黒の卵【テドイア】

重音テッド×IAの物語。 ある日、天界から天使の卵が盗み出された。 その卵に宿るのは悲劇。 存在を消された男と、何も知らなかった少女との、叶えたかった約束。
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大崎巧実(裏) @mboxtw2

BGMはネタの出が良い森ノ宮診療所(http://t.co/O5kcPBTY0N) すべての始まりは、天界に安置されていた天使の卵を何者かが盗み出した事から。 厳重に管理されていた天使の卵。けれど、結界を切り裂いて進入した『誰か』が持ち去ってしまう。

2013-12-20 20:01:37
大崎巧実(裏) @mboxtw2

その卵は孵化をさせてはいけない代物で、気がついた天界は騒然となる。 産まれてくるのは災厄。すべてを脅かす物だと。 なので血眼になってあちこち探すわけです。そしてその卵を盗み出した犯人はなんとイアたん。 『それ』は約束だったのです。最期に交わした約束を果たす為。

2013-12-20 20:04:04
大崎巧実(裏) @mboxtw2

遠い、遠い昔に交わした約束。それを果たしたイアは卵を抱いてひたすら逃げていく。 目的はその卵を孵す為。その卵の中で眠っているのは、遠い昔と今も、変わらぬ愛を捧げる一人の天使。……勿論、テッドさんです。

2013-12-20 20:05:59
大崎巧実(裏) @mboxtw2

卵を取り返す為にイアを追って天使の軍勢が襲ってくる。中で眠るテッドさんを蘇らせるわけにはいかなかったから。 けれど、その軍勢をイアは返り討ちにしてしまうんですね。その手に握っていたのはテッドさんの大鎌。 すべての命を刈り取る事が出来るその大鎌で、襲ってくる天使を切り捨てる。

2013-12-20 20:08:04
大崎巧実(裏) @mboxtw2

足下に大量の死体を侍らせて、イアは卵を胸に天使達を睨み付けるのです。 その顔は『災厄』と同じ顔。そして、イアの『決意』の現れ。 彼女はその昔誓ったのです。テッドさんの為に、自分は『魔物』と成り果てても構わない、と。 血塗られたその道を歩く決意をしたのです。テッドさんの為に。

2013-12-20 20:10:59
大崎巧実(裏) @mboxtw2

神や天使に何を言っても伝わらない。それをイアは知ってる。 もしちゃんと通じてくれたのなら、今。自分はここにいないし、過去の悲劇も起こらなかった。 イアは怒ってるんですね。すべてを裏切った『天』そのものを。

2013-12-20 20:12:15
大崎巧実(裏) @mboxtw2

すべての始まりは、ずーっとずーっと前。イアが天界にある森で迷子になった時の事。 まだ年若い天使だったイアは、迷子になったその森でテッドさんと出会うのです。 『外』を知らない天使と、『外』で暮らす天使。何もかも、そこから始まるのです。

2013-12-20 20:13:54
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアたんはテッドさんに助けられる。神々の住まう中央の都市より離れた森。そこも神聖なる森ではあったけれど、住処にしている天使は誰もいない筈だった。 誰も、そこにテッドさんがいるって事をイアに教えなかった。何故なら、テッドさんの存在は隠されていたから。と言うより『いない』事になってる

2013-12-20 20:15:13
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんは天使の中で生きる事が出来ずに、はみ出してその森に流れ着いてしまった。と言うか神々に追い出されてしまったような形。 そして神に仕える天使達も習ってテッドさんの存在を消してしまった。 何も知らない若い天使達はテッドさんが存在する事すら知らないのです。

2013-12-20 20:16:23
大崎巧実(裏) @mboxtw2

けれどテッドさんはそれでいい、って思ってる。もう誰にも干渉されたくないのです。他の神々や天使達から向けられる視線も、声も、うんざりしていたのです。 だから森の中で一人きりで生きてた。いないもの、と扱ってくれる方が何かと都合が良かったのです。

2013-12-20 20:17:35
大崎巧実(裏) @mboxtw2

そうして、たった一人。森で生きてきたテッドさんはある時迷子になったイアを見つける。どっかの天使が迷ってんな、って思ったテッドさんは放っておくつもりだった。 けれど、何となく。気紛れで助けてやっても良いか、って思ったのです。方向を告げるくらいなら。

2013-12-20 20:18:55
大崎巧実(裏) @mboxtw2

そうしてイアはテッドさんに教えてもらい、森を抜け出る事が出来た。 そのお礼をしようと、訪ねるんだけどテッドさんは答えない。そして周りの人も口ごもって教えてくれない、または知らないって答える。 助けてもらったんだからお礼をしたいイアたんは何とか聞き出そうとするけど駄目だった。

