完全ノープラン艦これ与太話【ネイビー・アライヴ・インポッシブル】#3～#4

春魔解丼 @vespiking

（『猫』を討伐すべく執務室に集結した鎮守府最高戦力……北上、飛龍、羽黒、山城、霧島、夕立！だが一匹目の『猫』を倒さんと突撃した夕立は、突如出没した巨大猫の爆発に巻き込まれ消息不明！さらに指令本部は大量の『猫』に包囲され逃げ場なし！窮地！）

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（だが同時刻、入渠ドックでは夕張の決死の特攻により阿賀野に取り憑いた『猫』を撃破！黄金のオーラを纏いドラッグジャンキー阿賀野が立ち上がった！ヤバイ凶運が動き出すぜ！）

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KABOOOM!!!執務室の大窓を隔てて、一方的で熾烈な砲撃戦が繰り広げられていた。工廠を破壊して出現した巨大猫の歩みを、霧島と山城の大口径砲が押し戻す。敵はこれといった攻撃はしかけてこないが、しかし執務室まで近付ければゲームオーバーだ。撃ち続けるほかはない！

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遥か下方、ぞろぞろと音を立てて壁にまとわりつく黒いカゲを封じるのは北上の爆雷である。幸い雑兵一匹の戦力はさほどでもなく、備え付けの簡素な爆雷投射機でも応戦は可能だ。高所の有利を維持できる限りは。

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ここで提督業になじみの薄い読者の皆様にも解説しておこう！鎮守府を襲う『猫』とは、我々の知るあの猫とは全く異なる存在である。かれらは生物というよりは概念、いやそれ以上に抽象的な存在であり、概念と概念の狭間、非理法権天のズレの具現、言うなれば世界のバグめいた存在なのだ。

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バグには必ず元凶がある。なんらかのズレが歪を産み、歪は『猫』を産む。地下から湧き出す『猫』、工廠を破壊した『巨大猫』の存在。バグとはえてして、原因はわからぬ。だが、場所を推論することはできる。おそらく今回の元凶は……　「地下！工廠地下倉庫！」

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羽黒が駆け出す！室内という限られた空間、そして夜戦。この状況における最高戦力は自身である！羽黒は戦いこそ好まないが、天性の軍人である。自分が今何をすべきか、それを理解し実行する行動力がある。自分の感情など二の次だ。今はただ、工廠地下へ！

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一方飛龍は鎮守府の屋根にのぼり、目視による戦況判断につとめていた。「北北東窓下、猫勢力増大！」「了解！」北上は指揮系統を飛龍に委ね、自身は一兵卒として戦う。飛龍もまた、天性の軍人である。自分が何故、指揮を任されたのかは誰よりも理解していた。無意識に歯を食いしばる。我慢の時間。

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猫の這う螺旋階段を対岸テラスから撃ち抜き破砕！崩落する螺旋階段に向かって跳躍！後方へ三式弾を撃ち出す！羽黒を追い詰めていた猫の大群は逆に火の海へ放り込まれる！瓦礫を足場に空中を渡り、壁を蹴って階下のテラスへ更に跳躍！待ち伏せ中型猫の顎を殴りつけ拳の主砲を炸裂！敵頭部爆砕！

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西塔中央、巨大な吹き抜けを下へ下へと進みながら、羽黒は苛立ちを感じていた。大理石の砕ける音、猫から飛び散る黒い飛沫、煌々と燃える戦火。あらゆる要素が羽黒の全身に強烈な興奮を注ぎ込む。内に沸き立つ軍艦の本能、快楽を貪る自分の本質。「クソビッチ」柄にもない罵声が口から漏れる。

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西塔の床を砕き、地下通路に着地した羽黒は一直線に工廠地下倉庫を目指す！行く手を遮る猫を最小限の操舵で躱し、最小限の砲弾で撃ち抜き、最小限の被弾で黒い海原を裂く！愉悦！快楽！それでいい。かまうものか。おのれの醜さなど、戦争が終わってから悩めばよい。終わらせる！戦争を！

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一見整合性をもったシステムであっても、僅かなズレは歪を産み、歪はバグを、『猫』を産む。一直線に突き進む無慈悲な弾丸となった羽黒、しかし苛立ちを抑え力ずくで殺した感情は、確実な歪を産んでいた。視界が黒く濁った。天地が横倒しになった。轟音が世界を切り裂いた。

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ブツリと音がして、それから静かになった。飛龍は屋根瓦を思い切り殴りつけた。羽黒の通信機よりも大きな音がした。

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【ネイビー・アライヴ・インポッシブル】 #4終わり　#5へ続く