「この10冊は裏切らない!」 私的2013年ノンフィクションベスト10

 2013年に読んだ本のなかから、最良と思える本を10冊選んだツイートのまとめです。  ■2013年に出版された本ではありません。 ■番号は順位を意図したものではありません。
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dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10 / 1. スタインホフ『死へのイデオロギー:日本赤軍派』。70年代初頭に脚光を浴びた赤軍派諸派の思想と行動の社会学的・民族誌的研究。洗練された文体のなかに豊富な洞察を含む。とくに、あさま山荘粛正事件に関する著者の議論は多くのことを考えさせる。

2013-12-21 23:58:01
dabitur @dabitur

書誌情報など。原著は『日本赤軍派―その社会学的物語』1991年。文庫版2003年刊行。ただし、「死へのイデオロギー」というタイトルは若干ミスリード。著者は事件に至る背景に、イデオロギー外的な要素を複数指摘しているからである。  http://t.co/lndYr0a2Fh

2013-12-21 23:59:36
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補 2.中谷武世『昭和動乱期の回想』。民族主義活動家、中谷武世(1898-1990)による大正・昭和初期時代の回想。民族主義運動の記録として貴重。北一輝や大川周明ら関係者たちとの何気のないエピソードを率直に描くことで、彼らの実像の断片を鮮やかに示す。

2013-12-22 00:01:05
dabitur @dabitur

書誌情報など。1989年刊行。二分冊。上巻は猶存社や行地社、北一輝や大川周明、満州事変等との関わりを回想。下巻は大亜細亜協会設立から、五・一五事件、二・二六論事件に至る。 http://t.co/1B1SKzYvaM

2013-12-22 00:02:16
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補3 / ロー『日本の最高裁を解剖する』。日本の最高裁の問題に関する論文二篇の翻訳。なぜ日本の最高裁は保守的なのか、なぜ違憲立法審査制度が有効ではないのかという問いに答えようとする野心的な試み。文献とインタビューを駆使する著者の力量に舌を巻く。

2013-12-22 00:03:41
dabitur @dabitur

デイビッド・S・ロー『日本の最高裁を解剖する』。2013年刊。元になった論文は以下で無料で読める。原論文1:http://t.co/efHmMUIQGG 原論文2:http://t.co/qFfkNnP8A4   邦訳:http://t.co/204GQuKhMt

2013-12-22 00:05:09
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補4 / 井上日召『一人一殺』。血盟団事件の首謀者とされる井上日召(1886-1967)の自伝。幼少期から事件後の獄中生活に至るまで、著者の非凡な人生の挿話が豊かに盛り込まれた傑作。笑いを誘う物語も多く、文体には衒いがなく簡潔。教典のようにも読める。

2013-12-22 00:06:39
dabitur @dabitur

書誌情報など。複数の題名のちがう版がある。:『日召自伝』、1947年;『一人一殺―井上日召自伝』、1953年;『一人一殺』、1972年;『井上日召伝』、1979年:後年の版のほうが付録が追加されている。私は1972年版で読んだ。 http://t.co/4XbyY3C4sU

2013-12-22 00:07:46
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補5 / ミッチェル『戦前日本の思想統制』。治安維持法を中心とした戦前日本治安政策史の画期的研究の一つ。治安政策の重要な担い手である司法官僚の動きを中心とした歴史像を提供。基本的な事項の解説を丁寧に行っているため、読みやすく明快で学ぶ点が多い。

2013-12-22 00:09:38
dabitur @dabitur

書誌情報など。ミッチェル『戦前日本の思想統制』。原著1976年、邦訳1980年。訳と解説は奥平康弘。 http://t.co/YxOUEESh1d 原著:http://t.co/gnhXcWItVM

2013-12-22 00:10:30
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補6 / 迫水久常『機関銃下の首相官邸』。二・二六事件と終戦決断の内閣周辺からの証言。著者は岡田啓介首相の秘書官、鈴木貫太郎内閣書記官長を務めた。とくに、二・二六事件を描く筆致には、多くの証言や記録とは異なる迫真の価値がある。

2013-12-22 00:13:11
dabitur @dabitur

書誌情報など。新版と文庫版がある。原著1964年、新版1986年、文庫版2011年。私は最初の1964年版で読んだ。  http://t.co/bsPDhkWhls

2013-12-22 00:15:15
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補7 / シロニー『日本の叛乱』。英語で書かれた二・二六事件についての最初の思想史的・知識社会学的研究。基本的な事実確認が丁寧で読みやすく明快、執拗な引用で説得力のある好著。とくに、青年将校たちの思想的背景や経済環境についての指摘は卓抜。

2013-12-23 16:32:21
dabitur @dabitur

書誌情報など。ベン・アミ・シロニー『日本の叛乱―青年将校たちと二・二六事件』。原著1973年、邦訳1975年。邦訳; http://t.co/h7U21SdohE 原著; http://t.co/7CN8WF5Y6v 著者略歴;http://t.co/4eBuX2ugEI

2013-12-23 16:32:55
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補8 / ジョンソン『アメリカ人のみた日本の検察制度』。日本の検察制度に関する史上初の体系的な比較法的・社会学的研究。検察制度研究という空白を埋める画期的な成果。著者は長期に渡る日本滞在と地方検察庁の参与観察も経験。最も感銘をうけた。

2013-12-23 16:36:02
dabitur @dabitur

長所は数えきれない。調査対象の心情への深い理解、哲学・文学を含む幅広い学識、公平さに十分配慮した上での冷静な評価、高度に洗練された詩的ともいえる文体、それらに基づく鋭敏な考察。いずれの点からも、きわめて質の高い書物。要約では伝えきれない魅力をもつ。

2013-12-23 16:37:42
dabitur @dabitur

書誌情報など。米国犯罪学協会で最優秀賞(2002年)らしい。原著は2002年刊行。http://t.co/uF3DPGr0oZ 邦訳は2004年刊。http://t.co/xnJfDONFpN 著者は現在ハワイ大教員。  http://t.co/bsBAEZQJ6i

2013-12-23 16:39:06
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補9./ 大日方純生『近代日本の警察と地域社会』。近代警察組織の思想と行動に日記・日誌や回想等を駆使して接近する、警察史研究の代表的作品の一つ。基本的な事項の説明が詳しく、文体も平明で読みやすい。通史的に叙述が進むので事典的に使える。基本図書的書物。

2013-12-23 16:54:10
dabitur @dabitur

書誌情報など。大日方純生『近代日本の警察と地域社会』。387pp. 2000年刊。 http://t.co/m5PvuYzhjk

2013-12-23 16:55:25
dabitur @dabitur

2013年読んだ本ベスト10候補10 / A.E.ウォーカー編『脳神経外科の歴史』。脳神経外科史の古典的書物。頭蓋内手術の歴史、てんかん外科の歴史等、部位と疾患で区別された論考が18篇並ぶ。図版も豊富で読みやすい。60年前の書物で古いが、概観を得るには今でも有益。

2013-12-23 17:35:30
dabitur @dabitur

アーサー・E・ウォーカー『脳神経外科の歴史』 440pp. 原著1951年刊: http://t.co/f66BYUuF2M (2013年に再版されているようだ) 邦訳1983年刊. http://t.co/MUgqDyf7kE

2013-12-23 17:37:02