魔法使いは君だった

2013/12/5~2013/12/21の妄想です。 魔法を使うのは、本当に自分が困ったときだけだった。そんな僕を変えた君が、魔法使いだった。 ※本人とは一切関係ありません。
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cyk @nmnmab47

わたしのケーキセットのお皿が乗ったおぼんを持って立ち上がろうとすると、俺のと一緒に片付けるよ、と塚田が持ってくれる。ありがとう、と言ったその瞬間指が触れて、ピリッと、静電気。ごめん!大丈夫?と大袈裟に心配される。大丈夫大丈夫!乾燥してるからかな、と言った。

2013-12-06 22:01:14
cyk @nmnmab47

次シフト合うの来週だね、と話しながら店を出る。それじゃまた来週、と手を振って別れた。少し離れてからまた皿落っことさないでよ!というと塚田は、大丈夫!なんとかなるから!と言って、人差し指を宙でくるくる回してからわたしのことをびしっと指差した。くそう。わたしが魔法にかけられちゃった。

2013-12-06 22:10:07
cyk @nmnmab47

『魔法使いは君だった』プロローグ・終わり

2013-12-06 22:10:48
cyk @nmnmab47

ただし魔法は尻から出る(暗喩) ©魔法陣グルグル

2013-12-06 22:44:11

第一章

cyk @nmnmab47

これがわりと魔法つかえそう http://t.co/qEnNUKEEJr

2013-12-06 23:34:16
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cyk @nmnmab47

魔法、で検索をかける。大学の蔵書検索サービスでは子ども向け絵本、オカルト雑誌から英字の学術書までかなりの魔法に関する資料が揃っているらしい。塚田の話を聞いてから魔法とは本当にあるものなのか知りたくてウィキペディアのページを見ると確かにしっかり書かれていた。

2013-12-09 00:35:14
cyk @nmnmab47

いくつか本をピックアップしてパラパラとめくる。塚田のお母さんのように、一般的に魔女は存在するものなのか?塚田は呪文をお母さんに教え込まれたのか?…こんな本を読むよりそのまま本人に聞いた方が早そうだ。マレフィキウム…ふうん…と適当に読んでいると傍にあった本がひょいと持ち上がる。

2013-12-09 00:42:12
cyk @nmnmab47

魔法の本?意外とファンタジックなんだな、と言われ見上げると、戸塚くんだった。びっくりした、おどろかさないでよ、と図書館で大声を出しそうになって慌てる。するといつもみたいに笑って、サークルの時以外会わないから声かけたくて、と言った。少し毛玉がついたニットが暖かそうだった。

2013-12-09 00:49:08
cyk @nmnmab47

なんで魔法の本なの?…気づくとバイトに行く時間で、席を立って戸塚くんと一緒に図書室を出て学内を歩く。興味あったから…と曖昧に返事をして、戸塚くんは魔法とかあると思う?と尋ねる。気の持ちようだよ、あると思えばあるし、ないと思えばない。戸塚くんの横顔はきりりとして目が奪われる。

2013-12-09 20:57:14
cyk @nmnmab47

魔法はあると思う?と聞き返される。あるね!ディズニーランドとかに!とふざけて言ったら笑われた。これからバイトなんだ、と言うと頑張って、と手を振ってくれた。バイト先のタイムカードを切って手を洗っているとフロアから、ごめんなさいっ、あ、失礼しました!と大きな声が聞こえた。

2013-12-09 21:14:14
cyk @nmnmab47

帰ってくると塚田はしょんぼりした顔でボロネーゼ落っことしました…作り直しお願いします…と厨房に伝える。わたしと目があってもいつもの元気な挨拶はなかった。どんまい、と言うとありがとう…今日占いしたら悪い予感バッチリだったから注意してたんだけどな〜、と目をぎゅっと瞑る。

2013-12-09 21:50:36
cyk @nmnmab47

でも悪いこと終わったからもう大丈夫!ありがとね、と肩をぽんと叩かれた。なにか不思議な感覚がそこに残った。そのあとの塚田は失敗なんて忘れたかのようにつまみ食いしたり、橋本くんとおしゃべりしたりしていて、店長のかわりにわたしが、こら塚田、働けといなした。

2013-12-10 19:26:25
cyk @nmnmab47

今日はお客さんが少なく、閉店の1時間前には人が引いていた。フロアから食器を片付けて厨房に入り、皿洗いの塚田に手渡す。ねえ、見てほしいものがあるんだけど。蛇口の水を止めて塚田が言う。なに? いや、いまじゃなくて今度。明日の放課後時間ある?珍しく小声なので、きっと魔法関連のことだ。

2013-12-10 19:30:49
cyk @nmnmab47

まあ暇かな、とすまして言ったらじゃあ明日俺4講まであるから、そのあと会おう、ドトール前で!一方的に約束される。わたしより早く入っていた塚田と高校生の橋本くんは9時になってあがった。大きな声でお疲れ様です!と言ったあと、その二人がいなくなると厨房は一気に静かになった。

2013-12-10 19:42:04
cyk @nmnmab47

翌日、連れてこられたのは雰囲気ある洋館ふうの建物だった。扉には大きな窓があいていて中が見えるようになっている。そのおかげでやっとここが雑貨屋だとわかる。看板はない。塚田は、この隣が俺んち、と言った。もしかしてここが魔法の館ってやつ…?と聴くとまあそんなとこかな、と得意そうに笑う。

2013-12-10 19:53:33
cyk @nmnmab47

魔女がモチーフになったガラス細工、オルゴール、華奢なチャームがついたアンクレット…宝石箱のようにいろいろな雑貨がおいてある。うわあ、とあちこちを見て歩いていると、ねえ、これを見てほしいんだ、ととネックレス状になったロケットを手渡した。

2013-12-10 20:03:22
cyk @nmnmab47

開けてみて、と言われるがまま、側面のボタンを押す。壊れているのか開かない。お母さんが拾ったらしいよ。裏に文字が書いてあるんだけどね、と言われ裏を見ると、「you know the spell when you open the locket《ロケットを開けた時、呪文を得られる》」

2013-12-10 20:09:33
cyk @nmnmab47

どんな呪文なんだろうね、と聞くと、うん、でもこんなところに隠さなければならない呪文だからきっと大事な意味があると思うんだ。開けてみたいな、と言った。魔法で開けられないの?…何度もやってるけど無理そうなんだよね、とぶんぶん振り回す。大事なものをそんな風に扱っていいのだろうか。

2013-12-10 20:21:04
cyk @nmnmab47

かして、と言うと手のひらに乗せてくれた。まじまじと表面の模様を眺めてから両手のひらで包む。それから目をつぶる。 …バルスっ!!!! やっぱりなにも起こらなかった。何か起こったら怖いじゃん、と塚田が笑う。でも、これを持った瞬間えもいわれぬ緊張感や恐怖感を感じた。

2013-12-10 20:26:21
cyk @nmnmab47

その動揺を隠すため、ついふざけてバルスなんて言ってみたのだった。これを見てほしかっただけなんだ、お茶でも飲んでってよと塚田に声をかけられても、まだ心臓が早まるのがわかった。これと同じように心臓が早まる体験を、この数週間後にわたしは味わうことになる。

2013-12-10 20:30:25
cyk @nmnmab47

『魔法使いは君だった』第一章〜魔法使いとロケット

2013-12-10 20:31:25
cyk @nmnmab47

呪文ってなんだろね…?つかだくん…? http://t.co/hNAcd4GQXf

2013-12-10 20:37:29
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第二章

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