マスター・オブ・カブキ・イントリーグ #4

「……欺瞞!笑い種だ!保護し、そこに転がる獣のように私を改造すると……?」ディプロマットは威圧的に周囲を睨む。サスマタを構えた隊員たちがクローンじみた統一感で一歩下がる。だが恐怖ゆえではない。そう判断したのだ。彼らは組織的狂気に支配されている。ディプロマットはそう直感した。 23
2013-12-16 01:07:54
「抵抗は無駄だ。西にはもう1体ニンジャを配備してあった。スカーレットテング=サンのドトン・ジツとドク・ジツにより、既に君の兄弟は捕獲されている」「……!」「生殺与奪権は我々の手にあるのだ。己の無力を知るがいい、マジックモンキーよ」小隊長のコマンド・マトイが威圧的に回転する。 24
2013-12-16 01:14:39
「……解った、マイッタだ。弟を殺さんでくれ」ディプロマットは緊張の糸が切れたかのように、小さく自嘲的に嘆息した。「それでよし。貴様らザイバツ・ニンジャは無数の罪を冒した。それを償うための更生機会が待っている。…捕獲せよ」「ドーモ!」「ドーモ!」隊員たちがサスマタを突き出す。 25
2013-12-16 01:22:46
テレパス通信はニューロンの速度で!『欺瞞まみれの組織だな』『兄さん、本当にまだ大丈夫なんだな』『侮るな。お前が捕獲済みとは。奴ら、こちらのジツを知らぬと見える』『捕まって機を窺うか?』『反吐が出る』『同じ気分だ』いまや増幅される感情は、不安でも諦観でもなく怒り!激しい怒り! 26
2013-12-16 01:35:57
ディプロマットは苦痛に顔を歪めながら、座り込んだ姿勢から垂直跳躍!「イヤーッ!」バチバチバチバチ!間一髪!八方から突き出された電磁サスマタが、足下で火花を散らす!そのまま敵のサイバーフルフェイスヘルムを蹴り、反動で後方へとムーンサルト跳躍!「イヤーッ!」「グワーッ!」 27
2013-12-16 01:44:39
ディプロマットが受けたダメージは実際重い。だがキョート城での戦いに比べれば、如何ほどのものか!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ディプロマットは敵特殊部隊を渾身のカラテで薙ぎ倒し、突破の糸口を探る!だがそこへ戒めを解かれたコボルトキングが立ちはだかる! 28
2013-12-16 01:50:43
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」コボルトキングは遣り場の無い怒りと暴力をディプロマットに叩き付けて発散すべく、容赦なくボー・カラテを繰り出してくる!防戦一方!「イヤーッ!」「グワーッ!」咄嗟のガードも砕かれブレーサー無惨! 29
2013-12-16 01:54:00
一方のアンバサダーも、敵のドトン・ジツによって何度となく行く手を阻まれ、包囲網を突破できない!「ワハハハハハ!無駄だ!アンバサダー=サン!この松林で戦う限り、我らキノコニンジャ・クランに敵は無い!」「イヤーッ!」サイケ幻覚ドク・カマの一撃をアンバサダーは紙一重の側転で回避! 30
2013-12-16 01:58:53
アンバサダーとて無傷ではない。制圧射撃にいささか肉を抉られた。『0流石に11101無理か011な1』『101俺たちは01101ニンジャだ』『まだ0111001やってみる価値はある』『そういう010111事だ』……だが満身創痍の双子は次第に包囲され、湖岸へと押し返されてゆく。 31
2013-12-16 02:07:38
……そして二者はついに、元の飛び石を逆戻りして、アダマンタインが待つ庵へと後退を余儀なくされた。「シタリ。本日の演目はブルタル・トリモノか」赤鳥居の下に立つガイオン元老の傀儡オイランドロイドは、満足げに拍手を送った。容赦なく追いつめられる血みどろの双子ニンジャを眺めながら。 32
2013-12-16 02:16:35
……そして二者はついに、元の飛び石を逆戻りして、アダマンタインが待つ庵へと後退を余儀なくされた。「シタリ。本日の演目はブルタル・トリモノか」赤鳥居の下に立つガイオン元老の傀儡オイランドロイドは、満足げに拍手を送った。容赦なく追いつめられる血みどろの双子ニンジャを眺めながら。 32
2013-12-16 21:55:34
