マスター・オブ・カブキ・イントリーグ #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

生き残ったカブキ・フォース隊員は連鎖的に自爆。何ひとつ証拠を残す事無く爆発四散を遂げた。恐るべき狂気が、この特殊部隊を突き動かしているのだ。双子は互いに肩を貸しながら立ち上がり、虫の息のアダマンタインを見下ろす。ガンドー、ユカノ、ブレイズも四方からこれを取り囲んだ。 45

2013-12-22 22:28:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これで勝ったと思うな……お前たちは……共和国に逆らった……」アダマンタインが吐き捨てる。「共和国?元老院の間違いじゃねえのか?」ガンドーがZBR煙草を吹かしながら問う。アダマンタインは答えない。 46

2013-12-22 22:36:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「生憎だが、俺のバックにも元老の一人がついてんだ…全く気に入らねえけどな」ガンドーが座り込んで言い聞かせる。満身創痍のままスタッグビートル・ヤクザクランの筋を追った彼は、偶然にも別な元老の走狗組織と接触を果たした。「カブキ・フォースと元老院の暴走を危惧する者がいるって事さ」 47

2013-12-22 22:41:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スミマセン」敵側にも元老がいると知るや、アダマンタインは命乞いした。「長官はアキラノ・ハンカバ=サンです。カブキでも何でも話しま……アイエエエエエエ!」直後、アダマンタインは痙攣!彼はその両目を大きく見開く!サイバネアイの網膜液晶画面を、赤い「禁」の文字が覆い始めていた! 48

2013-12-22 22:54:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マトイを壊してもダメかよ!脳内に仕掛けられた小型アンタイニンジャ爆弾が爆発するぞ!」ガンドーが仲間に警告する!「アバババーッ!」アダマンタインが首を振り絶叫!何たるブザマ!ニンジャの尊厳もここまで堕ちたか!だが「キエーッ!」ドラゴン・ニンジャが寸前で無慈悲なるカイシャク! 49

2013-12-22 23:03:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」痛烈なキックによって切断された生首は、放物線を描きながら庵の上を回転飛翔!断末魔の絶叫を放った!「サヨナラ!」爆発四散!爆弾ではなくニンジャソウルの暴走により果てたのだ!もしかするとそれは……ソウルに対しドラゴン・ニンジャが示した、せめてもの慈悲だったのか。 50

2013-12-22 23:09:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フゥーッ」煙を吐くガンドーの胸の内には、カブキ・フォースと元老院に対する激しい嫌悪感と焦燥感が残る。敵を撃退し、少なからぬ打撃を与えたはずだ。それでも奴らは計画を強行するだろう。あたかも大量にネジをこぼしながら離陸しようとする、ジャンボジェット機めいて。 51

2013-12-22 23:29:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((…このショウの黒幕は誰だ?本当にアキラノか?それとも…)))ガンドーは独りごちる。無数の操り糸がちらつく。頭痛。強力なトロイ型ウィルスの駆除策は、未だ不明。そして敵は、彼のこの状態を知った。コードを遠隔解析したナンシーは、不気味なハッカーカルトの関与を示唆している。 52

2013-12-22 23:37:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガゴンプシュー!庵のシェルターが内側から開かれ、従者オイランのナミダ、初老の庭師、デイトレード技術者の三人が外へ出てきて双子と手を取り合った。ブレイズは緊張の糸が途切れたか、いつの間にか髪の色を黒く変え、エーリアスと呼ばれるもうひとつの人格に切り替わり、何故か涙ぐんでいた。 53

2013-12-22 23:43:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もともと、落ち合う約束してたんだろ。厄介な事になっちまって悪いな、ユカノ=サン」ガンドーが言う。「岡山県へ連れて行きます。そこでは安全に憩えます」ユカノが返す。その胸は豊満である。布メンポを下ろした彼女の声は、イクサの最中とは打って変わって、超然的な静けさをたたえていた。 54

2013-12-22 23:50:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そこから双子が私たちの旅に同行するかは……彼ら次第です。ガンドー=サン、貴方も来ますか?」「……いいや、俺は都会のカラスなんでな。岡山県じゃ退屈で死んじまう。そうだな、オキナワでも行くぜ。キンギョ屋が一足先にバカンス中なんだよ。一緒にどうだ?」ガンドーは悪戯っぽく笑った。 55

2013-12-22 23:56:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「本当にオキナワへ?」ユカノが問う。「……まあ、色々と面倒事が片付いてからな!あんた方にも、大事なクエストがあるんだろ?あの凶暴な赤髪が暴れ出す前に、さっさと行ってくれよ!元老院だの、政府筋だの、ミミっちい話は俺が片付けるからよ!」ガンドーは胸を張って笑った。体中が軋んだ。 56

2013-12-23 00:03:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノはそれを察し、再びメンポで口元を隠した。そしてドラゴン・ニンジャの智慧を語った。「……アキラノ・ハンカバ……それがもしハンカバ・カブキの正統継承者だとするなら、油断ならぬ敵です」 57

2013-12-23 00:11:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「彼らはモータルでありながら、密かにニンジャ封じの技を編み出していました。江戸戦争では松尾芭蕉とともに多くのニンジャを葬ったといいます。ハンカバ流の真の知識や血筋は、とうの昔に根絶やしにされた思っていましたが……。油断しない事です。オタッシャデ」ユカノは暫しの別れを告げた。 58

2013-12-23 00:17:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああ、そのうち皆でオキナワでも行こうぜ」「そうですね」ユカノは笑い、双子やエーリアスのもとへ向かう。この場に留まるのは得策ではない。旅立たねば。西へ。岡山県へ。ガンドーもZBR煙草を最後に大きく吸う。遥かに良い。今は動き続けねばならぬ。東へ。ヴァレイ・オブ・センジンへ。 59

2013-12-23 00:28:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「マスター・オブ・カブキ・イントリーグ」終わり「グラウンド・ゼロ、デス・ヴァレイ・オブ・センジン」へ続く)

2013-12-23 00:29:48