全てがトロになる ①

SSと言ったが、何のSSかは指定していない。つまり我々がその気になれば、忍殺のSSにするのも艦これのSSにするのも勝手だということ……! 前:https://togetter.com/li/607900 次:https://togetter.com/li/609821
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劉度 @arther456

『左舷後方より、マグロ三匹接近!』「木曾、頼む!」『任せろ!』木曾の連装砲が火を吹き、3匹中2匹のマグロが爆発する。砲撃を避けた一匹も、木曾の抜いたサーベルに一刀両断される。分断マグロは宙を舞い、赤とオレンジの花火になった。24

2013-12-29 21:54:29
劉度 @arther456

「自爆?回天の真似事か?マグロ共いい加減にしろよ……!」対物ライフルに弾を込めながら提督は毒づく。装填したライフルを構え、艦橋横の階段から眼下へ発砲。弾は見事、甲板にいた二足歩行マグロパワードスーツの強化ガラスを打ち抜き、機能を停止させた。25

2013-12-29 21:58:12
劉度 @arther456

「よし、甲板の敵は排除した!蒼龍、制空権は!?」「……互角です!赤城さんはどうしたんですか!?」蒼龍の悲鳴には答えず、提督は舌打ちする。空を見上げれば、巴戦を繰り広げる零戦とマグロ。いかなる魔術か、マグロが生身で空を飛び、機銃を使って艦載機と戦っている。26

2013-12-29 22:02:03
劉度 @arther456

「……何なんだよ、これぇ!」マグロが空を飛ぶ。マグロが陸に上がってくる。マグロ回天。こんなマグロ見たことない。悲鳴を上げるな、というほうが無理な話である。「前方に深海棲艦の反応アリ!」「あぁ!?」報告と同時に、海面に次々と深海棲艦たちが浮上してくる。27

2013-12-29 22:05:44
劉度 @arther456

少数のヲ級やル級を中心とし、巡洋艦・駆逐艦が周りに控える一般的な深海棲艦の群れ。だがその中央に異質な存在が一体。金の長髪を潮風になびかせ、顔には酸素マスク型の艤装を装着し、海面に仁王立ちする深海棲艦。西方で見る潜水艦型に見えるが、あれとは違う完全な人型だ。28

2013-12-29 22:09:10
劉度 @arther456

「敵艦より通信!」「……繋げ!」艦内スピーカーに敵の声が響く。謎の深海棲艦は、素早くお辞儀をした。『ザザッ……ドーモ、ミナ=サン……む、違うか。ドーモ、皆さん。ガトー級潜水艦、アルバコアです』30

2013-12-29 22:12:36
劉度 @arther456

艦内の空気が凍りついた。アルバコアとは、かつての大戦で多くの日本軍艦艇を葬り去った米潜水艦の名である。艦娘と同じく艦霊を宿した身でありながら、深海棲艦と成った存在なのか。それとも。「アルバコア、急速接近!」突如、敵が動く。速い。まるで色のついた風だ。31

2013-12-29 22:16:53
劉度 @arther456

「ちいっ!」迫られた木曾がサーベルを振りかざす。だが、その時アルバコアは彼女の懐に飛び込んでいた。鳩尾に突き刺さった拳が、木曾を一撃で大破させる。「がはっ……!」目では捉えられぬその動き。艦娘の、ましてや深海棲艦のものでもない!32

2013-12-29 22:20:14
劉度 @arther456

『素晴らしい……これがニンジャの力か!』ニンジャ。その一言が提督たちの心に突き刺さった。「アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!」「コワイ!」「ゴボボーッ!」絶叫する提督!マグロ乗組員卒倒!その横で蒼龍はしめやかに失禁!一部の読者はこの現象をご存知であろう!33

2013-12-29 22:23:43
劉度 @arther456

NRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)である!それはニンジャに接した非ニンジャが引き起こす、遺伝的恐怖反応!この世界には半神的存在・ニンジャによる支配はなかったものの、アルバコアの人智を超えた力に、本能がNRSに酷似した症状を引き起こしたのだ!34

2013-12-29 22:27:32
劉度 @arther456

ニンジャの……深海棲艦!そのショックが与える影響はいかほどか!?コントロールを失い、次々と撃墜される零戦。海上を突き進んでくるマグロたちを留める術はない!もはや艦隊の敗北、そして『蔵王』の沈没は免れない。誰もがそう思っていた。その時!35

2013-12-29 22:30:19
劉度 @arther456

ゴゥンッ!威圧的なエンジン音が響き、先ほどまで提督が乗っていた内火艇が飛び出した。船にはどこからか調達したのか、弾薬・爆薬が満載されている。自爆上等のその姿は、かつての大戦で使われた非人道特攻兵器『震洋』そのものである!36

2013-12-29 22:33:52
劉度 @arther456

「バカヤロウ、何してんだ!」提督が叫ぶが、声は届かない。マグロの群れを巧みにかわし、内火艇はアルバコアの元に到達、そして!KABOOOOOOM!内火艇は爆発四散!KRAT,KRAT,KRATOOOOM!更に満載された可燃物が連鎖爆発!爆炎に包まれるアルバコア!37

2013-12-29 22:37:26
劉度 @arther456

……だが、爆炎の中から姿を現したアルバコアは全くの無傷であった。非常な話だが、当然である。モーターボートに詰め込める量の火薬程度では、ニンジャの深海棲艦に傷をつけることなど叶わぬのだ。「時代遅れの体当たり攻撃か……くだらんセンチメントだな」アルバコアが死を嘲る。38

2013-12-29 22:39:46
劉度 @arther456

「然り。だが貴様はそのくだらぬセンチメントを誇りにしていたのだ」ジゴクめいた声が、それに応えた。「何ッ!?」アルバコアが声の主を探す。相手は目立つ場所にいた。後方に控える空母ヲ級の頭の上だ。直立不動の赤黒い人影の目は、センコのように細められている。39

2013-12-29 22:43:17
劉度 @arther456

そして何よりも目を引くのは……おお、見よ!その顔に装着されたメンポを!禍々しい書体で「忍」「殺」と刻まれているではないか!確かに、『震洋』は犠牲を問わぬ非人道的兵器であろう。だが、乗り手がニンジャならば?40

2013-12-29 22:47:16
劉度 @arther456

赤黒のニンジャがオジギする。それと同時である。何たる偶然か、提督の机に置かれたコンプティークが風にあおられ、あるページを開いていた。そのページに書かれて……否、『描』かれているものは……!41

2013-12-29 22:50:41
劉度 @arther456

【全てがトロになる】①終わり ②に続く

2013-12-29 22:51:34