◆◆◆ワンモア・ノーモア・フジキド・ケンジ◆◆◆

◆トグルスイッチ ‏@ToggleSwitch =サンによる、ツイッター連載サイバーパンク活劇・ニンジャスレイヤー(@NJSLYR)の二次創作です。 ◆下駄迅兵衛の小説実験室(ブログまとめ) http://getajin.blog29.fc2.com/
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((コソコソ…これから流すのはテキストカラテ、つまり二次創作、よってニンジャスレイヤーアカウントとはなんのかんけいもないテキストカラテです))

2014-01-13 09:37:52
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((改変ネタの一部であると思ってくれれば重畳でございます。話の種やなんかになればいいと思ってます。あ、でも本タグでこの話はしちゃダメですよ。当たり前ですけど))

2014-01-13 09:40:11
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((コソコソやります…では、はじまりはじまり…トグルスイッチ、オン。snapped!))

2014-01-13 09:41:53
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◆◆◆ワンモア・ノーモア・フジキド・ケンジ◆◆◆

2014-01-13 09:42:20
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ニンジャスレイヤーはスシ屋台でスシを頼んだ。1

2014-01-13 09:42:47
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スシ屋台とは屋根のついたリヤカーに、スシ屋を搭載したものである。イタマエがそのリヤカーを引き、客がつくまで歩く。商売であり、イタマエ修業でもある。隠しきれぬキリングオーラを体温とともに匂わせていた男が、その夜初めての客だった。2

2014-01-13 09:43:21
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「イラッシャイマセ」 「タマゴと、イカ、イクラ、マグロを二つずつ」 イタマエは静かではあるが、カタナのような返事をし、恐怖心を、ヘイキンテキへと持っていった。恐れた彼の心根を笑ってはいけない。このスシ屋台を始めてから三ヶ月。彼は最初、客の恐ろしさをなめてかかっていた。3

2014-01-13 09:44:44
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しかしいまは、ようやくセンシティヴに客というもの、イタマエというものを理解できるようになっていた。恐怖心をごまかすこと、それは自らの心が鈍っていることだと気がついたのだ。客と相対するとき、砥石に相対する包丁めいて、恐怖を認めながらも、鋭くぎらぎらと輝いている。4

2014-01-13 09:45:23
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スシ屋台は、イタマエの最前線を感じられる場なのだ。 トレンチコートとハンチングのその客は、普通よりも大きいサイズが特徴のスシを食べ、一瞬目をつぶった。彼の目的は摂取であった。が、いつの間にか、食べることに集中していた。 「ヤッテマスカ」 「ハイ、イラッシャイ、ドーゾ」5

2014-01-13 09:46:24
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二人目の客が現れた。客は若いサラリマンのようだった。ネクタイをとり、鞄にしまい、それを膝の上に置いてから注文をした。これは日本においてシツレイな行為ではない。ここでくつろがせていただきます、という意思表示なのだ。だが、それ以外にも理由がありそうだと、イタマエは理解していた。6

2014-01-13 09:47:01
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スシ屋台の席は狭い。少し脇に寄った一人目の客に、若いサラリマンは会釈をしながらアイサツした。 「ドーモ。フジキド・ケンジです」  フジキド・ケンジという名前はそれなりに一般的だ。だが彼は驚きを隠せなかった。自分と同姓同名だったからだ。7

2014-01-13 09:47:37
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「ドーモ、フジキド・ケンジ=サン。モリタ・イチローです」  モリタは、自分に似てこそいなかったが、もう一人のフジキド・ケンジに興味を持った。同じ名前の人間が、いまどうしているのか、かつての自分が流したボトルメールを自らが受け取ったような、そんな気分だった。8

2014-01-13 09:48:37
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イタマエはそれもなんとなく察知していた。頼まれたスシをすっと差し出しながら、二人に案配のいい話題を提供した。それは実際いいワザマエであった。 「お客さん、そのネクタイは、大切なものなんですか?」  照れたように客はこう答えた。「実は、妻からもらったものなんです」9

2014-01-13 09:49:36
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「奥さんがいらっしゃるのですか」モリタが会話を継いだ。「イエ、お若く見えましたから」 「そんなでもないんですよ。童顔だとよく言われます」 「では、お子さんは……?」 「まだです。でも……」10

