#架空職業 記録17(年末~)
「あの、豆太様」呼んだ豆太に無言で視線を向けられて、メイがわずかにうろたえる。「その、えっと……メマメ!メマメ、が、髪をずっと編んでいて」豆太の肩の上で、暇を持て余したらしいメマメが豆太の髪を弄って遊んでいた。メマメにも退屈するということがあるのだろうか。 #親愛なるあなたへ
2013-12-15 22:14:32「あーあー、ぐちゃぐちゃじゃないかい。編むならもうちょっとうまくやらなきゃ、髪が傷むよ」アザミがメマメに菓子楊枝を向けて小言を言う。「言葉、わかるんですかね?」メマメはアザミの言葉に振り向きもしない。「奪い屋の言うことには反応してるように見えるんだけど」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:37:26「何か共通点でもあるんですかね?」「色とか?」「豆だし」「単眼――じゃ、ないんですけどね」二人が話す間、豆太は相槌を打つでもなく肩のメマメを気にかけている。「あ、あの――」何か、次の話題。メイがそう思って身を乗り出したとき、がらりと音を立てて店の障子が開いた。 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:38:05「蝙蝠?」「あ?――何してんだこんなとこで」「見ての通りさ。あんたも栗金時食べに来たんだろう?座りなよ」「……ちっ」渋々といった風に、蝙蝠はアザミの隣に腰かけた。正面の豆太をいらいらと眺めている。「つうか、なんだそれ。桃頭の使い魔じゃねえの?」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:38:36「ずっと付いて離れないらしいんだよ。監視屋が心配でもしてんのかねえ」「あの桃頭はそんなガラじゃねえだろ。監視されてるみたいで気味が悪りィ」「なによ探し屋、あんたときおさまの悪口言うわけ?!」「あ?!」「ちょっとよしなよあんたら!」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:45:01「――つうか、一番の問題はてめえだろうがよ単眼!」唐突に矛先を向けられた豆太は、一瞬驚いた表情をしたものの、すぐに「すみません」と小さくつぶやいて笑った。「ざけんな、元々てめえんな風に笑うやつじゃ無かっただろうが!馬鹿にしてんのか?!」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:53:31「ちょっと蝙蝠――」アザミが制止に入るより先に、豆太の肩の上でメマメの表情が変わった。腕(のように見える何か)を振り回して、「ンマ!!」と鳴く。呼ばれたかのように、テーブルの裏側から複数のメマメがぞろぞろと出現した。 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:56:33はい出してきたメマメの中には、ひときわ大きい個体が一体混じっている。メイもアザミも、見たことがない個体だった。「はっ?!どこからこんな――」それぞれが疑問を口にしている間に、その巨大な個体が蝙蝠の着物の裾――もとい、褌にかみつく。 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 19:59:58「はっ?!おいこら何――待てこら何食って――」一瞬のうちに、店内は阿鼻叫喚に包まれた。大量のメマメが、蝙蝠に向かって襲いかかっていた。よくよく見ると、その小さな手足で蝙蝠を殴る蹴るしているようだった。その間も、褌を咥えた一個体はちゃくちゃくとそれを食んでいく。 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 20:02:56「何してんだいこいつら」「……さあ。敵だと判断されたんでしょうか」「ほら蝙蝠、暴れると埃が立つじゃないか。迷惑だから外に出なよ」「アザミさん、この際だから押さえつけちゃいましょうこいつ」「っに悠長ぶっこいてんだこらあああ!!!」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 20:05:18「は」声に思わず振り返ると、そこには眉を下げて相好を崩した豆太がいた。「はは、あははははは!」「あ?!単眼までてめえ何笑ってやがる!っざけんな離れろ使い魔!!!」「はははははメマメ可愛いあははは」「笑うなっつってんだろクソ離せええええ!!」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 20:10:33それを見て、アザミとメイは顔を見合わせた。「…結果オーライ、ですかね?」「……さあ。いいんじゃないかい、この際」「ですね。豆太様、重力のナックルやっちゃいましょうよ」「ああ、ついでに埃も落ち着くとありがたいねえ」「はああなあああせええええええ!!!!」 #親愛なるあなたへ
2013-12-27 20:13:19グランマが他のメマメと一緒にちまちま歩きながら椅子の下から出てくるのを受信しました。あとメマメに引っ付かれてもぎゃー!!ってなってる蝙蝠さんも。
2013-12-27 20:17:38