sst01.html への、ススミハジメさんの長文感想+αをまとめた物です。 「まとめ1」となっていますが、その2があるかどうかは不明です。
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ススミハジメ @susumi_hajime

そんな緊迫した――なにが起きてしまうのだろう、と思った瞬間、「つんつん」と可愛らしい擬音(口で言ってんのかも)。緊迫したプロローグから、ゆったりとした教室の描写にはいるのだが、語り手は同じまま。

2010-10-18 16:35:29
ススミハジメ @susumi_hajime

《01》さて、ここから作劇として分解するのか、物語として分解するのか境目となる。今回はどっちでやったのでしょう?

2010-10-18 16:36:04
ススミハジメ @susumi_hajime

――とすると、解決が提示されないままであるということは、生きている語り手は癒されていない。

2010-10-18 16:36:20
ススミハジメ @susumi_hajime

少なくとも、死を語り手なりに受け入れて覚悟したのに、語り手がその最後(出来事の帰結)と違う状況であること、もしくはその最後の帰結が夢に出ていないという事実が、語り手の中で状況が完了していないことになる。

2010-10-18 16:36:23
ススミハジメ @susumi_hajime

夢は常に完全である。日常が欠けたものになる。だとすれば、彼女はずっと帰結を迎えていない――自分の中で『解決』していないことになる。

2010-10-18 16:36:33
ススミハジメ @susumi_hajime

あのあと何が起きたのか、これから語り手はどうなってしまうのか、語り手は癒されるのか(己を癒せ! おあぁ(上級天使?))……そういった物語の仕掛けからただよう香りが、読み手に色々と想起させていく。プロローグとして、理想的な始まりである。

2010-10-18 16:36:40
ススミハジメ @susumi_hajime

《02》つーわけで、物語寄りな感じで分解。作劇寄りだと深くは弄らない。もっと細かく「SE終わったら、夢から覚める。映画的!」とか書いてる。

2010-10-18 16:37:12
ススミハジメ @susumi_hajime

《03》あと、バックログがないのはひとつの演出では? とか、セーブ出来ないのも演出じゃない? とか、ゲームシステム部分も巻き込んで書くかもね、自分だったら。

2010-10-18 16:37:26
ススミハジメ @susumi_hajime

《04》ここから先は完全に感想文パート。批評する側はモブキャラではない。くすぐりやら偏執的な内容をぶち込んで、読み手に『どういう人間か?』を伝える。そちらのほうが批評してるキャラが明確になるし、「こいつはこう考えたが、俺はこう思うな」って、読み手に思考の展開を促せるから。

2010-10-18 16:37:51
ススミハジメ @susumi_hajime

《05》批評とは「ああ納得したー」とか「こういう読み方もあるのかー」だけで終わるものじゃないと、個人的に思う。一例として、読み手に、自分はこういう読み方が出来るのでは? と思わせるまでが、批評という作品の責任だと思っている。考えることの愉悦、これが批評の醍醐味ではなかろうか。

2010-10-18 16:38:20
ススミハジメ @susumi_hajime

《06》対象の作品の優劣ではない。批評という作品の優劣が発生している(あと、批評に正誤表はないからね)。けなして終わるのは三流(馬鹿)、甘言めいて批評せずに終わるのは二流(無責任)、批評だけで作品を読んだと錯覚させるような魔術的ものこそ、一流(作品)。

2010-10-18 16:38:43
ススミハジメ @susumi_hajime

《07》青山二郎が一時期もてはやされたのは、功罪どちらもあるだろう。小林秀雄の隆盛も功罪。花田清輝が忘れ去れている現在もまた功罪ある……おっと余談過ぎました。

2010-10-18 16:39:07
ススミハジメ @susumi_hajime

それは、プロローグが終わってからも、周囲と自分の齟齬感として変化し、語り手の中でずっと続いているのではないか。不幸なことに、語り手は非常に賢い子だから、それをあえて甘受したり、他人から隠そうとすることで、より『手負い』の部分が強調される。まるで傷を自分でえぐるように。

