アニメ監督・神谷純氏のアニメにおいて全ての事象は計算で創りださなければならない

神谷純 @junkamiya

アニメの仕事やってて、楽しくもありつつ「難しいなあ」と毎度思うのが、アニメには実写などにある「その時映画の神が舞い降りた」的な偶然の奇蹟みたいなのが殆どないこと。すべての事象は計算で創りださなければならないのだ。

神谷純 @junkamiya

アニメにおいてはすべてのシーンは、自然の美しさもキャラクターたちのイキイキとした仕草も、朽ちかけた廃屋の佇まいも、頭のなかで再構成し、それに見合うスキルを持った手が「出力」したものだ。この辺りはCGも「再構成・出力」の脳内変換パターンは近いかもしれない。

神谷純 @junkamiya

実写側からすれば「書けばいいんだから」なんでもできると思われがちだが、その「なんでも」に人の感動を呼ぶ説得力を持たせるための努力・テクニックは必要だ。思わぬ長考、驚くほどの手作業の場合もままある。

神谷純 @junkamiya

CGの映像にしても、それぞれのセクションが「人間としての知恵と技術」を最大限の努力で振り絞っている作業に変わりはない。もちろん「だからアニメ・CGは実写よりスゴイ」というつもりは毛頭ない。実写においての画面を作りこむ作業にかかる手間も大変なものだ。

神谷純 @junkamiya

ようは「完成した作品」こそが、作品を語る上で意味のあるものであり、メディア、手法のみで語ることはステロタイプかつ表層的な「感情論」しか産まないということ。危険なのはそれぞれに従事している「職業人」こそがついそういう発想をしてしまうこと。

神谷純 @junkamiya

作品を作る上での「手法」は、本来は目指す作品のビジョンが先にあり、それに対してどの手法であたるかが吟味されるべき……なんだけど……日本では「手法」が先ってパターンの方が圧倒的に多いんだよなあ。そこもいろいろと悩ましいところ。

神谷純 @junkamiya

自分の例では「ペンギンの問題」なんかも、作品の企画以前に「CGでやるから」って方が先にあったし……。だから最初は「こんなCGに向かない作品、どうやったらいいんだ！？」って考えこんだし。

pikachu555 @pikachu5551

@junkamiya アニメにおいて「神が舞い降りた瞬間」、絵コンテ時自分のスキルにないアイデアが当然浮かんだ時（笑）。

神谷純 @junkamiya

@pikachu5551 あ、そうそう！ せいぜい絵コンテのそんな時くらい。あと、声優さんの演技で、自分が思っていたのとは違う角度のが来て、それがものすごくハマった瞬間とか。あとはちょっと入る余地ないよね〜。

pikachu555 @pikachu5551

@junkamiya NARUTOでは役者の演技は「自由演技の場」にしちゃってるから役者に助けられることは多いですがね。

神谷純 @junkamiya

@pikachu5551 アニメでもアフレコだけは生きのいいナマが生まれるもんね。あの濃縮された時間はライブで楽しいですよ。

鈴木利正 @ts_north

本当ですねRT “@junkamiya: アニメの仕事やってて、楽しくもありつつ「難しいなあ」と毎度思うのが、アニメには実写などにある「その時映画の神が舞い降りた」的な偶然の奇蹟みたいなのが殆どないこと。すべての事象は計算で創りださなければならないのだ。”