【ニンジャの二次創作でございます】ソー・スウィート・ソー・サッドネス #2
- simanezumi88_n
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市場に出回る栄養ドリンクの大半はヨロシサン製薬のものである。確実な効き目、誰もが虜になる中毒性、手頃な価格。ZBRやバリキ、ザゼン。ハッカーからヤクザ、オイランまで用途用法顧客は果てしなく広く、売上もフジサンの如き圧倒的巨大さである。 20
2014-01-23 22:22:23夥しい中毒者達で出来上がったピラミッドの頂点に鎮座するヨロシサン製薬の一部エリートカチグミサラリマンとなるため、二人はありとあらゆる物資とコネを活用してこの施設を作り上げた。そう、斬新で革新的な飲料の開発。中毒性も抜群だ。 21
2014-01-23 22:25:25一気の爆発的ヒットにより、大量のオーガニック・スシとオイランに囲まれながら、憎たらしいあいつらの悔しげな顔を見下しながら、ネオサイタマの頂点へ躍り出る夢。最高だ。しかし、それはブッダの足らす蜘蛛の糸の如く、無残に断ち切れたのだ。待ち受けるはセプク。 22
2014-01-23 22:28:25か細く震える声で一人が訊ねる。「アレは…コイタジヨとサンプル生物はどうなりましたかね…」「やはりニュークと共に消滅したのではないでしょうか」「ブッダシット!」ブッダは目覚めていた。憤怒の表情で。闇が深まり、虹色に染まった地面が蠢く。 23
2014-01-23 22:30:59サヴァイヴァー・ドージョーが進軍していく。より深く、より奥へ。異形の進軍を見れば、市民は即座に失禁したことであろう。しかし今、地獄は静まり返っていた。打ち上げられたバイオサンマやそれを捕食するバイオカモメの姿もない。 25
2014-01-23 22:35:21蔦めいた配管が瓦礫を覆う人口のジャングルの中で、セントールやカマイタチが時折不安げな顔を見合わす。「静か、おかしい」とファーリーマン。「気を付けろ。ベトコンゲリラはどこに潜んでいるかわからん」一行は難儀しながらさらに奥へ進軍する。 26
2014-01-23 22:38:01…静寂の中の淡々とした進軍。否。バイオニンジャ達が一斉に警戒体制に入る!常人はおろか、並のニンジャであっても聞き逃すであろう、微かな悲鳴が煙に包まれた人口ジャングルの奥から響き渡る。「固まれ!」サワタリが叫ぶ。 27
2014-01-23 22:38:47より一層淀む空気の中、サワタリ達は少しずつ前進していく。時にハイドラが踏み場となり、カマイタチやサワタリが配管を切断、セントールやファーリーマンが辺りを警戒する。…やがて! 28
2014-01-25 21:55:02おお、なんたる光景か。裸の男が二人、折れたパイプで壁に手足を昆虫標本のように磔にされている!虚ろな目つきは何も映さず、肌はLEDライトめいた青色に変色。二人の喉にはチューブが差し込まれ、何かを注ぎ込まれている! 29
2014-01-25 21:57:30「「ゴボボボボボ」」(((…世界は…広いなあ…アハハ…なんて…幸せな気分…)))(((…甘い…オイシイ…このドリンク…世の中に…広めたかった…なあ…アハハ… ))) 彼らは時折打ち上げられたマグロのように全身を痙攣させ、幸せに包まれた笑顔を見せる。コワイ! 30
2014-01-25 22:00:31「ヨロシサンの手先か!」サワタリが叫びつつ、周囲をカラテ警戒しながら人相をあらためる。ドリンク部門のエリートだ。わずかながら顔を見たことがある。この工場で新型飲料を大規模開発しようという試みであったのだろうか。その時! 31
2014-01-25 22:04:12不快な甘い臭いと煙が強くなり、さらにはゴボゴボピチャピチャという異音が近づいてくる!「アハー」「アハー」「アハー」「アハー」虚ろな響きが四方から押し寄せてくる!おお!あまりのおぞましい姿故に読者の方々にはお伝えする事ができない!コワイ! 32
2014-01-25 22:07:09暗がりにエコーする意識。複数の足音。混じる雑音。拡張される意識。うん?また、アレか?知りたがりの誰かがやってきたのか?都合いいな。なあ、みんなも知りたいだろう? 34
2014-01-25 22:12:16ところで俺の体は今どうなってるんだろうな。まあいいか、そんなこと。なんたって今、人生で一番幸せなんだぜ。すげえなぁ、これ!あのコにもここにいるみんなにも知ってもらわなきゃ!この世のものとも思えぬ全能感。浮遊感。彼は既に達していた。 35
2014-01-25 22:15:26あのバイトに応募して大正解だったぜ。ああ、他の。みんな、覗きに来たヤツらにこの飲み物を沢山飲ませてやってくれ。マジで最高だからさ…。 36
2014-01-25 22:17:57「貴方がた!幸せですか!」サワタリ達をを取り囲む無数の名状しがたい生物たちの後ろから大音声が響き渡る。「貴様がゲリラの指導者か」「幸せではないようですね!皆様!この方々にも福音を!」「「「「「アハー!」」」」」 38
2014-01-25 22:23:09禍々しい光景!しかも大音声の主はなんと巨大なバイオシャチ!人間のような足を生やし地面を踏みしめている!これは一体!「私は知りました!この施設は皆様を幸せにするために作られ、私はそのた」バスッ!バイオシャチの腹部にサワタリの放った矢が刺さる!「ゲリラに語る言葉無し!」 39
2014-01-25 22:25:57「アバッ…」バイオシャチが後ろへ崩れるように姿を消していく。この一撃を切っ掛けにイクサが始まった。「イヤーッ!」カマイタチが先陣を切って異形の者へ切りかかる!セントールが槍を繰り出す!異形の群が突き崩れる!サワタリがバイオシャチを追い掛ける! 40
2014-01-25 22:29:18放置された形となった二人の研究員は経緯をなんとはなしに思い起こしていた。虹色の視界が大小に変化しながら流されるソーマトリコール。漂流していたバイオシャチを捕らえたのはヨロシサンのドリンク開発チームであった。 41
2014-01-25 22:32:44元々高い知性を向上させ、かつ多幸感と覚醒作用に浸らせるために、製薬チームが開発したニューロンを大幅に活発化させるという劇薬「コイタジヨ」を中心としたドリンクを定期的に投与させていた。実験が首尾よく進めば製品化だ。用途は大量、ネオサイタマの皆の元へ! 42
2014-01-25 22:35:14最高の幸せと覚醒効果で、各所ヤクザクランやスーパーマーケットを通じ、ネオサイタマ中を虜にしよう。かように恐るべき計画が急ピッチで進んでいた。 コード名「YOROSHISAN's alchemist said so ultra irregular」略して「yasasui」。 43
2014-01-25 22:37:28二人の研究員はイクサの最中、流れ弾めいて飛んできた瓦礫が頭部にクリーンヒットし、幸せな気分のまま死んでいった。インガオホー。 44
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