「姉の歯ブラシを噛んだ日」(©でらっくす師匠さん)
-
hosidukuyo
- 2191
- 0
- 0
- 0
![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ペルソナに運命を左右された兄弟達の運命の歯車が今回り始める
![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
1 「姉の歯ブラシを噛んだ日」 飲み会帰りの深夜2時。 ベッドに横たわり、通販が流れるテレビを消すと、本来の静けさに包まれた。 暗い部屋で天井を見上げると、姉の笑顔がふと頭に浮かぶ。
2014-01-20 23:36:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
2 「同じ大学に行こうね!」 年子の姉は、浪人生だった。 成績が良かった姉は手堅く安全圏の地元の国立大学を受験したのだけれど、どうしてだか僕と同じ予備校に再度受験生として今年も通うようになっていた。
2014-01-20 23:37:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
3 姉と同じ予備校に通うのは気恥ずかしいもので、自習室でも常に隣同士で座る姉弟として冷やかされることもあった。 でも、いつも一緒に帰る相手がいるのは嫌じゃなかった。
2014-01-20 23:37:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
4 冬になり、試験がバタバタと始まる。 一年経って、姉の成績に僕は追いつけなかった。 妥協はしたくなかったけれど、本命の大学は姉より下のランクに決まった。 しかし、姉は願書の締め切りまで親を説得し、僕の成績では到底叶わない夢だったけれど、姉の志望校も記念に受験することになる。
2014-01-20 23:38:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
5 「受験票持った? 消しゴムは? お茶飲み過ぎたらトイレに行きたくなっちゃうからね?」 姉も同じ受験生なのに、当日の朝は念入りにお姉ちゃんチェックが入る。 受験番号は僕が21、姉が22。教室でも前後並ぶこととなった。
2014-01-20 23:38:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
6 試験10分前。 「ティッシュは机に置いていいんだよ?」 姉に後ろから話しかけられて、隣の人から睨まれる。 恋人同士だと思われてるのだろうか…。 そんなふわふわした気持ちでいたら、試験が始まった。
2014-01-20 23:39:37![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
9 そんな事を思い出しながら、眠りかけていたとき携帯が鳴る。 --- 着信 "姉" 「もしもし? 夜中にごめんね? お姉ちゃんだけど、元気してる?」 今でもメールはするけど、姉からの電話は珍しい。 「ねぇ、あのさ…あの受験の朝のこと…覚えてる?」
2014-01-20 23:41:24![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
10 心臓が高鳴る。指が震える。 「あの日さ、あたしの歯ブラシ…噛んだでしょう…?」 喉が乾く。声が出ない。 「洗面所を開けたら…見ちゃったんだよ…」
2014-01-20 23:42:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
11 最初で最後の行為が、姉に見られていた。 受験当日の動揺が朝になって不意に大きくなって、自分でもどうしてだかわからないけれど、口に…。 「そのせいで緊張して…受験どころじゃなかったんだから…」
2014-01-20 23:43:20