東方の「世界観」とキャラクターについて【東方考察(うそ)】

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

死なない間に得た能力も，弾幕で披露した。 「パゼストバイフェニックス」「フジヤマヴォルケイノ」「フェニックスの尾」「フジヤマヴォルケイノ」「フェニックス再誕」 4枚目のやつに至っては人生と絡む富士山とその噴火まで織り込んでいる非常に高度なスペルである。

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不死身の体で得た妖術は富士山の煙のように，不死の薬の永遠の煙，そして不死の炎の鳥の力。そして犯してきた罪と消えない孤独。

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そんな生も死も超えたところに自分の弾幕はある！というアピール。 「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 　　　死に死に死に、死んで死の終わりに冥し」(冥界組の前で)

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そのほかのスペルも，直接的ではないにせよ，「不老不死」や「炎の不死鳥」をモチーフにした弾幕を使い，繰り返し彼女の永遠の本質を語っていく。しまいには「正直者の死」「蓬莱人形」なんて，上海アリスProjectの根本にひっかかりそうな単語をつかったスペルまで平気で使っている。

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音楽も「月まで届け，不死の煙」であり，同じフレーズを延々と繰り返しながらも，どんどん高みへと昇っていく曲調を意識して作曲されている。曲，弾幕，姿のデザインのもんぺにお札がついた姿，それらすべてが「藤原妹紅」という物語，世界観を一気に語りつくしている。

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会話のなかでも，まず幽々子は自分の能力をいきなり使おうとして，「いきなり私を取り殺そうとしたの?物騒な幽霊ね」などと返すし，結界組で，かぐやという言葉を聞くと理由なくむきー！と怒る。決して自分の内容を具体的に話さないし，プレイヤーキャラの面々も同じくである。

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幽々子なんて無言で能力使ってたしね。 ひとぼりまとまってから「妖夢，目の前の永遠を斬りなさい」ですからｗ。

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そして彼女は弾幕勝負そのものにも生と死の残酷さをそのまま焼き付ける。それはZUNのSTGへの理念と重なってひときわ美しい弾幕になる。 「インペリシャブルシューティング」とはそういった妹紅の願いとZUNの願いの交差点だ。

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※いまだにしゅーにゃんはアレをよけきれていません。

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妹紅にゲームで出会うだけで，そしてそのゲームをプレイするだけで，妹紅というストーリー，テーマ，モチーフはすべて語られる。さらに，ひいてこれが永夜抄のほかのキャラクターと呼応したりすれば，最終的に「永夜抄」という一つの種類の万華鏡が完成する。

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全体と部分が響きあう，有機的な「世界観」とよばれるZUNの思想が，ここで実践されるのだ。

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そう考えるとさ，作品固有のレベルで比べるなら，いくら人気が上回っても，艦これが東方を「こえる」ことはできないだろうなって確信が僕にはあるのよね。 あれもキャラがストーリーを持ってて，完遂されてるのだけど，語っているのは元ネタの戦艦の歴史のほうであって，アレなしには語れない。

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つまり彼女たちを独立にして，彼女ら戦艦娘が自分たちだけで独自の世界観を作り出す，っていうところまではいきつかないわけだ。 SLGであるという点，つまりステータスの差が主にゲームに絡んで，表現の差異が捨象されやすい，ってのも絡むは絡むけども，

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そういうのを斬り除いたとしても，彼女らの深みは東方のキャラのように太くはならない。消費物で終わるとか，薄っぺらいキャラだという意味ではない。そうじゃなくて，キャラ自身のなかで，自分を語り，表現する方法に乏しいということだ。

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二次創作の構造にもその意味で違いが出やすいしね。 東方の場合はさっき言ってた自分に内包された要素を浮かせるか沈めるかにかかわるのに対し， 艦これの場合はその要素(元ネタの歴史)自体，作家によって認知差が激しくなりざるをえない。そりゃこの世の歴史直接扱ってんだから。

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すると，そこから要素を学び取るには辞書を使いざるを得ない。図鑑を使いざるを得ない。図鑑もなく，キャラから語りとれるものは，図像とゲーム上の要素(非歴史的要素)しかない(ただし，その非歴史的要素自体が「実際は」歴史的要素に由来する事例も数多い)。

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すると，おもてっかわの，ゲーム上から受け取ったイメージからそのキャラを拡張しざるをえない。知らない状態では戦争からのシリアス・ストーリーを展開するのは難しい。 (現実のレイテ海戦の話になぞらえて戦争の悲しみを表現するか，ゲーム上のキャラの要素からレイテ海戦を持ち出すかの差はこれ)

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そういうのでなければ，基本的に，インターネットミームに等しい数々のキャラの図像上のイメージ，テクスト上のイメージからで二次創作をしざるをえない。この点が，東方とは大きな距離感になってる。 一方，それは言い換えれば，それだけ気軽に扱えるキャラであり，流通の面で有利でもある。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

流通の面では幻想郷のほうよりずっと有利。まずZUNという原作を介さねばならないストレスがない。東方も二次創作から入ることはできるが，この二次創作ができるためには，ZUNという非多人数的なポータルが必要。 だが艦これはこれがなくても，DMMからDLするだけでいい。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

今でこそ企業の商売に東方が使える状況になってるけど，ZUNが東方やめるといえばそれまで。艦これはこれがなく，だれでもクラウドに持ってる要素からキャラクターを引っ張れる。二次創作するまでの距離が，東方よりもずっと近いわけだ。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

東方も今なら十分ちかいっちゃちかいが，多くの種類の東方創作を扱うなら，ネタ的創作のキャラの部分だけを見ててはだめだ。原作重視の話が展開されてる作品群は，基本的に原作のストーリーとその様相を見たうえで書かれている。このような場所までいくのなら，艦これはずっと困難な知識が必要になる。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ZUNの作品を見ていて初めてできるタイプの創作が，ワリと流通のメインの部分でネタ型創作と共存できるくらいの距離を，東方は持つ。 他方で，艦これはこれを持たないのだ。実在の歴史のほうが，ZUNの「原作」に比べ，遠すぎるのである。そして，遠すぎるから，近場の創作がより手近なのだ。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

近すぎるから，というより近い分，だな。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

これはおそらく東方あるいは艦これが，流通上のブームをやめてきたころに顕著になってくるんじゃないかな。いかにして東方が盛り上がって，いかにして艦これがもりあがったか。そこから，キャラのあり方に目を向けたとき，いかにそれぞれのキャラが，違った形で生まれてるかってのが見えてくるかなと。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

幻想郷のキャラは，二次創作されても幻想郷内部にずっといる。 艦これのキャラは，二次創作される場所にずっといて，”原作”である現実には住んでいない。 この差。