生田美和さん@shodamiwa『オンリーワンの呪縛』

ゲームデザイナー&シナリオライターとして活躍されている生田美和さんの2014年1月7日の連続ツイート。
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生田美和 @shodamiwa

今日は、あまり時間がないのですが書きたい気分なので書きます。『オンリーワンの呪縛』。

2014-01-07 00:23:28
生田美和 @shodamiwa

1)自分を叱咤して、こんな言葉を口にすることがある。「自分だけの才能を身につけよう」「でないと、自分は代えが効く存在のままだ」と。でも、ふとこんな風にも思う。「だけど自分と同じ人間は、この世に一人もいないんだよな」と――。自分は代えの効く存在、自分は唯一無二の存在。矛盾している。

2014-01-07 00:25:01
生田美和 @shodamiwa

2)この矛盾には、こんなふうに言葉を補う。「『自分の人生においては』自分は主役で、唯一無二の存在。でも、『誰かの人生においては』 自分は脇役で、代えの効く存在。なので他の場所でも認められるような、オンリーワンを目指そう」。自分視点であるか、他人視点であるか。

2014-01-07 00:27:47
生田美和 @shodamiwa

3)視点次第で人は、主役にも脇役にもなる。それに気づかないと「自分だけの才能」「他人にはない価値」などの言葉に振り回される。誰かの物語で脇役でも、自分の物語では主役――。その事実を忘れた時、人は自分で自分を評価できなくなる。他人からの評価を追い求め、それを全てと感じてしまう。

2014-01-07 00:31:11
生田美和 @shodamiwa

4)思うような評価が他人から得られないと、「努力が足りなかったのだろうか?」と自分の努力を疑いはじめる。その疑いが続くと、「自分には才能がないんだ」と自己否定に繋がってしまうことさえある。もしかしたら、そのシーンでは、たまたま脇役だった、というだけの話かもしれないのに。

2014-01-07 00:38:46
生田美和 @shodamiwa

5)例えば、学生時代。学園祭や体育祭、模試や部活など、イベントごとに光る人はいたと思う。けれど、いつも同じ人が評価されているわけではなかったはずだ。イベントごとに、シーンごとに、主役になる人物は変わっていく。

2014-01-07 00:51:06
生田美和 @shodamiwa

6)才能や立場ではなく、状況が人を選ぶこともある。サッカーでは、ボールのこぼれた方や選手の接触などの状況で、思わぬ選手がシュートを打つことがある。ストライカーであることより、その時その場にいることが、得点に結びつく。重要なシーンほど、居合わせる運が、才能の上を行くことがある。

2014-01-07 00:54:05
生田美和 @shodamiwa

7)まとめに入る。才能にかかわらず、いくつかのイベントでは自分が、影の薄い脇役、変更可能のモブキャラになってしまうこともある。努力のわりには、評価が得られぬこともある。それでも、『自分の人生では、自分が主役』という事実に変わりはない。 そして、何よりこの事実がズシリと重たい。

2014-01-07 00:57:23
生田美和 @shodamiwa

8)自分の人生では自分が主役になるしかない――この事実は重い。その重さに耐え切れず、急き立てられるように、才能を求めることもある。「自分は自分の人生においてさえ、主役を張るには頼りないじゃないか!」と、ひどく落ち込むこともある。誰かの活躍を見て、日々の努力が虚しくなることもある。

2014-01-07 00:59:07
生田美和 @shodamiwa

9)そんな時は、オンリーワンなんて言葉を忘れてしまおう。自分は、ありふれた存在だと開き直ってしまおう。自分は代えが効く存在だ。だけど、それでも、今この時、この場所にいるのは自分なんだ。この状況が、自分を選んだんだ――。そう思って、居合わせた運を、重要なサインだと信じてみよう。

2014-01-07 01:03:19
生田美和 @shodamiwa

10)自分はありふれた人間だと思って、今、目の前にあるイベントを素直に見つめてみる。「何が重要なのか?」、その要素を、『自分視点』『他人視点』『俯瞰視点』を重ねて考えれば、有効なアクションが見えてくる。「才能を発揮しよう」なんてことに振り回されていると、これができない。

2014-01-07 01:11:05
生田美和 @shodamiwa

11)自分の役割が見えれば、物語は進む。それでも自分を追い詰めてしまうなら、足りないのは努力や才能ではないかもしれない「あなたは掛け替えがない人だ」と言ってくれる誰かに、言いたくなる誰かに、あるいは場面に、出会うだけで光はさす。足りないのは新しい人々や場所との出会いかもしれない。

2014-01-07 01:19:04
生田美和 @shodamiwa

以上、『オンリーワンの呪縛』でした。オンリーワンにすらならなくてもいいというのが、私の考えです。やり甲斐とか、才能という言葉で、(自分を含めた)誰かを追い詰めたくないのです。才能を生かせる場所は限定されますが、人柄はどこででも、いつまでも、有効なのですから。

2014-01-07 01:27:11
生田美和 @shodamiwa

人生を個人戦と見るか、団体戦と見るか。個人戦と見れば、周囲の優秀な人々は敵になり、団体戦と見れば同じ人々が頼もしい仲間となる。時には脇役でも構わないとの割り切りが、自分を名プレイヤーに変えることがある。

2014-01-07 10:13:21