神の楔【テドイア】

重音テッド×IAの物語。 薬師のイアとふらふら各地を流れる神のテッド。 二人の出会いが呼んだ人の欲望と、その悲劇。
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大崎巧実(裏) @mboxtw2

BGMは大好きなシンPのルカ曲『Power to Living』(http://t.co/ivVaxXRPdw) 完全パラレルのテドイア。 物語の始まりは、イアとテッドさんが出会う所から。流れ流れて辿り着いたその土地で、偶然出会った娘がイア。それが始まり。

2013-12-22 23:14:54
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアは森に薬草を取りに来て、それを薬にして売ってる。 と言っても簡単な傷薬とか煎じて飲むものとか、昔からその土地に伝えられてるごく普通の薬。 ただその薬草が生えてるのが曰く付きの森であんまり人が行きたがらないってだけ。 そこにはテッドさんが流れ着いて住み着いた場所。

2013-12-22 23:16:36
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんの事を人間は魔物だ、って思っててだから村の人は森にはいるのを嫌がってる。 けれどイアはそれを見た事もないし、薬を必要としてる人もいるからと森に足を踏み入れるのです。 幼い頃から慣れ親しんだ森。木の実や果実も大事なイアの食料だった。

2013-12-22 23:17:49
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアには身寄りがなく、薬師として生計を立てているのも死んだ両親がイアの為に技術を残してくれたから、なんとか食いつないで往ってるうな状態。 薬を売って手に入れる僅かなお金と、森の恵みでなんとか生きていってる状態。だからイアは森に行く。そうしなければ生きられない。

2013-12-22 23:19:23
大崎巧実(裏) @mboxtw2

そうしていつものように森で薬草を摘んでいた時にイアはテッドさんと出会うのです。 すべてはテッドさんの気紛れ。 流れる者であるテッドさんはいつもふらふらと出歩いていて、その森に住んでるけどいない事も多い。だからイアは今まで出会う事もなかった。

2013-12-22 23:20:32
大崎巧実(裏) @mboxtw2

なんとなく森を散歩してたテッドさんが薬草を探してたイアを見つけるのです。 何やってんだろう?って。なんとなく、本当に気紛れにちょっかい出そうと思った。ただ、それだけの事だったのです。 でもそれが二人の未来を大きく変えた。初めは小さな、小さな事から。

2013-12-22 23:21:53
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんはイアが持ってた食べ物に興味を示すんですね。森で食べようと思ってたお弁当。凄く良い匂いがして、まあそれにつられたとも言う(笑) で、イアは快くそのお弁当をわけてくれるのです。いつも休憩に使ってる湖の畔で、二人で仲良くランチタイム。

2013-12-22 23:23:41
大崎巧実(裏) @mboxtw2

わけて貰ったお弁当は本当に美味しくて、テッドさん凄く気に入っちゃったわけです。 で、そのお弁当のお礼にって近くに合った石ころをくれるのです。 なんで?って首を傾げるイアの前でテッドさんはその石を細かく砕いてくれる。 これは薬だよ、って。

2013-12-22 23:26:03
大崎巧実(裏) @mboxtw2

その粉はイアにも見覚えがあった。 特別な石から生成される特殊なもので、人の力では細かく砕く事が出来ないから自然と剥がれ落ちる外側の僅かな部分しか使えない。 だから凄く貴重なものだったのです。けどテッドさんは自分の持つ力で石を粉砕し、イアにあげるのです。

2013-12-22 23:27:50
大崎巧実(裏) @mboxtw2

その粉を混ぜれば、イアの薬の性能はもっとあがる。軽い痛み止めくらいしか効力のない薬でも、もっと良いものに変化する。 なのでイアは凄く喜んだわけです。それに気をよくしたテッドさんはそれ以降、イアがご飯をわけてくれるたびに、石を砕いてその粉を作ってくれるようになった。

2013-12-22 23:29:14
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアのご飯が気に入ったテッドさんは、イアにもっともっとってせがむわけです。 石の粉ないくらでも作ってやるから、お前の飯が食いたい、って。 イアは美味しいって食べてくれるテッドさんが嬉しくてバスケット一杯のお弁当を作るようになるのです。 そうして二人の逢瀬は続く。

2013-12-22 23:30:40
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんは森の事を凄く良く知ってるから、イアが湖にやってくる度に、石の粉の他に人では危険すぎて取れない薬草とか、実った果実とかを持ってきてくれるのです。 畔でお喋りしながらイアのご飯食べて、そんなデートを繰り返す日々。いちゃいちゃし始めるのもこの頃(笑)

2013-12-22 23:33:12
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアはテッドさんを森の神様だと思ってる。けれど村の人は悪魔だと呼ぶ人もいる。 しかしテッドさんはそれは人がかってに思ってるだけで、俺は神でも悪魔でもない、って言うのです。 そんなテッドさんに告白したのはイアから。美味しそうにお弁当食べてくれるその顔が大好きだったのです。