2013-12-20 20:20:29
大崎巧実(裏) @mboxtw2

もう一度会えないか、とお礼の品を持って再びイアは森にはいる。 また迷ってしまうかもしないし、会えないかもしれない。そんな不安もあったけれど、でも会いたかったのです。 天使の力で声を飛ばして、森のどこかにいるだろうテッドさんを探す。

2013-12-20 20:22:00
大崎巧実(裏) @mboxtw2

森の中を彷徨い歩いて。それでもテッドさんは見つからない。何度も森に通ってはお礼がしたい、と声を飛ばして探し歩く。 それに根負けしたテッドさんが出てくるんですね。聞いてやるからとっとと帰れ、って。 で。それで満足するイアじゃなかったわけですが(笑)

2013-12-20 20:23:12
大崎巧実(裏) @mboxtw2

ありがとう、で終わらせたくない。折角知り合えたんだからお友達になりたい。そうイアは願うのです。 中央の、汚れのない神々の住まう場所で産まれ、生きてきたイアにはすべての天使達と仲良くなろうって思いがある。だから無邪気にテッドさんに仲良くしましょう?って誘うわけですよ。

2013-12-20 20:24:58
大崎巧実(裏) @mboxtw2

でも、イアはそれがテッドさんのトラウマを剔る行為だって事は知らない。 純粋に、無邪気に、仲良くしたいって思ってるイアの思いが通じるのはもう少し後の話。 最初はテッドさんに物凄く拒否されるのです。それがイアには悲しくて仕方なかった。

2013-12-20 20:26:12
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんは仲良くしたって自分の正体を知ればイアも掌を返すだろうって思ってる。 汚れない天界にあって、唯一『汚れ』を背負う者だから、天使も神もみんなテッドさんを嫌うのです。忌む存在に天は情けなどかけたりはしないのです。

2013-12-20 20:27:32
大崎巧実(裏) @mboxtw2

拒絶されたイアはどうして?って疑問に思う。そうして、何度もテッドさんの元に通いながら、自分でも調べ始めるのです。 何故、テッドさんの事を誰も知らないのか。誰も教えてくれないのか。そして、どうして彼はいつも『たった一人』なのか。そして、イアは事情を知るのです。

2013-12-20 20:28:47
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんは災厄を司る。終焉を、破滅を呼ぶ力を持ってる。それを自らの意志で行使する事は出来ないのだけれど、『存在する』と言う時点ですでに『世界の破滅』を意味するのです。 だから終わらせたくない天はテッドさんを『存在しない』事にしたいのです。

2013-12-20 20:30:11
大崎巧実(裏) @mboxtw2

『死』を呼ぶテッドさんは汚れの固まり。天使達は死にたくないからテッドさんを嫌う。『終わり』を呼ぶのが怖いから。 すべてを知ったイアたんは嘆くのです。どうして、って。『たったそれだけ』の事で、テッドさんはそのすべてを否定されつづけなければならないのかと。

2013-12-20 20:31:57
大崎巧実(裏) @mboxtw2

悲しみで心を一杯にしたイアは一人決意するのです。例え神々がテッドさんの存在を否定したとしても、自分だけは絶対に否定しないと。 だってテッドさんと出会えてイアは嬉しかったのです。助けてくれた事も、全部『無かった』事にするのは嫌だったのです。

2013-12-20 20:33:22
大崎巧実(裏) @mboxtw2

再びテッドさんの森で、イアは思いの丈をすべて告白するのです。 それでも私はあなたに会いたい、って。それでも疑うテッドさんだったけれど、会うのを拒絶する事はなくなった。と言うか、傍で見てる事にしたんですね。化けの皮が剥がれる所を見てやろう、と。そんな事はないのだけれど。

2013-12-20 20:35:30
大崎巧実(裏) @mboxtw2

そうして、一緒にいるうちにイアの言葉が本当みたいだ、ってテッドさんも思うようになって、イアなら信じられるって思えるようになるのです。 他の天使も神々も信じていないけれど、でも。イアならって。そうして心を開いたテッドさんにイアたんは恋をするのです。

2013-12-20 20:36:49
大崎巧実(裏) @mboxtw2

沢山、沢山傷付いたテッドさんを癒してあげたかった。最初はそんな気持ちから。けれど、心を開いて信じてくれるようになったテッドさんは態度も変わるし優しい所も一杯見せてくれるようになって。 大好きです、って告白した時もその想いをちゃんとテッドさんは受け取ってくれるのです。

2013-12-20 20:38:06
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんは愛される事が良くわからない。けれど、イアがくれるその想いは凄く嬉しいって。 そんな風に少しずつ、関係が進んでいって幸せ絶頂だった頃。悲劇は起こるのです。 天界がテッドさんの『排除』を決めたのです。

2013-12-20 20:39:28