ゾーニング・ゼロ 第五話「BULLS Fighter」
- mushi_nohito
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色あせたコンクリートの巨大なビルが立ち並び、今や奇妙なオブジェと化した電光看板の残骸がところどころに垂れ下がっている。ジャポネットの街の中にある元電気街、そこに一人のオトコが笑みを浮かべて悠然と佇んでいる。 #zoning_zero
2014-01-20 19:04:30しかしその穏やかな顔つきとは裏腹に、その場の空気は恐ろしく張り詰めていた。近くを飛んできた鳥は何かにあてられたかのように墜落し、近くを通る野犬は泡を吹いて倒れている。そして彼の足元には、爆発四散したオトコ達の肉塊があった。 #zoning_zero
2014-01-20 19:04:40「ほう・・・」ヘティロ=ユリブタが顎髭をこすりながら、足元のオトコ達の惨状を眺めた。彼らはヘティロの使う兵士達、バイオヤクザだ。体は木端微塵になり、もはや人の形をとどめていない。その数ざっと30体! #zoning_zero
2014-01-20 19:04:50「お前もすぐに同じ姿になる」ヘティロの背後、捻じ曲がった街路灯の上に一人の人影が舞い降りる。黒く長い髪をなびかせたオンナ・・・彼女こそが、バイオヤクザ達を一瞬で葬った恐ろしいBl能力者、マイ=ノリティである。 #zoning_zero
2014-01-20 19:05:00「ドーモ、ヘティロ=ユリブタ=サン。マイ=ノリティです」余裕を持ってマイがアイサツをすると、ヘティロもそれに応じた。「ドーモ、マイ=ノリティ=サン。ヘティロ=ユリブタです」オジギを終えると、マイの体から光が溢れ出た。 #zoning_zero
2014-01-20 19:05:11膨大なマイのエネルギーが、彼女の上に巨大なオトコの形を作る。二本のオトコ・シンボルを備え、角のように尖った顎先はバイオヤクザのオトコソウルを容易く貫くほどの鋭さを持っている。この巨獣に襲われれば、並のオトコなどひとたまりもないだろう。 #zoning_zero
2014-01-20 19:05:24「私のアーゴハンサムの三本の槍は、どんなオトコも防ぐ事はできない」マイは地面に転がるバイオヤクザの肉塊を、その自慢の槍で地面ごと薙ぎ払った。路面は削れ、クレバスのような亀裂が走る。ワザマエ!恐るべき破壊力! #zoning_zero
2014-01-20 19:05:33しかし、マイの一撃を見てもヘティロは驚く様子はなかった。それどころか、やれやれと頭を掻きつつ、呆れたように吹き飛んだ残骸の方に目をやる。「所詮はオトコの出来損ないだな。こんな程度のジツにやられるとは」 #zoning_zero
2014-01-20 19:05:42ヘティロの言葉を聞いたマイが、馬鹿にするように見下げて蔑んだ。「挑発のつもりか?私のジツはまだ本気ではない。あんなサンシタ、これぐらいで充分なのだ」マイのアーゴハンサムの鋭い三本の槍が、更に大きく鋭く漲っていく。 #zoning_zero
2014-01-20 19:05:57「ホモソーシャルの幹部を倒したとあれば、キンボシ・オオキイだ。老いぼれのジジイとて容赦はしないぞ」アーゴハンサムがその巨体をしならせて、三本の槍を撃ち放った! #zoning_zero
2014-01-20 19:06:10槍は蛇のように素早くヘティロに向かって伸びていく!しかも三本がそれぞれわずかにタイミングをずらし、変則的に襲い掛かるのだ!これを避ける事など不可能だろう!ナムサン! #zoning_zero
2014-01-20 19:06:20アーゴハンサムの槍がヘティロの首を捉えた!「オタッシャ重点!」巨大な杭のような顎が突き刺さる。しかし、その槍は首を貫くどころか、打ちそこなった釘のように折れ曲がったのだ! #zoning_zero
2014-01-20 19:06:42「なんだと!?」マイが信じられないといった目で、その光景を見る。しかし、すぐさま残りの槍でヘティロの背後から強襲した! #zoning_zero
2014-01-20 19:06:51「守りのジツか、しかしウカツ!アンブッシュは私の得意分野よ!」二本の槍が、背後からヘティロを貫く!ナムアミダブツ! #zoning_zero
2014-01-20 19:07:00そのときである!貫かれたヘティロの体が大木へと変わり、爆発四散した!「これは、ミガワリ・ジツ!?」ブッダ!ヘティロは大木と入れ替わり、すでにその場を消え去っていたのだ!「おのれ、逃がしたか!」 #zoning_zero
2014-01-21 12:20:56「逃げてなどおらん」マイの背後からヘティロの声がした。「アイエッ!?」マイは突然の事に驚き、素早く身をひるがえしてヘティロを見据える。これほどの実力を持ったマイに、全く気配を感じさせずに近づいてきたのである!タツジン! #zoning_zero
2014-01-21 12:21:05驚きを隠せないマイの様子を見て、ヘティロは笑みを浮かべた。「あまりに遅いので、こちらから出向いたのだ。それよりも、さっきのジツがお前の本気の力なのか?期待外れだな」悠然とマイを見下ろすヘティロの肉体に、青白い電気のようなエネルギーが迸る。 #zoning_zero
2014-01-21 12:21:29「イディオットめ。真のオトコ・・・『硬派』の力を見せてやろう」ヘティロの顔が恐ろしい天狗の顔に変貌する!体から溢れ出る青白いエネルギーは近くの巨大なビルを破壊し、路面を走る電撃は大地を切り刻んだ!圧倒的なパワー!コワイ! #zoning_zero
2014-01-21 12:22:06ヘティロから溢れるエネルギーを避け、マイのアーゴハンサムが襲い掛かる!「これぐらいの攻撃で私を倒せると思ったか!」 #zoning_zero
2014-01-21 12:22:20「攻撃?今のはただエンジンを点火しただけだぞ」そう言うと、ヘティロが素手でアーゴハンサムの槍を掴み、そのまま握り潰した!「グワーッ!」アーゴハンサムが大きく悲痛な雄叫びをあげる! #zoning_zero
2014-01-21 12:22:31ヘティロが槍を握り潰したまま、アーゴハンサムごとマイを振り回す。「悪い子にはお仕置きが必要だ」そう言うと、ヘティロの右腕が激しく発光しはじめた! #zoning_zero
2014-01-21 12:22:42なんとか逃れようと、マイのアーゴハンサムが身をよじって抵抗する。しかし、ヘティロの恐るべきパワーの前には無駄な足掻きだった。「アイエエ!?ブッダ!こんな馬鹿な!」 #zoning_zero
2014-01-21 12:22:53「滅ッ!」必死にもがくアーゴハンサムめがけて、ヘティロの拳が空を切る!マイは咄嗟に両腕で身を守ったが、そんなものは何の意味もなかった。 #zoning_zero
2014-01-21 12:23:04