茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1116回「数字の、不思議な作用」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月12日の連続ツイート。 本日は、ちょっと趣向の変わった話。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1116回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、ちょっと趣向の変わった話。

2013-12-12 08:07:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(1)今年は、「じぇじぇじぇ」から今の「ごちそうさん」まで、朝ドラが元気で、経済も上向きだし、なんだか一昔前の日本が戻ってきた気がする。子どもの頃、テレビがかかっていた朝ドラで覚えているのは、「北の家族」(一年続いて、なんか家族がいろいろ旅するやつ)とか、「鳩子の海」とか。

2013-12-12 08:09:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(2)それで、今日書きたいのは朝ドラの内容の話ではない。私の記憶が確かならば、あの頃、朝ドラが始まるのは、8時15分だった。それまでニュースがあって、8時15分から8時30分まで、朝ドラをやっていたような気がする。だから、ぼくが小学校に行くころ、ちょうどかかっていたのだろう。

2013-12-12 08:10:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(3)その朝ドラは、今、放送が8時から8時15分になっている。以前に比べると、15分早まった。たかが15分というが、NHKの編成の人は、喧々囂々の議論を経て、これを決定したに違いない。視聴者が、朝、どのようなタイムラインで動いているか、何百万人、何千万人の生活を想像する。

2013-12-12 08:12:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(4)たった15分の放送時間の移動に、視聴週間とか、ライフスタイルなどの変化が反映される。このようなかたちでの「数字」の作用というのは、本当に不思議だと思うし。また、大いに興味深いものと思う。数秘術というわけではないが、ほんの小さな数字の変動に、人々の生活がかかっているのだ。

2013-12-12 08:14:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(5)小さな数字の変化に、多くの人の生活がかかるという意味では、囲碁の「コミ」の話も面白い。先手が統計的に少し有利なため、1939年に初めて4目半のコミ(後手を有利にするハンディキャップ)が導入された。それが1974年に5目半に、2002年に6目半に改められる。

2013-12-12 08:17:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(6)私は、子どもの頃から囲碁をやっていて、長い間コミは5目半だと思っていたから、6目半になった時、世界がひっくりかえったような驚きがあった。つまり、多くの勝敗を解析した結果、5目半よりも、6目半にした方が、勝率が先手後手5分5分に近くなると判明したのだろう。

2013-12-12 08:18:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(7)コミが5目半か、6目半かで、囲碁の棋士勝敗が決定され、昇進やタイトルも左右され、ひいては生活もかかってくる。そのような多くの人の人生にかかわることが、コミが「5目半」か、あるいは「6目半」かという数字によって決まってしまう、というところに、何とも言えぬ面白さを感じる。

2013-12-12 08:20:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(8)ちなみに、将棋の勝敗の先手後手どちらが優位かという問題もとても面白い。長らく先手が少し有利だと言われてきたが、2008年から統計的に後手優位に逆転したのだという。wikipediaによれば、ゴキゲン中飛車、一手損角換わりといった新戦法の流行による変化だと記されている。

2013-12-12 08:21:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

すふ(9)朝ドラの放送開始時間や、囲碁のコミ、そして将棋の先手後手の勝率。そこに表れる数字のほんの少しの変化が、たくさんの人の人生に重大な変化をもたらす、という不思議な作用を持っている。そういうことを考えているととても面白いし、他にも例がたくさんあるに違いない。

2013-12-12 08:23:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1116回「数字の、不思議な作用」でした。

2013-12-12 08:23:21