2014-01-13 09:50:18
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ケンジは意外な展開に驚きながらも、会話を続けようとした。だが、そのときモリタが急に立ち上がったのだった。 「どうかしましたか?」 「いえ、用事を思い出しました。オカンジョウ」  代金を払うと、モリタはけばけばしく安っぽいLEDの光の海に消えた。11

2014-01-13 09:50:52
トグルスイッチ @ToggleSwitch

ニンジャスレイヤーは、ニンジャソウルの気配を感じたのだった。その痕跡を追った。彼はこの夜すでに、五人のニンジャを殺した。だが今度の相手は五人と比べても、明らかに手練れだった。脚力や腕力ではなく、人の群れの中に入ってニンジャスレイヤーを撒こうとしていた。13

2014-01-13 09:51:49
トグルスイッチ @ToggleSwitch

いままでのニンジャとはフーリンカザンが違っていた。相手はわざとソウル痕跡を強めたり弱めたり、いろんな場所に残したりして、こちらを混乱させた。ゴウランガ! ニンジャはニンジャスレイヤーの魔手を逃れた!14

2014-01-13 09:52:26
トグルスイッチ @ToggleSwitch

次の夜、モリタ・イチローはフジキド・ケンジに再び会う。コケシマートに入ったソウル痕跡を追ってのことだった。 「モリタ=サンもお買いものですか」 「いえまあ」 「実はわたしは病院帰りなんですよ」 「どこか悪いのですか?」 「いえ実は」そのときニンジャソウル痕跡を再びキャッチ!16

2014-01-13 09:55:01
トグルスイッチ @ToggleSwitch

彼はこの夜すでに、十人のニンジャを殺していた。だが今度の相手はその十人と比べても、明らかに手練れだった。脚力や腕力ではなく、人の群れの中に入ってニンジャスレイヤーを撒こうとしていた。17

2014-01-13 09:55:32
トグルスイッチ @ToggleSwitch

いままでのニンジャとはフーリンカザンが違っていた。相手はわざとソウル痕跡を強めたり弱めたり、いろんな場所に残したりして、こちらを混乱させた。ゴウランガ! ニンジャはニンジャスレイヤーの魔手を逃れた!18

2014-01-13 09:56:00
トグルスイッチ @ToggleSwitch

しかし、ニンジャスレイヤーは敵ニンジャのアジトを見つけていた。重金属酸性雨が降り出した。突然の雷光。轟音。ニンジャスレイヤーは立ちつくしている。間違いない。ここが拠点だ。そこは、平凡としか言えないアパートの一室。そして、表札には!19

2014-01-13 09:56:30
トグルスイッチ @ToggleSwitch

フジキド・ケンジの名があった。20

2014-01-13 09:57:02
トグルスイッチ @ToggleSwitch

ニンジャ聴力をもってすれば、中の会話などツツヌケに等しい。はしゃぐ父親。ほほえむ母親。そして、その胎のなかの子供の心音まで。彼は聞いた。彼がフジキド・ケンジだったころの声を。彼はいつのまにか、モリタ・イチローになってしまっていた。フジキド・ケンジとは、まったく関係のない男に。21

2014-01-13 09:57:28
トグルスイッチ @ToggleSwitch

モリタ・イチローは雨のなかにいた。ニンジャスレイヤーは、殺すべきだと思った。ではフジキド・ケンジは? フジキド・ケンジはどうしたのか? 否。フジキド・ケンジは、つつましく、自らの幸せをかみしめているではないか、家の中で。おれではないのだ。おれは、フジキド・ケンジではないのだ。22

2014-01-13 09:58:10
トグルスイッチ @ToggleSwitch

夜が明けるまで、ニンジャスレイヤーはそこで潜んだ。そしてフジキド・ケンジが出てくると、密かに後をつけ、会社を出てくるまで、待った。彼は疲れて、ふらふらと出てきた。その目の前に、ニンジャスレイヤーは現れた。 「ドーモ、フジキド・ケンジ=サン。ニンジャスレイヤーです」24

2014-01-13 09:59:13