2010-10-18 16:39:32
ススミハジメ @susumi_hajime

大人顔負けの聡明さを感じさせるのに、その答えの出し方、あるいは状況の受け入れ方は、酷く脆弱なものを感じる……語り手は手負いの獣のようである。

2010-10-18 16:39:17
ススミハジメ @susumi_hajime

そんな語り手が、ある種、他の学校施設から浮き過ぎた洋館に呼ばれるという出来事が、非常に印象的かつ予兆めいている。そして待っていたのは、彼女の性癖――根源に関わる『推理』だった。

2010-10-18 16:39:42
ススミハジメ @susumi_hajime

《08》CGがあるので、おおよそ推測は可能であるが、語り手は女の子であるとわかる。文中で過去の容姿について言及される部分があり、これからプロローグに登場する少女のうち、もう一方が語り手であることがわかる。

2010-10-18 16:40:05
ススミハジメ @susumi_hajime

だから、今回の物語は中高生の少女向け作品と謳っているものの、神話的で非常にヒロイックな――運命的な物語運びが展開されている。当然、作劇の山や谷の作りは、少女たちが主役であるのに、男性的英雄的な力強さを感じさせるものになっている。

2010-10-18 16:40:21
ススミハジメ @susumi_hajime

また、顔見世的な物語は、もちろん主人公や世界の紹介を兼ねているわけだが、その世界を見る語り手の視点(=表現)から、ある程度の登場人物の、その世界のポジションが見えてくる。その変化や停滞を注視すると、日常が瞬時に異形の世界へと変わっていく。

2010-10-18 16:42:18
ススミハジメ @susumi_hajime

《09》つまり赫田ちさとちゃんは、主人公の巴ちゃんにとって、ファム・ファタールであるわけですよ、この第一話では。まあぶっちゃけ、巴と先輩たち、という副題から、巴ちゃんと関わる人々みんながファム・ファタールなわけで。

2010-10-18 16:42:41
ススミハジメ @susumi_hajime

《10》一要素として取り入れられてる『マリア様がみてる』と決定的な違いは、マリみての主人公である祐巳の行動やら心境が物語を作っていくのに対し、巴ちゃんはすでに大きな運命が降りかかっている状態なんですね。だから神話的だと思ったし、すっごくヒロイックな印象を受けたのです。

2010-10-18 16:42:57
ススミハジメ @susumi_hajime

《11》だいたい、巴ちゃんあんまり人と関わろうとしない子だし、その割りに高校デビューっぽくイメチェンしてるアンビバレンツなキャラでしょう? まあ過去を断ち切りためのものでしょうけど……。

2010-10-18 16:43:16
ススミハジメ @susumi_hajime

量的な制限のためか、製作者の意図的なものであるかは、読み手である我々にはわからないけれども、この作劇によって、より語り手や相手となる少女たちのキャラクターが際立ち、読み手を惹きこむことに成功していると思う。彼女たちは、今後どう活躍するのか――と期待させているのだ。

2010-10-18 16:44:12
ススミハジメ @susumi_hajime

……で、ぶっちゃけ第1話は、前編みたいなもので、後編的第2話まで読まないとなー、という感じですので、はやく皆さん製品版を買いませう(と、第2話も第3話も読めるじゃん! ちんこかんで死のう……)。

2010-10-18 16:45:33
ススミハジメ @susumi_hajime

んで、ここで終わってるわけだが(笑)、さて、なんでシナリオを逐一分解するようにやるかというと、そもそも読者を引き込むエンターテイメントとして優れているのか否か、そこを明らかにせんと、どうしようもないじゃん。

2010-10-18 16:46:32
ススミハジメ @susumi_hajime

しかもこれ、ゲームだし。商品なわけだし。作り手の精神性を解剖するまえに、どこまで商品として良いものか、ちゃんと見極めないと。

2010-10-18 16:46:43