大罪戦闘企画

【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

宙に浮かぶティーカップ。飛んでは落ちる銀のナイフ。少年は黒いテーブルに肘をつき、窓の向こうを眺めて嗤う。 「甘やかすのは、良くないよねえ」 そう優しく呟いて、鈴を鳴らす。りぃん、りぃん。青い空は途端に色を変え、厚い雲がぐるりと渦巻き、晴天は嵐に変わる。 「僕の玩具なんだし、ね？」

【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

ふふふふふ、あっははははははっ！ もうそろそろ時間だよねえ！ 準備はいいかな？良くなくても知らないけどね！ 舞台は既に整ってるんだから！ あははははははははははははははは！

【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

《演者紹介：第二四公演》 【強欲】ギーア (@ktmyng) vs 【暴食】ムロホ (@ratan_ruten)

【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

《まもなく……12月10日21:00より……第二一公演、第二二公演、第二三公演、第二四公演が同時開演致します…… ご観覧の皆様はお席にお着きくださいますようお願い致します……》

【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

あはははははは！ それじゃあ時間になったことだし始めようか！ 君らの文句は聞かないよ！ だって此処では僕が神様なんだから！ たとえそれが偽りであろうとね！ さあ戦って！殺し合って！そして死んでいってよ！ 此処はそのための舞台なんだからさ！ あははははははははははははははは！

グラナート @ktmyng

――無機質な、灰色。それがこの世界で最初の感想。 たん、と乾いた音を立てて、地を踏みしめる。石畳は土埃を被って、所々罅割れてでこぼこだ。 上を仰ぎ見ると、そこに天井など無い。厚い鈍色に覆われた空が広がっていた。 「それにしてもボロボロだなぁ」

グラナート @ktmyng

この廃墟。呟きながらぐるりと見回せば、瓦礫がそこら中に転がり放題。 廃墟だから当たり前と言えば当たり前だが、……かなり崩れている。 ここで暴れたら更に崩れるだろうか。強度としてはどれ位だろうと二、三度脚を踏み鳴らす。 そこに近づく影の事など、気付きもしないで。

カーデ @ratan_ruten

「おや……先客がいたようですねえ」 がちゃがちゃとコンクリートの欠片を積み上げたような灰色の空間。 かつて踏まれていた賑わいなど、最早残り香もない石畳をカツカツと鳴らす音があった。 ゆらりゆらりと歩くそれは二メートルには届かないが随分な高身長で、その割りにそのシルエットは細い

カーデ @ratan_ruten

「良かった良かった……ちょうどお腹が空いていた所なんですよ」 それは、平坦な口をニイと曲げ狐のようなか細い目をついと開かせる。 言葉を掛けながら、深い藍色のコートで包まれた身体の中心部分、腹部をさすさすとさすり、”先客”に近付いていく。 「貴方もそうは思いませんか？」

グラナート @ktmyng

響く靴音、背後から声。その声の言う『先客』とは僕のことだ。 音の方向へ振り返る。そこには随分背の高い、藍のコートを羽織った男がいた。 「初めまして、僕は『強欲（ギーア）』」 茶髪を揺らしながら、にこりと微笑む。 名を聞くときは自分から。暗に相手も名乗ることを期待して、座を名乗る。

グラナート @ktmyng

にたり笑いながら腹をさする挙動からして、きっと相手は暴食だろう。そう予測を立てながら、相手の問いかけに自分の首を捻る。 特別空腹を感じはしないけれど、そういえばご飯を食べてこなかった。 どう答えたものか思案して、 「んー、そう、だね？」 曖昧に、言葉を返す。

カーデ @ratan_ruten

先客が振り返る。ベージュの癖っ毛にメッシュ。映る瞳は深緑。そして整った顔立ち。 「イケメンって奴はどうもあまり美味しくはないんですけどねぇ…」 相手に聞こえないようぽつり。吐き出した本音は出来るだけ自分の中にしまう。調理にはまだ早い。 「僕の名前は『暴食』ムロホと言います」

カーデ @ratan_ruten

どうにも爽やかな相手の自己紹介に苛立ちを覚えながら、失礼のないように自分も座と名を名乗る。 正直座を名乗った時点で警戒されるのはとても頂けないのだが言わぬのもあまり良いことではないと至る。 ギーアと名乗った彼は……ムロホにとっては割りかし苦手な部類だと推測。

