空自の「敵基地攻撃研究開始」報道について国際法学たんに聞いてみた

産経新聞で報道された「航空自衛隊が『敵基地』を攻撃する研究するということについて国際法上問題はないのか聞いてみました。個人的な勉強用にまとめただけです。
8
simo@紗希&ツチヤ教徒 @simoMC3

@kokusai_law_tan 研究するつもりだけなでしょうが、「宣戦布告なしの敵(産経サン明言)基地攻撃」したらどうなるんですかね? 結果は…  RT @simoMC3: 空自 敵基地攻撃能力を研究へ - Y!ニュース http://t.co/5iP5FkVD4A

2014-01-03 13:26:07

政府が今夏、航空自衛隊に「航空戦術教導団」(仮称)を新編することが2日、分かった。戦闘機と地対空誘導弾の戦闘技術を高める教導隊を集約し、北朝鮮の弾道ミサイル発射基地を念頭に敵基地攻撃能力の研究に着手。東シナ海に防空識別圏を設定した中国の戦闘機が領空を侵犯する恐れも強まる中、敵のレーダーを無力化するための電子戦の能力向上に向けて「電子作戦群」も新設する。

 航空戦術教導団を新たに編成するのは、昨年12月に閣議決定した平成26年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)を受けた措置。中期防には敵基地攻撃能力の保有に関し「弾道ミサイル発射手段への対応能力のあり方を検討し、必要な措置を講じる」と間接的な表現で盛り込んでいる。

 戦術教導団は空自の作戦中枢である航空総隊に属させる方針で、すでに準備要員を総隊司令部に配置。新編時は団司令部に約100人、団全体では約千人の規模を想定する。

 戦術教導団は新田原基地(宮崎県)の飛行教導隊と浜松基地(静岡県)の高射教導隊を傘下に集める。飛行教導隊は戦闘機部隊、高射教導隊は地対空誘導弾部隊の戦技の向上や研究を行っている。戦術教導団に集約することで、攻撃と防御に分かれ実戦に則した作戦構想を研究するのが狙い。

 総隊司令部飛行隊に属している電子戦支援隊なども戦術教導団に移し、「電子作戦群」に改編。空自は電子戦訓練機EC1を運用しており、敵の地上レーダーや地対空ミサイルを無力化する電子戦の技術向上や態勢強化を研究する。

 第3航空団(青森県)に属する航空支援隊も戦術教導団に移す。航空支援隊の隊員には、ミサイル基地などの攻撃目標に近づき、空自戦闘機の飛行経路や爆弾投下のタイミングを指示する「爆撃誘導員」の任務が期待され、戦術教導団は誘導員の育成や訓練の内容を具体化させる。

 現有装備で敵基地攻撃を実行する場合、衛星誘導爆弾を投下する支援戦闘機F2のほか、それを護衛する迎撃戦闘機F15、敵レーダーを妨害するEC1、空中給油機KC767が随伴。将来的には爆撃誘導員が敵地へ潜入する。平成28年度に最新鋭ステルス戦闘機F35Aライトニング2の調達が始まれば、F2の任務を代替させる。

 戦術教導団はこの作戦を遂行できるよう各分野での課題を検証し、新規に導入すべき装備も洗い出す。

国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 一つ注意が必要なのは、宣戦布告(通告)の有無は、現在の国際法にとってほとんど評価の対象にならんという事やなー。宣戦布告の有無によって合法か違法かの評価が変化する事はありえない、という事やなー。もはや宣戦布告という行為に特別な意味はないでー。

2014-01-03 18:20:29
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 敵基地攻撃が国際法上認められるかどうか、合法なのか違法なのかを決める基準は、それが武力行使禁止原則の例外にあたるか否か、という基準だけやなー。具体的に言えば、自衛権の行使か、国連の集団安全保障による強制措置のどちらかに該当する場合か否か、という基準やなー。

2014-01-03 18:25:46
simo@紗希&ツチヤ教徒 @simoMC3

@kokusai_law_tan ありがとうございます。すると…「状況によっては、産経新聞が言うところの『敵基地』を攻撃したとしても『自衛行動』だから許される可能性がある」ということですか。それには諸外国が味方してくれないとどうにもならないですね。ありがとうございました。

2014-01-03 18:28:50
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 このどっちかに該当するなら、宣戦布告なしでも合法になるわけやなー。どっちにも該当しないのであれば、宣戦布告があっても違法なわけやけどなー。 だから、敵基地攻撃が合法なのか違法なのかは、単に自衛権の行使として認められるか否か、という事によって決まるわけやー!

2014-01-03 18:29:16
simo@紗希&ツチヤ教徒 @simoMC3

@kokusai_law_tan 分かりやすい説明をありがとうございます。「自衛のための戦争」っていうのは、個人的には納得行かないのですが(大東亜戦争も「自存自衛のため」だったわけで)。でもそうすると外交次第では、許される可能性がある、ということですね。ありがとうございました。

2014-01-03 18:31:24
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 今回、航空自衛隊が研究しているのは、敵のミサイル基地に対する攻撃についてやろうけれど、単に先制的自衛として敵基地攻撃がなされるのであれば、これは違法やろなー。少なくとも日本の政府解釈は先制的自衛を認めていないからなー。

2014-01-03 18:35:53
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 おーい、話は最後まで聞きなさーい! 激おこぷんぷん丸やで!

2014-01-03 18:39:56
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 しかしながら、これは敵基地攻撃が一切認められないという事ではないんやなー。現在の政府解釈も、「武力攻撃の着手」に注目して、実際にミサイルが発射された事をもって、敵による「武力攻撃の発生」(憲章51条における自衛権行使の要件)があったと考えているわけやなー。

2014-01-03 18:45:41
simo@紗希&ツチヤ教徒 @simoMC3

@kokusai_law_tan 難しいところですね。自民党改憲案を見る限り、「合法にしたい」ように読めますけど…空自が研究はじめたのもそれを踏まえてのことかもしれないですね。確かにミサイル発射されて全弾撃墜が難しいという理論は分かるんですが。重ねてどうもありがとうございました。

2014-01-03 18:42:33
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 だから、実際にミサイルが発射された後に、次に発射される恐れのあるミサイルを破壊する事は、現行の政府解釈によっても妨げられてへんわけやなー。このような政府解釈の枠組みの中でも、自衛権行使として敵基地攻撃が認められる場合もあるわけやー。勿論、憲法問題は別にあるけど。

2014-01-03 18:51:09
国際法学たん(VR化は未定) @kokusai_law_tan

@simoMC3 少なくとも、従来の政府解釈に従うのであれば、今回の航空自衛隊による敵基地攻撃の研究は、国際法的には問題はあまりないなー。勿論、憲法問題だったり、軍事的なコストについては問題があるかもやけどなー。

2014-01-03 18:55:01
simo@紗希&ツチヤ教徒 @simoMC3

@kokusai_law_tan いえいえ。とんでもないです。都庁で余計なコトを申しまして、申し訳ありませんでした。現行憲法下でも、基地攻撃が「ミサイル発射後」ならば問題もなく宣戦布告は必要ない。ただしあくまで「自衛に限る」ということですね。ご指導ありがとうございました。

2014-01-03 19:22:54