<黒衣の未亡人-THE BLACK WIDOWS> -- 第二章: 巴里炎上 2003>
「神速の輪聖ボードマン?不動の輪聖インデュライン?あんたらプレスはそういう銘を有り難がってXXしている腑抜けそろいだぜ。見てな、俺が奴の化けの皮を剥がしてやるぜ。喧嘩ってのはな、銘やスペックでするんじゃねぇ。XXでするって教えてやるぜ」 2
2013-12-25 21:33:14「見てな、プロローグで俺はランスを喰ってやる。この大英帝国の狂乱の息子、デイビッド・ミラー様がな...」 3
2013-12-25 21:35:12[A.D. 2000 Sept.-13 Mont Ventoux France] <大変な展開です!昨年の優勝がfluke(まぐれ)と思われていたUSPのランス・アームストロングがマイヨジョーヌを奪取!そしてこの天王山の魔の山であろう事か!> 5
2013-12-25 21:42:59<輪聖マルコ・パンターニのメルカトーネ輪闘団と共闘!エンタープライズとドミナの両イェーガーは背中合わせに防御陣を張り他のイェーガーを殲滅!そして!あぁ!> 6
2013-12-25 21:46:07<両雄向き合って相打ち!二騎のイェーガーの大剣はお互いの胸を貫いて動力停止!> 「ランス!何故!」「マルコ!気でも狂ったか!」 8
2013-12-25 21:48:32「ジョージ!お前達アシストパイロットは射出する!2キロ後方でベルゲ・イェーガーに回収してもらえ!」 「ランス!お前はどうするつもりだ!」 「輪聖殿は俺と同じ事を考えているらしいよ」 ランスは破壊されたエンタープライズのユーティリティボックスからバイクコンテナを引き出す 10
2013-12-25 21:53:35Music by George Gershwin / Leonard Bernstein <Rhapsody in Blue> 11
2013-12-25 21:54:09ランスはバイクに跨がり、モン・ヴァントゥの麓を見る。一人のスキンヘッドの男、輪聖マルコ・パンターニがランスを見下ろしていた。 「邪魔な他チームを飲み干し、アシストさえも切り捨て、お前はこの瞬間を待っていたのだろう?ランス。スポークでこの輪聖の首を切り裂く瞬間を」 12
2013-12-25 21:58:24「俺をこの<魔の山>で倒す事が出来たなら、お前に輪聖の銘をやろう。お前の野心に必要な武具だろう?だがな、」 パンターニは壮絶に笑った。 「この銘は福音(gospel)ではない。呪い(curse)なのだよ、ランス・ボーイ。」 13
2013-12-25 22:04:35<THE BLACK WIDOWS> act-2 PARIS ON FLAME 2003 <黒衣の未亡人> 第二章 巴里炎上 2003 14
2013-12-25 22:07:50<なんという事だ!ツールドフランスに!ツールドフランスに3年ぶりに<自転車>が帰ってきた!そしてこの魔の山で、いきなり輪聖の銘をかけた両雄の御前試合が始まる!> 15
2013-12-25 22:11:24[A.D. 2000 July-13 Mont Ventoux France] Le Chalet-Reynard シンプソンの墓標まで後3.5キロ地点。 「なんだよ!やけにサイクリストがいないじゃないか!」 「皆イェーガー戦を見る為にもう山を下っているよ」 16
2014-01-08 18:01:08「どいつもこいつもイェーガー、イェーガーって!まったく!古き良き輪闘の伝統が台無しだぜ!カイジュウ防衛の為に輪闘士が使われるようになって以来、伝統も余韻もあったもんじゃねぇ。早くシンプソンの墓を越えちまおうぜ!」 「..ん?ハンス、下から何か来るぞ」 17
2014-01-08 18:04:06「なんだ?あれは?バイクと車?あれはまるで3年前までのツールの先導車じゃねぇか?」 「あれは....UCI衛士輪闘団(UCIセンチュリオン)!!何故だ?」 UCIとASO、龍と蛇が絡み合う紋章旗を掲げた衛士輪塔士は大音声で口上を述べながら魔の山を登ってきた。 18
2014-01-08 18:09:02<沿道の一般輪士共に告ぐ!UCIセンチュリオンである!本日、UCI戦時特例法第3条の発令により、モンヴァントゥーは特S級輪闘の為UCIにより接収された。ただちに沿道から離れ、身の安全を確保せよ!> 19
2014-01-08 18:14:31「特S級輪闘!!」 その名前は最強の武具、アルカンシエルの授与時でも聞かぬ。黄金の武具マイヨジョーヌの授与でも聞かぬ。唯一<式眼>が認めた輪闘士の頂点、「輪聖」の銘を賭けた輪闘においてのみ聞く。 「..じゃぁ、この丘に戦いながら登ってくる奴らってのは...」 20
2014-01-08 18:19:21Gwww!! Crush! Dwww!! ハンドルが接触し、メイスが火花を立てて弾かれる音。 「来た!!」「すげぇ!!」 濁流のように寄せては離れる二台のバイク。その座上で二人の輪闘士はメイスを繰り出して斬り合いながら頂上を目指す。 「イェアアアアァア!」 21
2014-01-08 18:24:09その速度は先導の衛士のバイクを喰らう勢い。 「....輪聖マルコ・パンターニと、ランス・アームストロング...。パンターニの輪聖を賭けた戦いなのか?」 22
2014-01-08 18:25:54[その15キロ南。UCI輪闘士回収APC(輸送車)通称:ほうき車] 「...爪を噛む癖は直したまえ、クリスチャン。我々は今歴史を見ているのだよ?」 モニタを見つめながらヒンカピーは横のVDVを見るともなしに呟いた。 「...僕は、今、濁流にのまれる木の葉の気分だよ..」 23
2014-01-08 18:31:54「勝つ術ならいくつでもあるじゃないか!我々は勝てるんだろう?なんで、そしてよりにもよって<輪聖>の首が必要なんだよ!」 珍しくVDVは声を荒げてヘルメットを床に投げ捨てる。ヒンカピーはその彼の手を取り、冷製に目を覗き込んだ。 24
2014-01-08 18:35:43