カーデ @ratan_ruten

この手のに苦労した覚えは幾つもある。 「そうでしょう？お互いこんな身体になるとどうも自分の身体に鈍くなるもの……ここは一つご馳走でも」 此方の問い掛けに素直に掛かったことに心の内で感謝し、頭に乗っかっていたシルクハットを手に持ち、ぺこりと会釈。 「食べませんか？」 笑顔。

グラナート @ktmyng

何かぽつりと言われたような気がする。けれどちょっと首を傾げる程度に留めて言及はしない。 そして名乗られる座に、やっぱり、と笑んで。 「暴食のムロホ、だね。そっか、よろしく」 ゆらゆらと、身体を揺らしながら言う。 相手の顔が僅かに曇ったように感じるがそれは特別気にすることでも無い。

グラナート @ktmyng

それよりも僕はこの人から何を得られるだろう。この人の何を欲するのだろう。 じぃ、と深緑が紫と藍を、男を上から流し見て、ふぅん、と小さく漏らす。 ……今はまだ、解らない。ふ、とゆっくり瞬いて。 そうこうしているうちに会釈されて、上がった相手の顔には人の良い笑顔が浮かんでいた。

グラナート @ktmyng

それに『ご馳走』という言葉を聞いて、少し狼狽える。 ――この人は『良い人』、なのかな。 そう思考はすれど警戒心は解かずに一歩、彼へ近寄った。 「貰っていいの？」 そんなご馳走、と。瞳の紫を覗き込むように首を傾け、男に訊く。

カーデ @ratan_ruten

ご馳走という言葉に、揺らされたであろう男を見て、掛かったのだと心の中で舌舐めずりをする。 何処か犬のように、洗濯物のような爽やかなさを振りまきながらやってくる男……ギーアから警戒心を感じつつも、実行に移すべきと判断。 つい、と瞳の下の涙を模したペイントを指でなぞると

カーデ @ratan_ruten

下卑た笑みを浮かべそうになる口元を覆い隠す。 獲物を前に舌舐めずりするのは三下のやることなのだ。 「では目を閉じて、頂きますをしましょうか。異国の文化なのですが食物への感謝の仕草なんです」 にっこりと先ほどの笑みを上書き。人の良い笑顔を浮かべる。

グラナート @ktmyng

ペイントをなぞった指先が口を覆った瞬間。相手の顔に、影のようなものを感じた気がした。 けれど次の瞬間には人の良い笑みがそこに在り、見間違いかと眉を顰める。 「ふぅん、そんなのがあるんだね」 学の無い自分には知り得ないこと。とりあえず言われたように目を閉じる。

カーデ @ratan_ruten

強欲が眉を顰める。それはほんの一瞬のシグナルで、ムロホにとっては何の足しにもならないのだが少し気に掛かった。 何より獲物を逃すことが嫌な男にとっては些細なことすら、食を逃す恐怖のトリガーなのだ。 「次に手の皺と皺を合わせて」 ぱちん、と手を合わせる。 そこで不安もすり潰し。

グラナート @ktmyng

我ながら不用心だとは思う。けれど純粋な厚意であったなら、それを無下にはできなくて。 目を閉じた代わりに神経を耳に集中する。 言葉と、手をたたく音。察するに、要は手を合わせろ、ということだろう。 「こう？」 こちらもぱちん、と手を合わせる。

カーデ @ratan_ruten

「ええ、そうです」 警戒心を抱きつつも自分の言うとおりにしてくれる強欲にほくそ笑む。この、この劇がムロホの食欲をさらに刺激するのだ。 「……ではこう唱えてください」 ほう、と腹に空気を送り唇に水分を乗せる。 「いただきます」 罪科、発動。

カーデ @ratan_ruten

見た目には変化はない。ムロホが五感全てで感じ得られる情報に関しては数分前と現在で一寸の違いすらないのだ。 しかしそれはもちろん……”ムロホにとっては”の話。 まだ開けてない強欲の視界に、それはやってきている。

グラナート @ktmyng

「いただき、ます」 言った後、自分の耳に届く新しい音は無く、相手の新しい言葉もない。 これで終わったのならもう目を開けてもいいのだろうか。 おずおずと目を開けば、そこには 「……え？」 ――視界に広がるのは、沢山の食べ物。 ここには灰色しかなかったはず。驚きに目を丸くした。