拒食症と家族療法

俗に言う拒食症(神経性無食欲症)について、家族関係を念頭に置きながら解説しました。
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心理学たん @psycho_tan

こう考えると、女性の方が発症率が高い事も納得がいくわよね。男性は、多少太っていてもその事を咎められることは少ないし、大食いは男性のステイタス、男らしさと捉えられているような気さえするわ。

2014-01-19 21:00:05

神経性無食欲症の家族関係と家族療法

心理学たん @psycho_tan

ただ、前述したとおり摂食障害は男性でも発症することはあり得るわ。その場合は、女性の方とよく似た家庭環境をしていることが多いわ。ミニューチンは、摂食障害の家庭の特徴として、①絡み合い、➁過保護、③硬直性、④葛藤回避、⑤葛藤に子供を巻き込んでいることを上げているわ。

2014-01-19 21:01:21
心理学たん @psycho_tan

絡み合いっていうのは、過度に親密で、子どもが答えるべき場面で親が代わりに答えてしまう傾向がある事よ。親は子どもの事を何でも理解していると思っているから、取って代わろうとするのね。硬直性というのは、家族の在り方の変化に柔軟性がなく、成長に伴った子どもの自立などを阻みやすい傾向の事よ

2014-01-19 21:02:20
心理学たん @psycho_tan

この様に親の判断にばかりゆだねられた家庭に育つと、子どもは自己の内的基準を頼りにすることができなくなるわ。その結果、外的な痩せを奨励する文化に流されやすくなって摂食障害を発症させるのよ

2014-01-19 21:03:24
心理学たん @psycho_tan

この様な家庭の場合、ANを発症した方だけにカウンセリングを実施しても解決しないことがあるわ。そこで、家族療法という考え方が役に立つのよ。

2014-01-19 21:03:59
心理学たん @psycho_tan

家族療法の基本的な考えとして、システムズアプローチというものがあるわ。これは、問題を抱えた家族というシステム(関係系)に対して働きかけていくという考え方よ。

2014-01-19 21:04:26
心理学たん @psycho_tan

この考えの特殊なところは、個人の抱える問題はその子だけの物ではなく、システムの中にある問題が集中し顕在化させたのがその子だって考える事ね。その為、クライアントという言葉は用いず「患者とみなされた人(IP)」という言葉を使うわ。

2014-01-19 21:05:27
心理学たん @psycho_tan

IPの抱える問題(摂食障害、不登校など)の解決には、その根本にある家族システムの問題を見据える必要があるのよ。

2014-01-19 21:06:20
心理学たん @psycho_tan

通常カウンセリングは、個人に対して介入して問題解決を目指すわ。でも、さっきゲシュタルト心理学について解説したように、1人1人から聞いた内容を足し合わせても全体を捉えられるとは限らないわ

2014-01-19 21:06:53
心理学たん @psycho_tan

そこで、家族療法では家族全体に対して一緒にカウンセリングを行い、そこで実演される家族成員の相互のやり取りから彼らの関係を分析することを重視するわ。

2014-01-19 21:07:44
心理学たん @psycho_tan

個人に介入する場合の短所として、単純な因果関係で物事を捉えてしまうことが挙げられるわ。例えば、母親が過保護すぎたから摂食障害になったという情報しか得られないわ。この様な直線的な因果関係を直線的因果律というわ。家族療法では相互がそれぞれ原因となる関係を考えるわ(円環的因果律)

2014-01-19 21:10:38
心理学たん @psycho_tan

実際の家族は相互に関係しあっていることが多いわ。母親が過保護すぎるからクライアントは摂食障害になった。しかし、何でも勝手に決める母親に対しクライアントは心を閉ざしており、母親は心を開かせようと余計過保護になってしまうと考えられるわ。 http://t.co/YltMtTq9vI

2014-01-19 21:13:03
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心理学たん @psycho_tan

この様な家庭の場合、子どもの自立心を育てることが必要だと親に理解してもらう必要があるわ。

2014-01-19 21:13:38
心理学たん @psycho_tan

また、夫婦間に何らかの対立があり、子どもの病気に関する問題解決の時だけ夫婦が協力し合える家庭もあるわ。この場合、家族療法では子供が夫婦間の問題回避の役目から抜け出し、家族内の本当の問題に目を向けるよう促すわ。

2014-01-19 21:14:31
心理学たん @psycho_tan

たとえば、夫婦間の喧嘩の矛先が子供に向いて「あんたの為に苦労しているんだ」「どうして食べようとしないんだって両親が怒り出すことよ。子どもに怒っているうちは、家族内で生じている夫婦の意見の食い違いから解放されるもの。

2014-01-19 21:15:20
心理学たん @psycho_tan

この様な関係がある場合は、その夫婦間の対立の解決に向かうようにアドバイスするわ。

2014-01-19 21:16:03
心理学たん @psycho_tan

摂食障害に対する家族療法の介入方法として、ランチセッションがあるわ。これは、両親が子供が食事をするように促す場面を、カウンセラーの前で実演させる方法よ。

2014-01-19 21:17:53
心理学たん @psycho_tan

ランチセッションで両親はいつものように手を変え品を変え、子どもに食事をとらせようとするわ。そうする内に、母親は無理やり食べさせようとして父親は無関心にそれを止めようとするなど、日常場面での夫婦間の問題が浮上してくるのよ。その問題が、この過程の根本にある問題だと言えるわね。

2014-01-19 21:19:44
心理学たん @psycho_tan

恐らくそういった家庭では、日常生活の食餌場面でも同じことが起きていると考えられるわ。ただ、カウンセラーが見ていないため子供にどなったり適当に話し合いを終わらせて解決できないでいるはずよ。

2014-01-19 21:21:01
心理学たん @psycho_tan

そのため、ランチセッションで浮き彫りになった問題についてカウンセラーは解決するように介入していくわ。

2014-01-19 21:21:45
心理学たん @psycho_tan

さて、まとめに入るけど、摂食障害の原因は家族のシステムに問題があるって言ったわよね。でも、それは子どもが被害者で夫婦が加害者っていう単純な(直線的な)因果関係ではないわ。だから、もしこれを見ている方の中に摂食障害の方の家族がいても自分を責める必要はないわよ。

2014-01-19 21:24:05

参考文献

摂食障害 (エビデンス・ベイスト心理療法シリーズ)

スティーヴン・W. トイズ,フィリッパ ヘイ,ジャネット ポリヴィ,貝谷 久宣,久保木 富房