双子は互いの背中を守りながら鏡映しの動きで戦う!「「イヤーッ!」だがアダマンタインは油断ならぬ強敵!「「グワーッ!」」さらにコボルトキングとスカーレットテングまでもが庵へと到達!カメ小隊が庵の周囲を固める!アナヤ!双子はさながら残酷カブキ・ショウを舞うカブキ・アクターか! 33
2013-12-16 22:01:02
「見事な仕上がりではないか、マジックモンキーは」傀儡オイランドロイドが通信音声と論理チャットを同時に発す。「大変お世話になっております」イフリートが上空から通信を返す。カメ小隊のうち二人は極度の直結ストレスにより発狂し失禁卒倒しているが、そのような瑣末時は度外視されている。 34
2013-12-16 22:06:04
「イヤーッ!」アダマンタインの重いカラテが双子を引き裂くように弾き飛ばす。ふらつき高床舞台から落ちかけた弟を「イヤーッ!」コボルトキングがショート・ボーで弾き返す。「イヤーッ!」スカーレットテングが兄の背をサイケ幻覚ドク・カマで斬り付け蹴り返す。だが双子は未だ抵抗を止めぬ。 35
2013-12-16 22:12:53
「ヨンダイメ!」庵へと続く橋のたもとから、このカブキ・ショウを見ながら、傀儡ドロイドは上機嫌で声をかけた。双子は再び庵の中央に押し戻され、息も絶え絶えに背を預け合って、辛うじてカラテを構えるという有様。「いいザマだぜ!ザイバツ・ニンジャ=サン!」アダマンタインが指差し笑う。 36
2013-12-16 22:17:29
「なあ、そろそろ抵抗止めねえと、ホントに死んじまうぜ?保護されて、俺たちと仲良くしようじゃねえか。案外、これがな、悪い待遇じゃねえんだ……」「「黙れ下衆が」」双子は高圧的に吐き捨てる。「ザイバツが滅んだ今、お前らに行き場なんざ無えんだよ。ドゲザして、ガイオンのために戦えよ」 37
2013-12-16 22:31:27
「「貴様らに……頭など下げるものか」」兄の視界がサイケめいて回転。目を閉じ、弟に全体重を預ける。「坊ちゃん達、解ってねえなあ……悪い事したら謝るだろ?子供でも解るだろ?」アダマンタインは拳を鳴らしながら近づく。「俺たちのバックにゃ、共和国がいる……。共和国にドゲザすンだよ」 38
2013-12-16 22:37:33
「キョート共和国」弟は鼻で笑い「随分邪悪になったものだな。ザイバツのほうがまだマシだ」威嚇的に睨みつける。アダマンタインはそれを虚勢と断じ、にたにたと笑いながら拳を握ると「本音が出やがったな、ザイバツ=サン。その見下すような目が気に入らねえんだ……イヤーッ!」ビッグカラテ! 39
2013-12-16 22:50:11
『今しかない、攻性ポータルで』『まだだ』『何故』『こいつを仕留めても他に対応できない』『一矢報いたい』『勝機を棄てるか』『この先に好機なんて』『初志貫徹しろ、時間を稼げ』『来ると思うか?』『来る』『本当に来る?』『来る』『なら信じよう』「イヤーッ!」弟は兄を背負い跳躍回避! 40
2013-12-16 22:59:44
間一髪!浴びせカラテを回避したアンバサダーは柱を蹴り渡り、部分崩落した屋根をくぐって庵のカワラ屋根へ!だが小隊の射撃が逃げ道を塞ぐ!コボルトキングとスカーレットテングが追いすがり、左右から容赦ないカラテを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 41
2013-12-16 23:06:07
ナムサン!ついにカラテ尽き果てた双子は、屋根から落下!覆い被さるように庵のタタミに倒れた!ぴくりとも動かぬ!「マイッタカ!」それをカブキめいて踏みつけるアダマンタイン!「ヨンダイメ!」ザイバツ・ニンジャ残党が成敗されるのを見た傀儡ドロイドが、再び合いの手を入れた!その時! 42
2013-12-16 23:11:00
ギュン!重苦しい闇を切り裂きながら、黒い物体が一直線に南から放たれた!「何だ、今の」屋根の上のコボルトキングが斜め後ろを振り向くと、スカーレットテングの首に黒い矢が突き刺さっていた。スカーレットテングは白目を剥き、糸の切れたジョルリ人形めいて落下し……「サヨナラ!」爆発四散!43
2013-12-16 23:22:21
S-----MAAAASH!次の瞬間、南の林からニトロエンジンめいた爆発的速度でクレープバンが出現!ヘッドライトも点けない危険運転だ!ギュン!ギュン!ギュン!激しく揺れるその屋根の上からアンブッシュ長弓を放つのは、ユカノ!口元は覆い隠され、殺意に満ちた目が彼方の庵を睨む! 44
2013-12-16 23:29:20