2013-12-22 23:34:58
大崎巧実(裏) @mboxtw2

「神様に恋をするのは、罰当たりですか?」ってイアが訪ねて。「さぁ?俺は神でも悪魔でもないからわからないな」ってテッドさんが応える。それに「じゃあ、私がテッドさんを好きになっても構わないですよね?」って。 そんなイアの告白に驚いたけれど、「……喜んで」って受け取るのです。

2013-12-22 23:36:29
大崎巧実(裏) @mboxtw2

まあそんなこんなで恋人として今まで以上にべったりになる訳なんだけど、この頃からテッドさんはイアの住む町に顔を出すようになっちゃうのです。 店舗兼住宅であるイアの家にふらり、とやってきてはご飯ーって強請るのです。時にはそのまま泊まっていって、一晩中いちゃいちゃして翌朝森に帰る。

2013-12-22 23:38:01
大崎巧実(裏) @mboxtw2

店舗だからイアがお客さんの相手をしてる時もある。 テッドさんが石の粉をくれたり、貴重な薬草を持ってきてくれるので、イアの薬局の評判は右肩上がり。良く効くと街の住民は何かあると大抵イアの所に薬を貰いにやってくるのです。 そんなイアをテッドさんは眺めてる。

2013-12-22 23:39:45
大崎巧実(裏) @mboxtw2

年若い一人暮らしの娘。そして彼女の家で時折見かける男の姿。と言う事で噂になっちゃうんですよね。そしてテッドさんが森に帰る所を見かける人、そして気紛れに魔術を使う所を見たって人もちらほらと出てくる。 あれは誰だろう?って。

2013-12-22 23:41:22
大崎巧実(裏) @mboxtw2

森に住む魔物じゃないか、そう疑う人もいるけれどテッドさんは街の人間に何かする所か、転んで擦り傷作った子供の怪我を治してくれたり、気紛れに何か手伝ってくれたりするので、逆にあれは神様じゃないかと言う人も出てくる。 各地を渡り、人を助けて回ってるんじゃないかと。

2013-12-22 23:43:03
大崎巧実(裏) @mboxtw2

基本的にテッドさんはイアの為にしか力をふるわない。誰かを助ける時も、イアに言われたからとか、そうするとイアが喜ぶから、とかそんな理由。 奉仕の精神なんぞ持ち合わせちゃいないので、自分の気の向くままイアの為にせっせと通ってきてるだけなのです。イアに会いたくて、イアのご飯食べたくてw

2013-12-22 23:44:27
大崎巧実(裏) @mboxtw2

で。時は流れ、人はどんどん欲求をエスカレートさせていく。 テッドさんを神様だと信じる人達は、その『奇跡』が欲しくなるわけです。 人では手に入れる事が出来ない様々な恵みを与えてくれる。それが欲しいと。 でも、気がつくのです。彼は『イアの為に』しか力をふるわない事。

2013-12-22 23:46:00
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアに、テッドさんに頼んでよって言う人も増えてくる。イアが頼めば大抵の事はテッドさんしてくれる。 でも、イアは何度も何度もテッドさんに頼むのは気が引けるし、中には厚かましいものもあって頼みたくないってのもある。そうして、徐々に亀裂が生じていくのですね。

2013-12-22 23:47:19
大崎巧実(裏) @mboxtw2

ふらふらとじっとしていない神。また、彼がどこかへ行ってしまうのではないか。そう、住民は不安になっていくのです。 今の幸せを、今の恵みを、それがすべて無くなってしまうのではないかと。 どうしたらテッドさんをこの町に縛り付ける事が出来るのか、そう人は考え始める。

2013-12-22 23:48:31
大崎巧実(裏) @mboxtw2

不穏な空気が流れ始めた中、それでもテッドさんとイアたんは幸せな日々を過ごしてた。 入り浸る事の多いテッドさんとべたべたいちゃいちゃしながら、彼に知識を教わって新しい薬を作ったり、森にデートしにいったり。本当に幸せ一杯だったのです。

2013-12-22 23:50:31
大崎巧実(裏) @mboxtw2

でも。その幸せもとうとう崩れ去る。 テッドさんを縛り付けておく為に、人はとある秘術を行使するのです。 流れる神に、動かぬように楔を打ち込む、その秘術を。 その『楔』として使われたのが、イアだった。神が愛し、執着する人物でなければならなかったから。

2013-12-22 23:52:38
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアは力尽くで連れて行かれ、秘術にかけられ命を落とす。その亡骸を使いテッドさんはその街に縛り付けられてしまうのです。 もうどこにも動けない。そして、愛したイアの命も無惨に奪われた。その悲しみで、街に災いを振りまいてしまうのです。

2013-12-22 23:53:59