江戸川乱歩はどの版で読むべきか
http://t.co/cF8tf6LPJB ブログ書きました。「江戸川乱歩「D坂の殺人事件」に見られる異本(創元推理文庫版と岩波文庫版)」わかりやすい例をあげてみました。
2013-12-16 20:53:37@junk_land @ashibetaku どうも(ほとんど)はじめまして。http://t.co/cF8tf6LPJB 「江戸川乱歩「D坂の殺人事件」に見られる異本(創元推理文庫版と岩波文庫版)」このようなブログを書きましたが、乱歩の本はどれが一番いいんでしょうか。
2013-12-16 20:59:55①乱歩作品のテキストですが、ややこしいことに彼は戦後の漢字制限の流れの中、自作の大改訂をやっており、それが講談社版全集や角川文庫、創元推理文庫に至る底本となっています。乱歩の意思に従うという意味ではこちらが正しいと言えるでしょう。 @sandletter1 @junk_land
2013-12-16 23:29:00②しかし、この中には「眼鏡→目がね」、「黒蜥蜴→黒トカゲ」とするような乱暴な書き換えも多いことから、近年では初出にさかのぼって表記を戻す傾向があります。光文社文庫版の全集がその嚆矢で、岩波文庫もその流れに沿ったものと思います。@sandletter1 @junk_land
2013-12-16 23:29:07③なので「乱歩自身の改訂」と「初出当時の持ち味」のどちらを採るかということになります。たとえば「D坂」岩波版の「コーヒ」は、当時彼が暮らしていた大阪では実際こう発音していたのですが、一般読者には通じないということで変えたのでしょう。 @sandletter1 @junk_land
2013-12-16 23:29:24④そうした事実を踏まえ、ご自身の好みで選ぶほかないということです。乱歩はまだしもテキストに関し自覚的でしたが、大衆文学ではそこがいいかげんで「作者存命中の最終版」ということで戦後の春陽文庫を底本に使ったものなどは惨憺たるものです。 @sandletter1 @junk_land
2013-12-16 23:29:40大衆文学のテキストがいいかげんなのは悪いことばかりではなくて、例えば鮎川哲也先生の「碑文谷事件」は、初出時の「緋紋谷事件」を改稿したものだが、広論社が怪奇探偵小説選集を出す際、あえて旧版を収録してくれたおかげで、新版では削られた鬼貫警部の同僚・田所警部の活躍を読むことができた。
2013-12-16 23:45:09作家の改訂作業というのは、原則において尊重すべきだが、乱歩のように戦後の行き過ぎた漢字制限や読者層の変化に従ったケースや、鮎川先生のように(憶測だが)「警察捜査の描写が非現実的」というバカの一つ覚え的クレーマーを厭った結果である場合は、必ずしもそうとは言えない気もする。
2013-12-16 23:59:37@ashibetaku @sandletter1 @junk_land こんばんは。そういえば、「黒手組」のなかでたしかにあったはずの「月下氷人」という表現が別の版では消えていて、「あれ?」と思ったことがありました。講談社の黒函全集のころでしたか。
2013-12-16 23:52:04悪名高い春陽文庫では他の版で削られたシーンがあったりするようですね。鎌倉ハム大安売りとか。RT@akagitsuyoshi:@sandletter1 @junk_land 「黒手組」のなかでたしかにあったはずの「月下氷人」という表現が別の版では消えていて、「あれ?」と思ったことが
2013-12-17 00:02:49@ashibetaku @sandletter1 @junk_land あ、そうなのですか。『盲獣』のその部分は、自分でも嫌悪を感じるので削ったと、乱歩自身が書いていたと記憶します。春陽文庫はそれを無視して、旧紙型でやっちゃったのですかねえ?
2013-12-17 00:06:46実はこれ未確認なのですが、蜘蛛男の残虐シーンなどもかなり異同があるらしいです。RT@akagitsuyoshi:@sandletter1 @junk_land 『盲獣』のその部分は、自分でも嫌悪を感じるので削ったと、乱歩自身が書いていたと記憶します。春陽文庫はそれを無視して、
2013-12-17 00:08:15@ashibetaku @sandletter1 @junk_land ーん、ちゃんとテキストクリティークした版によらないと、うかつなことは言えないのですね。今のところ、頼れるのは光文社の文庫全集版ですか? (笑っちゃうミスタイプがあったので、再リプです)
2013-12-17 00:12:03はい、発表当時の味を重視するという点では。RT @akagitsuyoshi: @ashibetaku @sandletter1 @junk_land ちゃんとテキストクリティークした版によらないと、うかつなことは言えないのですね。今のところ、頼れるのは光文社の文庫全集版ですか?
2013-12-17 00:13:23@ashibetaku @akagitsuyoshi @junk_land どうもありがとうございます。江戸川乱歩は岩波文庫版で短篇読んで、光文社文庫版をなんとか探して読んでみることにします。
2013-12-17 00:30:08@ashibetaku @akagitsuyoshi @sandletter1 @junk_land あそこが、ここがとは言えませんが、春陽堂は、昭和30年頃自分のところで出した全集を底本にしていたような気がします。
2013-12-17 00:30:16これはちょっと未確認なので注意してくださいね。僕も『盲獣』を各社読み比べるほどではないので。RT @777ume777: @ashibetaku @akagitsuyoshi @sandletter1 @junk_land ワードだけでマストなんですけどw@鎌倉ハム大安売り
2013-12-17 09:40:42@ashibetaku 乱歩のテキスト、どれが何文庫でもいいと思うんですが、実際オレは気にしないで何文庫でも読んでますが、『二銭銅貨』だけは新潮文庫の旧版でないと困りますよねえ
2013-12-17 08:54:32しまった、新潮文庫版はいっぺんも読んでないです。RT @ishikawasei1: @ashibetaku 乱歩のテキスト、どれが何文庫でもいいと思うんですが、実際オレは気にしないで何文庫でも読んでますが、『二銭銅貨』だけは新潮文庫の旧版でないと困りますよねえ
2013-12-17 09:41:39@ashibetaku いま出ている新潮文庫だと、あくまでも全ての仮名遣いを正確にとの配慮から最後の一言が「ゴジョウダン」と表記されているんですよ(そして註釈が付いている)。暗号が暗号として機能していない暗号小説ってアリか!
2013-12-17 09:44:44えーーーっ、ゴジャウダンを! こりゃ不覚でした。RT@ishikawasei1:いま出ている新潮文庫だと、あくまでも全ての仮名遣いを正確にとの配慮から最後の一言が「ゴジョウダン」と表記されているんですよ(そして註釈が付いている)。暗号が暗号として機能していない暗号小説ってアリか!
2013-12-17 09:46:27@ashibetaku デビュー作だから乱歩の経歴に必ずタイトルが挙がるというアドバンテージさえなかったら、仮名遣い改訂の時点で真っ先に封印作品として葬り去られていた対象だったのかも知れませんね『二銭銅貨』。
2013-12-17 10:21:11いま石川誠壱さん@ishikawasei1の指摘を受けて調べたら、光文社版「二銭銅貨」の暗号文は戦後バージョンなんですよね。ここはオリジナルに戻してほしかったが……うーん、難しい。 http://t.co/tc040Og6JN
2013-12-17 10:32:42