#完全ノープラン艦これ与太話 【ライク・スティルバース、ライヴ・ティル・リヴァース】 #3
「いいのよ能代ちゃん。私こそ、急に突き飛ばしてごめんなさいね。痛くなかった?」羽黒が優しく微笑む。「あー、うん!痛くない!」「よかった!」阿賀野の頭を優しく撫でる。「まったく、ほんっとうに!羽黒先輩がいい人でよかったわね!まったく!」 20
2014-02-06 23:07:19能代が阿賀野を引き摺って、自室へ戻っていく。阿賀野の姿を見た能代は当初戸惑い、面食らいもしたが、最終的にはやはり実の姉妹である。今の姉を受け入れ、今の姉を支える覚悟を決めたようだ。心なしか、阿賀野建造以前の能代よりも輝いて見える。羽黒も一安心していた。 21
2014-02-06 23:11:36阿賀野ちゃん。とってもいい妹さんをもって、すごく幸せだね。能代ちゃんがいてくれる限り、貴女は大丈夫だよ。きっと、貴女をいつでも支えてくれるから。 22
2014-02-06 23:12:44でも、それでも、ほんとうにつらくて、こわい時がきたら。大丈夫。そのときは、私が全部、受け止めてあげる。阿賀野ちゃん。私ずっと見てるからね。いつでも、こっちへおいで。待ってるよ。 23
2014-02-06 23:14:26薄暗い管理室で、霧島は新造艦建造のレポートをまとめていた。阿賀野型軽巡洋艦一番艦・阿賀野。自分が着任して以来、戦闘行為以外では、夕張の蘇生に匹敵する大仕事だった。 02
2014-02-06 23:20:27『……あまり無関係の艦同士で、諍いの類を焚付けないで頂けますか』誰もいない部屋に響く声。モニタの青白い光に照らされた霧島の表情は動かない。綽綽と返答する。「そちらの提供するデータが、過去に関連性のある艦霊同士のものに極端に偏っているものですから」 03
2014-02-06 23:24:41『そもそも、我々が貴女方に提供する情報は戦術関係のもので充分な筈です。貴女の要求は不可解です』「だって、興味深いじゃないですか」霧島は少し口角を上げた。「あの2隻、性格が両極端ですからね。彼女らをぶつけ合わせて、一体どんな反応が見られるのか」『悪趣味ですね。理解しがたい』 04
2014-02-06 23:28:31「ともかく、とても面白いデータが取れました。特に羽黒さん。彼女の反応はとても刺激的です。あれほどの武勲艦に害意を向けられた時は、流石に肝を冷やしましたが」『でも、煽ってましたよね。貴女』「だって、激しいほうが良いでしょ?何事も」 05
2014-02-06 23:30:41『ともかく、貴女の行動が目に余るようであれば。我々も何らかの策を講じざるを得ませんので。我々も不本意ですからね。貴女の不始末を北上司令長に問うのは』「あら気をつけないと。あの人怒ると怖いから」『我々は本気です。冗談と軽く見ない方が身のためですよ』「承知致しました」 06
2014-02-06 23:34:19『ですがまあ。阿賀野の艦霊には我々も手を焼いておりましたので。如何様な手順であれ、あれを運用段階に持ち込んだ成果は認めます』「あら、どうも」『我々の中にも、貴女の大本営入りを推す声があります』「懐柔するつもりですか?つまらなそう」『貴女は少し口を慎みなさい』 07
2014-02-06 23:39:09レポートを書き終えると、霧島は席を立ち、管理室を後にした。扉を開けると、夕張と熊野。「あら工廠長。楽しそうな話し声、聞こえてましたけど。もういいんですか?」「ああ、いいのよ。デートのお誘い、断っただけだから」「うふふ、工廠長ったらモテモテですわね。一体どんな素敵な方から?」 08
2014-02-06 23:44:39「さあね。無粋なお偉いさんのお名前なんて、いちいち覚えてないもの」「ふふ!さっすが工廠長!」「さあもう夜遅いですわ。寝不足はアタマに毒ですのよ。みんなでお風呂でも行きません?」「おっ!いいわねぇ!」喧騒が離れる。誰もいなくなった管理室で、青白い声が響いた。『お疲れ様です』 09
2014-02-06 23:51:08