「ずっと一緒だよ」「約束」 寒空の下、交わした小指。あの日信じた、失った世界の色は新月色。見えなくて、けれどいつだってそこにあった僕らの郷愁。愛おしくて、何よりも憎らしい君の色褪せた笑顔。ねえ、届いてる? #四季彩冬色
2013-12-08 17:18:41伝えられなかった想いが綺麗なものに変わることはない。35.5℃という温度で少しずつダメになっていく。あの頃の千早振る想いも今では歩く度にグズグズと足元で進む邪魔をする。もう、吐き出す場所もないの。勢いも居場所も失い、邪魔にしかならない想いの色は、腐色。 #四季彩冬色
2013-12-08 18:20:13生きとし生けるものたちが息をひそめ眠る音なき世界。 月さえも凍りつき、ゆっくりと雲間に消えてゆく。 銀世界を深い闇が抱き、雪明りさえも淡く沈む世界。 闇色の濃淡だけが彩る景色に、ただひとつ鮮やかなのは。 雪よりも白く儚い一輪の花。 君の吐息に咲く、霧の花。 #四季彩冬色
2013-12-08 19:04:07色の無い結晶が降り注ぐ。舞い踊る中に手を伸ばすと、手袋に触れ幾つかが消え去る。色が無いはずなのに、同じく透明な雨と違い、こうも白く見えるのはなぜだろう。調べれば答えが見つかるやも知れぬ問い。空を仰いでつらりつらりと考えてみる。君が来るまでの短い時間で。 #四季彩冬色
2013-12-08 19:57:09冬空の下の金魚。舞いだした銀杏の葉。明るい明るい、真昼の空気。燃えるような夕焼け色。頬を照らす。あぁ。気温が下がっても。昼は長くなる一方だ。憂は見えないが、迎えを待っているのだと、そんな気がする。誰を待つとも、何を想うかも、知らないままで。 #四季彩冬色 待っている、ずっと。
2013-12-08 20:17:47抱きしめた君の肩は薄く、触れれば温かかった。愛しているの言葉と伏した面の色は窺えず。胸に当てられた手のひらは怯むほどに冷たく、紅の隠れた爪の先が嘘を吐けずに震えていた。 #四季彩冬色
2013-12-08 20:44:16レストラン。高級なのは嫌。テーマパーク。混んでる。イルミネーション。電気の無駄遣い。 次々と、項目にバツをつけていく。クリスマスにどこかへ行きたいと言ったのは君なのに、僕の提案はことごとく却下される。ああもう、イベントのリストは、君のわがまま色で染まってしまった。 #四季彩冬色
2013-12-08 20:45:40嗚呼、やだなぁ、こんな世界。諦めと絶望に満ちた、灰色の冷たい空間。脱出するには色彩が必要。色彩を手に入れるには君が必要。君を手に入れるには私は不要。なるほど、じゃあ私は脱出できない。証明完了、さよなら希望。私は彩りに満ちた世界へは行けないよ。 #四季彩冬色
2013-12-08 21:10:43「ああ、またこの季節だ」 どうしてかかなしくて、ショーウィンドウに映るわたしは暗い色。 まるでそこだけ闇に包まれているかのよう。 手をのばしても、届かないんだ #四季彩冬色
2013-12-08 21:46:52冬色ってどんな色かな、と君が呟く。 グレーとかそんな感じだな、と僕は答える。 でも、枯れ木に冴えた青空の花が咲くし、枯れ草の下には来年の春色が眠っているし、星は何処までも綺麗な硝子の破片色なのよ。 ──薄紅の唇を緩ませながら、君は微笑んだ。 #四季彩冬色
2013-12-08 22:21:34冷え切った指先で、キミに触れること。その罪深さ。わかっていたはずだった。 染まる、染まる。紅色に染まる。真白の雪原が。キミの肌が。 切り裂かれていく。独占欲に。支配欲に。冬に埋もれて、殺してきた全てがワタシを、 (嗚呼、さよならだ。) #四季彩冬色
2013-12-08 22:42:44"冬の空は澄んでいるから天体観測にぴったりなの" 何て言う君の手を取って真っ暗闇の中を走り出す ねぇ、それならさ、二人きりで星空を眺めながら 夜色に溶けに行こうよ #四季彩冬色
2013-12-08 23:23:05遠くの空に手をかざせば 未来色が透けて見えた。 一瞬だって同じ色は無く、 暗いときも明るい時もある。 太陽の眩しさを道標に、 星の瞬きに寄り添い、 聴こえた音色の導くままに。 ねぇねぇ、未来のぼく、 そっちは順調かい? #四季彩冬色
2013-12-08 23:25:19しん、と。 降り立つ羽の上。 集めれば、また、翔べるのかと。 感覚の喪失。 吐いた息が、しかし熱をもって。 私はここにいる。 ここにいるから、ねぇ。 攫っていって。 透明な景色。 見えるのは、深み。 どこまでも透けていくから。 すべて、全て、総て。 瞳を閉じよう。 #四季彩冬色
2013-12-08 23:45:28俺色に染めてやる。なんて 恥ずかしげもなく言い放った 君色を知らぬまま 私たちの明日は擦れ違った。 ねぇ、君は何色の僕らを 描いていくつもりだったのかな。 橙色の夕陽に染まる街並み、 藍色の訪れる西の空を仰いで、 無色の涙を流し、 闇色の心を洗い流した、あの日。 #四季彩冬色
2013-12-08 23:50:24藍と灰が混ざり合う冬 路地裏で出逢う黒猫と白猫 繰り返される問い 愛情はいつも正しい? 片割れは片割れだけでは存在出来ない 答えのない、夜 #四季彩冬色
2013-12-08 23:59:22触れた指先から伝わればよかったのに。熱も、想いも、何もかもが、伝わってしまえばよかったのに。「寒いね。」そう言って僕の指先が触れた、君の背中との間の微かな熱量の移動だけが、君と僕との繋がりを示していた。冬色に染まった教室に、僕らふたりだけが存在していた。 #四季彩冬色
2013-12-08 23:59:38君の色に憧れて、焦がれて、恋をして。するりと手を伸ばして触れてみた。君色に染まった私、染めるだけ染めて消えた君。嗚呼、違った。君は無色透明になって、消えたように見せ掛けたんだ。悴む指先は空を切る。そういえば、私の色って何だっけ。君の色は、まだ抜けない。 #四季彩冬色
2013-12-09 01:44:57