夢のお話「少女と怪盗」

ラリ子/今ンヌ @imannu_burari

@sousakuTL　【夢のお話25】 ……彼女はひどくやつれていた。 白く赤い頬は青白く生気のない表情に、月の様な髪はくすんだ灰色に。 ただ、あの10日間の間一度も見れなかった橙色の瞳だけはだれもが見とれるほど美しく、そして強い覚悟をもって郵便屋を見つめている

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@sousakuTL　【夢のお話26】 きっとほかの人間が見たらそれはそれは酷く醜い姿なのだろう それでも郵便屋にはそれはそれは美しい姿に見えていた。 彼女はゆっくりと言葉をつづける 「私は一つ前の季節、一人の優しい人に恋をしました。 彼は私の心がほしいといいました。」

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@sousakuTL　【夢のお話27】 「私は、病に侵されています。だから最初こそは私と話してくれる彼を縛るつもりで10日間の約束をしました。」 とても楽しかったと、頬を上気させて話す彼女はとても愛らしく映る くるくると変わる表情は本当に幸せそうで

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＠sousakuTL　【夢のお話28】 ーーーー１日目は私の名前を教えました ーーー３日目は彼の生い立ちを知りました ーー５日目は彼が本当の恋を知らないと知りました ー10日目、彼の気持ち以外がわかりました

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＠sousakuTL　【夢の話29】 其処まで話すと、彼女は一つ悲しそうなため息をついた 「10日目、わたしは彼が来る前にお医者様にいわれました。私の命はもうあと一つ季節を過ぎ、次の季節に行く前に死ぬでしょうと」 彼女の後ろ、シーツには微かに残っている赤い染みがいくつもあった

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@sousakuTL　【夢の話29】 「私は怖かった。自分が死ぬことも彼に死ぬ前の醜い姿を見られることも。……だから彼に私を嫌いになってほしかった。私の今の姿を見れば、嫌いになってくれるかと思った」 彼女は盲目の瞳でじっと、郵便屋を見つめる。 それはかつて怪盗が見知った瞳だった

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@sousakuTL　【夢の話30】 「君はもしーー「ねぇ【郵便屋さん】」」 彼女と話すと僕は最後まで言葉を言わせてもらえないらしい 「私が届けてほしい思いを届けてくれる？報酬は何でも出すわ」 「あぁ、構わないよ。」 「じゃあね、10日目に怪盗さんに上げられなかった答えを。」

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@sousakuTL　【夢の話31】 じっと、盲目が嘘の様にすんだ瞳で、カサカサになった薄い唇で彼女は歪つに、それでもとびきり美しい少女の笑顔で彼女は話した 「私、怪盗さんの事が大好きだわ。これからも私が眠るまでずっと」 それを伝えて頂戴？と話してきた

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@sousakuTL　【夢の話32】 「分ったよ。なら答えを聞いてまた帰ってくるよ」 「いいえ、郵便屋さん。私は答えはほしくないわ。むしろ持ってこないで」 再度きっぱりと告げた 「私は、ひどい女だもの。私の思いを言うだけ言ってはい、さよならでいいの」

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@sousakuTL　【夢の話33】 寂しそうにそれでも愛おしそうに告げた。 「彼はきっと世界を飛び回るのが似合っているもの。……これがいいわ」 この女は確かにひどい女だ。 これを聞いて、囚われない男がいるか？。 彼女はそれを知って言うのか？ 郵便屋は静かにわかったと告げた

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@sousakuTL　【夢の話33】 郵便屋はそれから彼女の家を離れた。 彼女はそれからすぐに、起き上がる事も出来なくなった。 季節は流れて、流れて…次の季節に移る事までもう少し。 がさりと、彼女が久しぶりに目を覚ますと大木が揺れる 久しぶりに体を動かす事が出来て窓を開ける

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@sousakuTL　【夢の話34】 「やぁ、いつみても愛らしいお嬢さん」 「……、愛らしいなんて嘘やめて？こんな痩せて惨め「醜いなんてないよ」」 初めて彼女の言葉を遮った。 現れたのは怪盗 白いタキシード。最初にあった時の姿とそっくりな姿 手には…渡せなかった白い花束

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@sousakuTL　【夢の話35】 「郵便屋さんから聞かなかったの？」 「聞いたよ。君はひどい女だね。」 「えぇ、そうよ。」 「けれど、僕は怪盗だ。僕は盗人だ。心を盗む。そして売る。」 ふわりと、初めて彼女の部屋の中に入る。 そっと彼女の痩せた手をとった

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@sousakuTL　【夢の話36】 「君は僕に恋をしている。だからその心を盗ませてもらうために来たんだ。答えを言いに来てはいないよ」 「ただのいいわけじゃない」 「あぁ、そうだね。言い訳でいいよ。だって君も盗むんだからね」 「……私は売り物にはならないわよ？」

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@sousakuTL　【夢の話37】 怪盗は意地の悪い笑みを浮かべた。 優男らしからにわるい笑み 「僕の心を盗んだひどい女、僕が初めて恋をした女性。世界でとびきり醜くて、世界で僕だけに映る世界一の美しい人。僕は君の心も君の最後も盗みに来た。…答えは聞かないよ」

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@sousakuTL　【夢の話38】 彼女が彼の答えを聞きたくないといったように、彼も彼女の答えを聞かないまま 一人の醜い少女は、一人のとびきり美しい怪盗に盗まれたーーー

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@sousakuTL　【夢の話39】 ーーー 　　－－－ 「ね？海翔(かいと)、そういう夢を見たの」 「そう、それはいい夢を見たね。それで今日のご予定は、お嬢さん？」 時代は現代、二人の男女が寒い街中を歩いていく。 月の様な金髪と橙色の瞳の健康そうな女性と

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@sousakuTL　【夢の話40】 銀髪に紫色の瞳の男性。 あの怪盗と少女に似た二人組。 「ねぇ、貴方は私が病気になったらどうする？」 「一緒にいるよ。君の病気も君も僕が、怪盗の様に盗んであげる」 かつての二人に重なる様に。 かつての二人の物語の後日談は、今も続いている。

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＠sousakuTL　夢のお話、これにて終了。 文章にしたら思ったより長くなりました…。TL荒らしなど大変申し訳ありません…(´・ω・｀) こちらまで読んで下さり誠にありがとうございました！