「スリー・ニンジャズ・アンド・ベビー」#4　――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説

うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

イグナイトのイバラめかせたタトゥーが潜められる。「クゥ……」ぎりぎりと歯をむき出しにし、頭をかきむしる。「アー……！」視線がアンバサダーと赤子、フェイタルを行き来する……。「本当は」フェイタルがつぶやくのへ、キッと視線を向ける。「なんだよ」「自分で行きたいのではないか」　67

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「いいよ！」イグナイトが叫んだ。「アンタに任せる！」「それでよい」フェイタルが微笑んだ。「お前はストーンコールドを倒せ。最初からそれが目的だったのだろう？」「当ッたり前だろ！」唇を尖らせて叫んだイグナイトは、荒々しく立ち上がると、ゆりかごを睨んだ。　68

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「アバヨ！」決別の逆キツネサイン！卒然と身を翻し、足音高くドージョーを後にした。　69

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「まったく騒がしいやつだ」フェイタルが鼻で笑う。「これで……」アンバサダーがつぶやく。「これでよかったのか？」「何を言う」フェイタルはアンバサダーに向き直った。「我らはニンジャだ。その定めは、あやつより貴方のほうが理解しているだろう？」「……そうだな」　70

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「しかし……」フェイタルが続ける。「私が行くには条件があるぞ」「……なにか」アンバサダーはニューロンで身構えた。思えば、この美しき女獣とでも言うべき部下は、制御のきかないイグナイト以上に、その得体のしれなさが恐ろしい。従順と見せて、腹の底では何を考えているかわからない……。　71

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一時間後。アナマズマ総合病院を、隣接ビルの屋上から虚ろな目つきで見下ろすイグナイトの懐で、IRC通信機がメッセージ着信。彼女が内容を確認すれば……『アンバサダー＝サンが増援を要請した。お前の敵はオバケじみたニンジャだけではない』。「シット……！」イグナイトが立ち上がる。　73

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彼女はすでにニンジャソウルの接近を感知している。数は二つ。先日の謎のニンジャか……カラテ警戒するイグナイトの視界に、曇天を背にビル郡を駆ける影二つ！巨大な影と中くらいの影はベンケ・ニンジャとブル・ヘイケめいて！イグナイトはマフラーを引き上げ戦闘態勢……しかし！　74

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「イヤーッ！」「フーンク！」彼女の目の前に現れたのは、先日の姿とは似ても似つかぬ二人のニンジャ！「ドーモ、イグナイト＝サン。プリンセプスです」美々しいトーガに身を包んだ、恐るべき古代ローマカラテの使い手がアイサツ！「フーンク！」中世重装騎士めいた全身鎧の巨体がアイサツ！　75

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「テメエら……！」瞠目するイグナイトに、プリンセプスが尊大な態度で言い放つ。「喜べイグナイト＝サン！貴様を狙うアマクダリの下郎ヌケニンを掃討する役目、このインペイルメント＝サンが預かった！我はその監督兼指揮を担う！」「フーンク！フーンク！」……一方その頃！　76

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「ここだな」奥ゆかしいキモノ姿の美女が、片手で金髪をかき揚げ呟いた。その豊満な胸元に抱かれ、赤子が寝息をたてている。彼女の視線の先には、峨々たる尖塔を有した重厚なゴシック様式のテンプル。ステンドグラスにはジーザスと、その足元に頭を垂れる子どもたちが描かれている。　77

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「そうだ」美女の隣で声。美女……フェイタルは振り返り、男の横顔を眺めた。「なにか」「いや」忍び笑いを漏らすフェイタルに、高級スーツに最新モードの耐酸性コートを羽織った男……アンバサダーは目を閉じ、深く息を吸った。　78

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(「スリー・ニンジャズ・アンド・ベビー」#4)(おしまい)(#5に続く)